出典:建築物衛生管理技術者試験令和7年度(2025年)|建築物衛生行政概論第9問
問題
建築物衛生法に基づく建築物環境衛生管理技術者に関する次の記述のうち、最も適当なものはどれか。
(1) 建築物環境衛生管理技術者の免状の記載事項に変更を生じたときは、厚生労働大臣に免状の再交付を申請しなければならない。
(2) 選任された特定建築物に常駐することが必要である。
(3) 特定建築物所有者等と雇用関係がなければならない。
(4) 特定建築物維持管理権原者に対し、当該特定建築物の維持管理について意見を述べることができる。
(5) 環境衛生上必要な事項を記載した帳簿書類を備えておかなければならない。
ビル管過去問|建築物環境衛生管理技術者を解説
この問題は、建築物環境衛生管理技術者の立場、権限、選任条件、免状、帳簿書類に関する知識を問う問題です。建築物環境衛生管理技術者は、特定建築物の衛生的な維持管理について専門的な立場から監督し、必要に応じて維持管理権原者に意見を述べることができます。したがって、正しい選択肢は(4)です。

(1) 建築物環境衛生管理技術者の免状の記載事項に変更を生じたときは、厚生労働大臣に免状の再交付を申請しなければならない。
不適切です。免状の記載事項に変更が生じた場合に行うのは、再交付ではなく書換え交付の申請です。再交付は、免状を亡失したり、破損したりした場合などに行う手続です。試験では、書換え交付と再交付の違いが問われやすいため、変更は書換え、紛失や破損は再交付と整理して覚えると判断しやすくなります。
(2) 選任された特定建築物に常駐することが必要である。
不適切です。建築物環境衛生管理技術者は、選任された特定建築物に常駐することまでは求められていません。重要なのは、特定建築物の維持管理について適切に監督できる体制にあることです。日常的な管理状況を把握し、必要な助言や意見を述べられることが求められますが、常にその建物内にいる必要があるわけではありません。
(3) 特定建築物所有者等と雇用関係がなければならない。
不適切です。建築物環境衛生管理技術者は、特定建築物所有者等と必ず雇用関係にある必要はありません。外部委託などにより、雇用関係がない者を選任することも可能です。大切なのは、形式的な雇用関係の有無ではなく、維持管理について専門的に関与し、必要な職務を果たせるかどうかです。
(4) 特定建築物維持管理権原者に対し、当該特定建築物の維持管理について意見を述べることができる。
適切です。建築物環境衛生管理技術者は、特定建築物の衛生的な維持管理を確保するため、維持管理権原者に対して必要な意見を述べることができます。また、維持管理権原者は、その意見を尊重しなければなりません。管理技術者は単なる名義上の資格者ではなく、建物の衛生管理について専門的な立場から関与する役割を持っています。
(5) 環境衛生上必要な事項を記載した帳簿書類を備えておかなければならない。
不適切です。帳簿書類を備えておかなければならないのは、建築物環境衛生管理技術者ではなく、特定建築物所有者等です。管理技術者は維持管理について監督し、意見を述べる立場ですが、帳簿書類の備付け義務の主体そのものではありません。誰に義務が課されているのかを区別することが重要です。
この問題で覚えるポイント
建築物環境衛生管理技術者は、特定建築物の衛生的な維持管理について専門的に監督するために選任される資格者です。特定建築物ごとに選任され、空気環境、給水、排水、清掃、ねずみ等の防除など、建築物環境衛生管理基準に関わる管理全体に関与します。管理技術者は、維持管理権原者に対して必要な意見を述べることができ、維持管理権原者はその意見を尊重する必要があります。一方で、管理技術者が必ず常駐しなければならないわけではなく、所有者等と直接の雇用関係が必要なわけでもありません。また、帳簿書類を備える義務の主体は特定建築物所有者等であり、管理技術者本人ではありません。免状に関しては、記載事項の変更は書換え交付、亡失や破損は再交付と整理しておくと、正誤判断に直結します。
ひっかけポイント
この問題では、建築物環境衛生管理技術者の役割を実際よりも重く見せたり、逆に義務の主体をすり替えたりする表現に注意が必要です。常駐や雇用関係という言葉は、責任ある管理者であれば必要に思えてしまいますが、法律上そこまで求められているわけではありません。また、帳簿書類の備付けは衛生管理に関わる重要事項なので、管理技術者の義務だと考えやすいですが、実際の義務主体は特定建築物所有者等です。さらに、免状の書換え交付と再交付のように、似た手続名を入れ替える出題も典型的なひっかけです。誰が、何を、どのような場合に行うのかを分けて覚えることが、このテーマの正答につながります。