【ビル管過去問】令和7年度 問題94|建築構造の荷重と構造力学を解説

問題

建築物の荷重又は構造力学に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) 店舗の売場の床の構造計算をする場合の積載荷重は、教室より大きく設定されている。

(2) 等分布荷重が作用する片持ち梁のせん断力は、その固定端が最も大きい。

(3) 荷重には、集中荷重、曲げモーメント荷重、等分布荷重等がある。

(4) 固定荷重には、家具の重量が含まれる。

(5) 一般区域における積雪荷重は、積雪量1cmごと1m2につき20N以上として計算される。

ビル管過去問|建築構造の荷重と構造力学を解説

この問題は、建築物に作用する各種荷重の基本知識と、構造力学の初歩的な考え方が理解できているかを問う問題です。試験では、積載荷重と固定荷重の違い、せん断力の生じ方、積雪荷重の基準などがよく問われます。正しい選択肢とその理由を押さえるだけでなく、似た用語の違いを整理して覚えることが大切です。なお、最も不適当なのは(4)です。固定荷重は建物そのものや固定された仕上げ材などの重量を指し、通常、移動可能な家具の重量は含みません。店舗の売場の積載荷重は教室より大きく設定され、片持ち梁のせん断力は固定端で最大となり、一般区域の積雪荷重は積雪量1cmごとに1m2あたり20N以上で計算されます。

下に移動する

(1) 店舗の売場の床の構造計算をする場合の積載荷重は、教室より大きく設定されている。

適切です。その理由は、建築物の床にかかる積載荷重は、用途ごとに想定される人や物の重さに応じて定められているからです。教室は机や椅子、生徒の在室を前提とした荷重を見込みますが、店舗の売場は不特定多数の利用者に加え、商品や陳列什器なども想定されるため、より大きな荷重を見込む必要があります。実際に、建築基準法施行令第85条の扱いでは、教室よりも店舗の売場のほうが床の構造計算に用いる積載荷重が大きく設定されています。したがって、この記述は正しいです。

(2) 等分布荷重が作用する片持ち梁のせん断力は、その固定端が最も大きい。

適切です。その理由は、片持ち梁では荷重を最終的に支えているのが固定端であり、先端から固定端に向かうほど、支えなければならない荷重の合計が大きくなるからです。等分布荷重とは、梁全体にわたって均一に荷重がかかる状態をいいます。この場合、自由端では支える荷重がほとんどありませんが、固定端では梁全体にかかる荷重をまとめて負担することになります。そのため、せん断力は固定端で最大となります。構造力学の基本的な性質として押さえておきたい内容です。

(3) 荷重には、集中荷重、曲げモーメント荷重、等分布荷重等がある。

適切です。その理由は、構造力学では荷重の与え方や作用の仕方によって分類して考えるからです。集中荷重は一点に集中的に作用する荷重、等分布荷重は一定の長さや面にわたって均等に作用する荷重です。また、部材には外力として曲げモーメントが直接作用する場合もあり、これも構造解析上は荷重条件の一つとして扱います。試験では「荷重の種類」と「荷重のかかり方」を区別して理解しているかが問われることがあります。この記述は、荷重の分類として妥当です。

(4) 固定荷重には、家具の重量が含まれる。

不適切です。その理由は、固定荷重とは、建物を構成する部材そのものや、常時その位置に固定されている仕上げ材、設備機器などの重量を指すからです。たとえば、梁、床、壁、天井、仕上げ材、固定された設備などは固定荷重に含まれます。一方、家具は通常、移動や配置換えが可能であり、使用状況によって存在量も変わるため、固定荷重ではなく積載荷重として考えるのが原則です。ここで固定荷重と積載荷重を混同すると、荷重計算の前提を誤ることになります。したがって、この記述が最も不適当です。

(5) 一般区域における積雪荷重は、積雪量1cmごと1m2につき20N以上として計算される。

適切です。その理由は、一般区域における積雪荷重は、建築基準法施行令第86条の考え方に基づき、積雪量1cmごとに1m2あたり20N以上の単位荷重で算定するためです。つまり、雪が何cm積もる地域かに応じて、その深さに比例して屋根などに作用する荷重を見込んでいきます。なお、多雪区域では特定行政庁が別の定めをすることもありますが、設問では一般区域とあるため、この20N/cm・m2という基準で考えてよいです。数字そのものを覚えておくと、試験で非常に役立ちます。

下に移動する

この問題で覚えるポイント

固定荷重は建物本体や固定された仕上げ・設備の重量であり、家具のように移動可能なものは含まれません。家具や人、商品などは積載荷重として考えます。店舗の売場は教室よりも大きな積載荷重を見込む必要があります。片持ち梁に等分布荷重がかかる場合、せん断力は固定端で最大になります。一般区域の積雪荷重は、積雪量1cmごとに1m2あたり20N以上という基準を押さえておくことが大切です。

ひっかけポイント

固定荷重と積載荷重の区別をあいまいにすると誤答しやすいです。家具は重くても固定荷重ではありません。店舗、教室、事務室などの用途別の積載荷重は数値が似ているため、大小関係で整理して覚えると有効です。構造力学では、片持ち梁の固定端でせん断力や曲げモーメントが大きくなる点も定番のひっかけです。積雪荷重は多雪区域の特例と一般区域の原則を混同しないよう注意が必要です。

次の問題へ