【ビル管過去問】令和7年度 問題100|火災時の排煙方式(自然排煙・機械排煙・加圧防煙)を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和7年度(2025年)|建築物の構造概論第100問

問題

火災時の排煙対策に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) 自然排煙方式では排煙窓の他に、当該室の下部に給気経路を確保することが望ましい。

(2) 排煙設備の給気機の外気取入口は、新鮮な空気を取り入れるため屋上に設置するのが望ましい。

(3) 機械排煙方式では、火災室が負圧になり廊下への漏煙を防止できるが、避難扉の開閉障害が生じるおそれがある。

(4) 加圧防煙は、階段室への煙の侵入を防止するため階段室付室や廊下に用いられることが多い。

(5) 第2種排煙の煙排出量は、排煙窓位置での内外圧力差と排煙窓の有効面積で定まる。

ビル管過去問|火災時の排煙方式(自然排煙・機械排煙・加圧防煙)を解説

この問題は、火災時に発生する煙をどのように制御するかについて、自然排煙、機械排煙、加圧防煙、第2種排煙の特徴を問う問題です。排煙対策では、煙を外へ出すことだけでなく、給気経路の確保、室内外の圧力差、避難経路への煙の侵入防止が重要になります。正しい選択肢は(2)です。排煙設備の給気機の外気取入口は、火災時の煙を吸い込まない位置に設ける必要がありますが、単に屋上に設置すればよいとは限らないため、この記述が不適切です。

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(1) 自然排煙方式では排煙窓の他に、当該室の下部に給気経路を確保することが望ましい。

適切です。自然排煙方式は、火災で発生した高温の煙が上昇する性質を利用し、排煙窓などから煙を屋外へ排出する方式です。このとき、室内から煙が出ていくためには、その分の空気が室内へ入る経路が必要になります。下部に給気経路があると、上部から煙を排出しやすくなり、煙層の安定や排煙効率の向上につながります。排煙口だけを設けても、給気が不足すると排煙が十分に行われにくくなるため、給気経路の確保は重要です。

(2) 排煙設備の給気機の外気取入口は、新鮮な空気を取り入れるため屋上に設置するのが望ましい。

不適切です。給気機の外気取入口は、火災時に煙を吸い込まない位置に設けることが重要です。屋上は一見すると新鮮な空気を取り入れやすい場所に思えますが、火災時には建物の開口部や排煙口から出た煙が上昇し、屋上付近に流れることがあります。そのため、屋上に設置すると、かえって煙を吸い込むおそれがあります。外気取入口は、排煙口や煙の流れの影響を受けにくい位置に設ける必要があります。「新鮮な空気を取り入れるため屋上に設置するのが望ましい」と断定している点が誤りです。

(3) 機械排煙方式では、火災室が負圧になり廊下への漏煙を防止できるが、避難扉の開閉障害が生じるおそれがある。

適切です。機械排煙方式は、排煙機を用いて火災室内の煙を強制的に排出する方式です。火災室から空気や煙を機械的に吸い出すため、火災室は周囲よりも圧力が低い負圧状態になりやすくなります。これにより、煙が廊下などの避難経路へ漏れにくくなる効果があります。一方で、負圧が大きくなりすぎると、扉を開けるときに強い力が必要になり、避難扉の開閉障害が生じるおそれがあります。排煙の効果と避難上の支障をあわせて考えることが大切です。

(4) 加圧防煙は、階段室への煙の侵入を防止するため階段室付室や廊下に用いられることが多い。

適切です。加圧防煙は、避難経路側に空気を送り込んで圧力を高くし、煙が侵入しにくい状態をつくる方式です。特に階段室は、火災時に避難経路として重要であり、煙が入ると避難に大きな支障が出ます。そのため、階段室、階段室付室、廊下などを加圧し、火災室側から煙が流れ込まないようにする考え方が用いられます。煙を排出するというより、圧力差によって煙の侵入を防ぐ方式として理解すると整理しやすいです。

(5) 第2種排煙の煙排出量は、排煙窓位置での内外圧力差と排煙窓の有効面積で定まる。

適切です。第2種排煙は、給気を機械的に行い、排煙は自然排煙によって行う方式です。煙が排煙窓から外へ出る量は、排煙窓の有効面積と、排煙窓の位置における室内外の圧力差によって左右されます。排煙窓が大きく、内外圧力差が十分にあれば排煙量は増えますが、圧力差が小さい場合は、排煙窓があっても十分に排煙できないことがあります。第2種排煙では、機械給気と自然排煙の関係を押さえることが重要です。

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この問題で覚えるポイント

火災時の排煙対策は、煙を外へ出す方式と、煙を避難経路に入れない方式に分けて整理すると理解しやすくなります。自然排煙方式は、煙の浮力を利用して排煙窓などから煙を排出する方式であり、上部に排煙口、下部に給気経路を確保することが基本です。機械排煙方式は、排煙機で煙を強制的に排出する方式で、火災室を負圧にして廊下への漏煙を抑える効果がありますが、負圧が大きすぎると扉が開きにくくなることがあります。加圧防煙は、階段室や付室などの避難経路側を加圧し、煙の侵入を防ぐ方式です。第2種排煙は、機械給気と自然排煙を組み合わせた方式で、煙排出量は排煙窓の有効面積と内外圧力差に影響されます。外気取入口は、新鮮な空気を取り入れるために設けますが、排煙口や煙の流れの影響を受けにくい位置に設置する必要があります。単に屋上がよいと覚えるのではなく、煙を吸い込まない位置が重要だと押さえてください。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、「屋上なら新鮮な空気を取り入れやすい」という日常感覚を利用している点です。通常時であれば屋上は外気を取り入れる場所として自然に思えますが、火災時には煙が上昇し、屋上付近に流れる可能性があります。そのため、火災時の設備では、通常時の空気のきれいさだけでなく、煙の流れや排煙口との位置関係を考える必要があります。また、排煙という言葉から「煙を出す設備」だけを考えがちですが、実際には給気、圧力差、避難扉の開閉、階段室への煙の侵入防止まで含めて判断します。「一部だけ正しい文章」に注意することも大切です。新鮮な空気を取り入れるという目的は正しくても、屋上に設置するのが望ましいと断定している部分が誤りになります。火災時の排煙対策では、目的だけでなく、設置位置や圧力の働きまで確認する習慣をつけると正答に近づけます。

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