【ビル管過去問】令和7年度 問題92|日射と天空日射・日影曲線を解説

問題

日射·日照に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) 直達日射と天空日射は、短波長放射と呼ばれる。

(2) 紫外線は、体内でビタミンDを生成する作用がある。

(3) 天空日射とは、太陽光が大気中で散乱して、地上に降りそそいだものである。

(4) 夏至の晴天日において、南向き鉛直壁面の日積算日射受熱量は、那覇の方が東京より多い。

(5) 日影曲線とは、地面に垂直な単位長さの棒が水平面に落とす影の先端の位置の軌跡を季節別に描いたものである。

ビル管過去問|日射と天空日射・日影曲線を解説

この問題は、日射の種類、紫外線の作用、天空日射の意味、方位別の日射の受け方、日影曲線の定義について問う問題です。建築環境工学では、太陽からの放射がどのように建物に当たるかを理解することが重要です。正しい選択肢ではなく、最も不適当なものを選ぶ問題なので、各用語の意味を正確に押さえておく必要があります。

下に移動する

(1) 直達日射と天空日射は、短波長放射と呼ばれる。

適切です。その理由は、太陽から地表に届く放射は主として短波長の電磁波であり、建築環境の分野ではこれを短波長放射として扱うためです。直達日射は太陽から直接届く日射であり、天空日射は大気中で散乱されたのちに空全体から届く日射ですが、どちらももともとは太陽放射に由来しています。そのため、いずれも短波長放射に分類されます。これに対して、建物や地面、人の体などが熱を持って放出する放射は長波長放射です。短波長放射と長波長放射の区別は、日射や熱環境を考えるうえで基本になります。

(2) 紫外線は、体内でビタミンDを生成する作用がある。

適切です。その理由は、紫外線のうち特に一定の波長域の光は、皮膚に作用してビタミンDの生成を助けるからです。ビタミンDは骨の形成やカルシウムの吸収に関係する重要な栄養素であり、日光を浴びることがその生成に関与しています。もちろん、紫外線は浴びすぎると皮膚への悪影響もありますが、この選択肢は紫外線の生理作用の一つを述べているため正しい内容です。試験では、紫外線は有害な面だけでなく、有益な作用もあることを押さえておくと判断しやすくなります。

(3) 天空日射とは、太陽光が大気中で散乱して、地上に降りそそいだものである。

適切です。その理由は、天空日射の定義そのものを述べているからです。太陽光は大気中の分子やちり、水蒸気などによって散乱されます。その散乱した光が空全体から地表に届くものを天空日射といいます。晴天でも曇天でも、空から明るさを感じるのはこの散乱光があるためです。直達日射は太陽の方向から直接届くのに対し、天空日射は空の広い範囲から届くという違いがあります。この区別は、窓面や壁面の日射取得、室内の明るさ、熱負荷を考える際に重要です。

(4) 夏至の晴天日において、南向き鉛直壁面の日積算日射受熱量は、那覇の方が東京より多い。

不適切です。その理由は、夏至の頃は那覇の方が東京より緯度が低く、太陽高度が非常に高くなるため、南向きの鉛直壁面にはかえって日射が当たりにくくなるからです。南向き鉛直壁面は、太陽が低めの位置にある季節には日射を受けやすいですが、夏のように太陽が高く昇る時期には、屋根や水平面に比べて受ける日射量が小さくなります。特に那覇では夏至時の太陽がかなり高い位置を通るため、南面への入射角が不利になり、南向き壁面の日積算日射受熱量が東京より多いとはいえません。つまり、緯度が低い地域ほど常に南面の日射量が多い、と単純にはいえない点がこの問題のポイントです。

(5) 日影曲線とは、地面に垂直な単位長さの棒が水平面に落とす影の先端の位置の軌跡を季節別に描いたものである。

適切です。その理由は、日影曲線の説明として正しいからです。日影曲線は、ある地点に垂直に立てた棒の影が、時刻や季節によってどのように動くかを表したものです。太陽の位置は季節と時刻により変化するため、影の長さや向きも変わります。その影の先端を追って図にしたものが日影曲線です。建築計画では、建物の配置、日照条件、遮へいの検討などに使われます。単なる影の長さだけでなく、時間による移動の全体像を把握するための図であることを理解しておくことが大切です。

下に移動する

この問題で覚えるポイント

太陽から来る放射である直達日射と天空日射は、どちらも短波長放射です。天空日射は大気中で散乱された太陽光です。紫外線にはビタミンD生成を助ける作用があります。南向き鉛直壁面は、夏のように太陽高度が高い時期には日射を受けにくくなります。日影曲線は、棒の影の先端の軌跡を時刻と季節ごとに表したものです。

ひっかけポイント

緯度が低い地域ほど、どの面でも日射量が多いと考えると誤ります。問題では「南向き鉛直壁面」であることが重要です。水平面と鉛直面では日射の受け方が異なります。夏至という条件も見落としやすく、太陽高度が高い時期は南面に不利になることがあります。天空日射と直達日射の違いをあいまいに覚えていると、散乱光の説明問題で迷いやすいです。

次の問題へ