出典:建築物衛生管理技術者試験 令和6年度(2024年)給水および排水の管理第125問
問題
雑用水設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
(1) 雑用水供給設備は、雑用水受水槽、ポンプ、配管類、末端の器具等で構成される。
(2) 原水にし尿を含む雑用水は、散水用水に利用できる。
(3) 雑用水受水槽の内面は、合成樹脂防水モルタル等で防水処理を行う。
(4) 雑用水の配管は、上水管と異なる色で塗装する。
(5) 排水を再処理した雑用水では、スライムが発生しやすい。
ビル管過去問|雑用水設備の構成を解説
この問題は、雑用水設備の基本構成と、雑用水の用途制限、受水槽の構造、配管識別、維持管理上の注意点を問う問題です。雑用水は飲用に使わない水ですが、何にでも使えるわけではなく、原水の性状や衛生性に応じて用途が厳しく制限されます。正しい選択肢は、雑用水供給設備の構成を述べたもの、受水槽の防水処理を述べたもの、配管識別を述べたもの、スライム発生のしやすさを述べたものです。不適当なのは、原水にし尿を含む雑用水を散水用水に利用できるとした記述です。したがって、正しい理解としては、し尿を含む系統の雑用水は人体接触や飛散の恐れがある用途に不向きであり、用途選定に特に注意が必要だと押さえることが大切です。
(1) 雑用水供給設備は、雑用水受水槽、ポンプ、配管類、末端の器具等で構成される。
適切です。雑用水供給設備は、再生処理された雑用水を建物内の所定用途へ送るための一連の設備で構成されます。具体的には、処理された水を一時的に貯留する槽、必要な圧力で送水するポンプ、各使用箇所へ運ぶ配管、そして洗浄弁や散水栓などの末端器具が含まれます。設備の全体像を問う基本事項なので、雑用水設備を「貯める」「送る」「運ぶ」「使う」という流れで整理して覚えると理解しやすいです。
(2) 原水にし尿を含む雑用水は、散水用水に利用できる。
不適切です。し尿を含む排水を原水とする雑用水は、衛生上の危険性に特に注意が必要です。散水用水は、散水時に水滴が飛散し、人が吸い込んだり皮膚に触れたりする可能性があります。そのため、たとえ再生処理を行ったとしても、し尿を含む原水由来の雑用水を散水用途に用いるのは不適当と考えます。雑用水は用途ごとに衛生リスクを見て判断することが重要で、人体への接触やエアロゾル化の可能性がある用途ほど慎重な制限が必要になります。この選択肢は、「雑用水だから何にでも使える」と考える受験者を狙った典型的なひっかけです。
(3) 雑用水受水槽の内面は、合成樹脂防水モルタル等で防水処理を行う。
適切です。雑用水受水槽は水を貯留する槽であるため、槽内面に適切な防水処理を施し、漏水や躯体劣化を防ぐ必要があります。合成樹脂防水モルタルなどを用いるのは、そのための一般的な方法の一つです。受水槽は長期間水と接するため、防水性だけでなく、清掃しやすさや耐久性も重要です。雑用水槽は上水用受水槽とは用途が異なりますが、槽としての基本性能である水密性の確保は共通して重要だと理解しておくとよいです。
(4) 雑用水の配管は、上水管と異なる色で塗装する。
適切です。雑用水配管は上水配管と明確に識別できるようにする必要があります。もし識別が不十分だと、誤接続や誤使用が起こり、飲用水系統への混入など重大な衛生事故につながるおそれがあります。そのため、配管の色分けや表示を行い、他系統と区別できるようにします。ビル管理の実務では、配管の見分けやすさは保守点検や改修工事の安全性にも直結します。単なる見た目の問題ではなく、衛生管理上の重要措置として理解することが大切です。
(5) 排水を再処理した雑用水では、スライムが発生しやすい。
適切です。排水を再処理した雑用水には、処理後であっても微生物の栄養源となる有機物が残ることがあり、配管や槽の内面でスライムが発生しやすくなります。スライムはぬめり状の微生物群で、悪臭、水質悪化、配管閉塞、衛生状態の悪化の原因になります。そのため、雑用水設備では残留塩素の管理、槽や配管の清掃、滞留防止などの維持管理が重要です。雑用水は上水よりも水質変動の影響を受けやすいため、設備を作って終わりではなく、運転管理まで含めて理解しておく必要があります。
この問題で覚えるポイント
雑用水設備は、受水槽、ポンプ、配管、末端器具などで構成される設備全体として捉えることが大切です。 雑用水は用途に制限があり、特に原水にし尿を含む場合は、人体への接触や飛散のおそれがある用途に使えないと考えるのが基本です。 雑用水槽の内面には防水処理が必要で、水密性と耐久性を確保することが重要です。 雑用水配管は上水配管と明確に識別しなければなりません。色分けや表示は誤接続防止のための重要事項です。 排水再利用型の雑用水では、上水よりもスライムや水質悪化が起こりやすく、残留塩素管理、清掃、滞留防止が維持管理上の要点になります。 試験では、雑用水の用途制限、配管の誤接続防止、再利用水の衛生管理がよく問われます。定義だけでなく、なぜその制限が必要なのかまで理解しておくと正誤判断が安定します。
ひっかけポイント
雑用水という言葉から、「飲めないだけで用途は広い」と思い込むと誤ります。実際には原水の種類や衛生リスクによって使える用途が制限されます。 「処理しているのだから安全」と短絡的に考えるのも危険です。再処理水には飛散や接触による衛生リスクが残る場合があり、用途制限はなくなりません。 配管の色分けを単なる表示ルールと軽く見ると引っかかります。試験では、識別措置を誤接続防止という衛生管理の本質と結び付けて問うことが多いです。 スライムについては、汚れの一種くらいに考えると不十分です。微生物管理、水質維持、配管保全の問題として押さえる必要があります。 一見もっともらしい文章でも、一部だけ正しくて結論が誤っていることがあります。特に雑用水の問題では、「設備構成は正しいが用途が誤り」「処理の説明は正しいが衛生評価が誤り」という形に注意してください。
