【ビル管過去問】令和7年度 問題58|浮遊粒子の沈降・拡散を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和7年度(2025年)|空気環境の調整第58問

問題

浮遊粒子の動力学的性質を表す次のアーエのうち、粒径が大きくなると数値が大きくなるものの組合せとして、最も適当なものはどれか。

ア 終末沈降速度

イ 拡散係数

ウ 気流に平行な垂直面への沈着速度

エ 粒子径を代表長さとしたレイノルズ数

(1) アとイ

(2) アとウ

(3) ア と エ

(4) イとエ

(5) ウとエ

 

 

 

ビル管過去問|浮遊粒子の沈降・拡散を解説

この問題は、浮遊粒子の粒径が大きくなったときに、沈降、拡散、沈着、レイノルズ数がどのように変化するかを問う問題です。粒径が大きくなると、重力の影響を受けやすくなるため終末沈降速度は大きくなります。また、粒子径を代表長さとしたレイノルズ数も、代表長さが大きくなるため大きくなります。一方、拡散係数は粒径が小さいほど大きくなり、気流に平行な垂直面への沈着速度も粒径が大きいほど単純に大きくなるものではありません。したがって、正しい選択肢は(3)です。

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(1) アとイ

不適切です。アの終末沈降速度は、粒径が大きくなると数値が大きくなります。粒子が大きいほど重力の影響を強く受け、空気中を沈みやすくなるためです。一方、イの拡散係数は、粒径が小さい粒子ほど大きくなります。小さい粒子は空気分子の衝突によるブラウン運動の影響を受けやすく、不規則に動きやすいためです。そのため、アは正しいですが、イが誤りです。

(2) アとウ

不適切です。アの終末沈降速度は、粒径が大きくなると大きくなるため適切です。しかし、ウの気流に平行な垂直面への沈着速度は、粒径が大きくなるほど単純に大きくなるとはいえません。気流に平行な面では、重力による沈降が直接的に働く水平面とは異なり、粒子の拡散や慣性、気流の状態などが関係します。特に小さい粒子は拡散によって面に到達しやすいため、粒径が大きいほど沈着速度が大きくなると単純に判断すると誤りになります。

(3) ア と エ

適切です。アの終末沈降速度は、粒径が大きくなると大きくなります。粒子が大きいほど質量が増え、重力によって沈降しやすくなるためです。また、エの粒子径を代表長さとしたレイノルズ数も、粒径が大きくなると大きくなります。レイノルズ数は、流れの中で慣性力と粘性力の関係を表す無次元数であり、代表長さが大きくなるほど数値も大きくなります。したがって、粒径が大きくなると数値が大きくなるものは、終末沈降速度とレイノルズ数です。

(4) イとエ

不適切です。エの粒子径を代表長さとしたレイノルズ数は、粒径が大きくなると大きくなるため適切です。しかし、イの拡散係数は粒径が大きくなると小さくなります。拡散係数は、粒子が空気分子の衝突によってどれだけ動きやすいかを示す性質であり、粒子が小さいほどブラウン運動が活発になります。そのため、イとエの組合せは誤りです。

(5) ウとエ

不適切です。エの粒子径を代表長さとしたレイノルズ数は、粒径が大きくなると大きくなるため適切です。しかし、ウの気流に平行な垂直面への沈着速度は、粒径が大きくなるほど単純に大きくなるものではありません。垂直面への沈着では、重力による落下よりも、拡散や慣性、気流との関係が重要になります。粒径が大きいほど沈着しやすいと日常感覚で考えやすいですが、気流に平行な垂直面という条件では、その考え方はそのまま当てはまりません。

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この問題で覚えるポイント

浮遊粒子の性質では、粒径が大きい粒子は重力の影響を受けやすく、粒径が小さい粒子はブラウン運動の影響を受けやすい、という対比を押さえることが重要です。終末沈降速度は、粒子が空気中を落下していくときの最終的な速度であり、粒径が大きくなるほど大きくなります。拡散係数は、粒子が不規則に動き広がる度合いを示し、粒径が小さいほど大きくなります。レイノルズ数は、慣性力と粘性力の関係を表す無次元数であり、粒子径を代表長さとする場合、粒径が大きくなるほど大きくなります。沈着速度については、水平面か垂直面か、気流に対してどの向きの面かによって考え方が変わります。特に気流に平行な垂直面では、重力による沈降だけで単純に判断しないことが大切です。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、「粒子が大きいほど何でも沈着しやすい」と考えてしまう点にあります。確かに、大きい粒子は重力の影響を受けやすく、終末沈降速度は大きくなります。しかし、拡散は小さい粒子ほど起こりやすく、沈着速度も面の向きや気流条件によって変わります。特に「気流に平行な垂直面」という条件を見落とすと、重力で落ちやすいから沈着速度も大きいはずだと誤判断しやすくなります。また、拡散係数は粒径が小さいほど大きいという点も、日常感覚とは逆に感じやすい部分です。浮遊粒子の問題では、重力が支配的なのか、拡散が支配的なのか、慣性や代表長さが関係しているのかを分けて考えることが正答につながります。

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