出典:建築物衛生管理技術者試験 令和6年度(2024年) 給水および排水の管理 第126問
問題
雑用水として使用する場合の標準的な雨水処理施設における次の処理フローの( )内に入る単位装置の組合せとして、最も適当なものはどれか。 集水 → スクリーン → ( ア ) → ( イ ) → 雨水貯留槽 → 消毒装置 → 雑用水槽 → 給水
(1) ア:沈砂槽 イ:活性炭吸着装置
(2) ア:流量調整槽 イ:活性炭吸着装置
(3) ア:沈砂槽 イ:沈殿槽
(4) ア:生物処理槽 イ:沈殿槽
(5) ア:流量調整槽 イ:生物処理槽
ビル管過去問|雨水利用設備の処理フロー(雨水処理施設の工程)を解説
この問題は、雨水を雑用水として再利用する場合の標準的な処理工程を問う問題です。ポイントは、雨水に含まれるごみや砂分、浮遊物をどの順番で除去するかを正しく理解しているかどうかです。雨水利用では、まずスクリーンで大きなごみを除去し、その後に比較的重い砂分を沈める沈砂槽、さらに細かな浮遊物を沈降させる沈殿槽を通してから貯留し、最後に消毒して供給する流れが基本です。したがって、正しい選択肢は(3)です。
(1) ア:沈砂槽 イ:活性炭吸着装置
不適切です。沈砂槽をスクリーンの後に置く考え方は適切ですが、その次に活性炭吸着装置を置く流れは標準的な雨水処理フローとしては適当ではありません。活性炭吸着装置は、臭気成分や溶解性の有機物などを吸着除去する高度処理設備として用いられることがありますが、雨水利用設備の標準的な基本工程ではありません。まず優先されるのは、雨水に混入しやすい砂や浮遊物といった物理的な不純物の除去です。そのため、沈砂槽の後には細かな懸濁物を沈降させる沈殿槽が入るのが自然です。活性炭吸着装置を早い段階で入れても、前段の固形物除去が不十分だと装置への負荷が大きくなり、効率も維持管理性も悪くなります。
(2) ア:流量調整槽 イ:活性炭吸着装置
不適切です。流量調整槽は、流入水量の変動をならして後段設備への負荷を安定させる目的で設けられる槽ですが、この問題で問われているのは雑用水用雨水処理施設の標準的な処理フローです。標準的な工程としては、スクリーンの後にまず砂分を除去する沈砂槽、その後に浮遊物を除去する沈殿槽という並びが基本になります。流量調整槽は施設条件によって設けられることはありますが、ここでの標準フローの中心的な単位装置ではありません。また、活性炭吸着装置も同様に高度処理寄りの設備であり、標準工程の中核ではありません。標準的な順序を問う問題で、補助的あるいは追加的な設備を選ばせる典型的なひっかけです。
(3) ア:沈砂槽 イ:沈殿槽
適切です。スクリーンで大きなごみを取り除いた後、次に必要になるのは比重の大きい砂分や土砂を分離する工程です。その役割を担うのが沈砂槽です。雨水には屋根面や集水面から流れ込んだ砂や細かな土粒子が含まれることがあるため、まずそれらを沈降させて除去します。その後、沈殿槽でより細かな浮遊物や懸濁物を時間をかけて沈降分離します。こうして固形物を段階的に取り除いたうえで雨水貯留槽に送り、最終的に消毒して雑用水として使用します。この順序は、物理的な不純物を大きいものから小さいものへ、粗いものから細かいものへと整理して除去する合理的な流れであり、標準的な雨水処理施設の工程として正しいです。
(4) ア:生物処理槽 イ:沈殿槽
不適切です。生物処理槽は、排水中の有機物を微生物の働きで分解するための設備であり、主に汚水や雑排水の処理で重要となる装置です。一方、雨水利用設備で対象となるのは主として降雨由来のごみ、砂分、浮遊物などであり、標準的な処理は物理処理が中心です。そのため、スクリーンの直後に生物処理槽を置くのは、雨水処理の標準フローとしては不自然です。確かに水質条件によっては追加処理が検討される場合もありますが、試験ではまず標準的な基本構成を押さえることが大切です。生物処理という言葉に引っぱられて、処理として高度に見えるものを選ばないよう注意が必要です。
(5) ア:流量調整槽 イ:生物処理槽
不適切です。流量調整槽も生物処理槽も、雨水の標準的な前処理工程としては中心的な組合せではありません。流量調整槽は流量変動対策、生物処理槽は有機汚濁の生物学的分解という役割を持ちますが、雨水利用設備でまず必要なのは、スクリーン後の砂分除去と浮遊物除去です。つまり、物理的な除去工程を優先して考える必要があります。この選択肢は、設備名称としてはもっともらしく見えますが、雨水処理と排水処理の設備を混同させるための選択肢です。雨水利用の標準工程か、生活排水や汚水の処理工程かを切り分けて考えることが重要です。
この問題で覚えるポイント
雨水を雑用水として利用する標準的な処理は、物理処理が中心です。 基本の流れは、集水、スクリーン、沈砂、沈殿、貯留、消毒、給水です。 スクリーンは、大きなごみや落葉などを除去する設備です。 沈砂槽は、比重の大きい砂や土粒子を沈めて除去する設備です。 沈殿槽は、比較的細かな浮遊物や懸濁物を沈降させて除去する設備です。 雨水貯留槽は処理後の水をためる槽であり、処理そのものを担う装置ではありません。 消毒装置は、雑用水として供給する前に衛生性を確保するために設けます。 活性炭吸着装置は、臭気や溶解性物質の除去などに使われることがありますが、標準的な雨水処理フローの必須工程ではありません。 生物処理槽は、主として汚水や雑排水の有機物処理に用いられる設備であり、雨水利用の標準工程とは性格が異なります。 試験では、雨水処理は物理処理中心、汚水処理は生物処理中心という大きな整理で覚えると正誤判断がしやすくなります。
ひっかけポイント
もっとも多い罠は、雨水処理と排水処理の設備を混同してしまうことです。生物処理槽という言葉は本格的で正しそうに見えますが、雨水の標準処理ではまず物理的なごみや砂分の除去が優先です。 活性炭吸着装置のような高度処理設備も、聞こえはよいのですが、標準フローを問われている場面では過剰な設備であることがあります。試験では「高度な設備=正しい」と思い込むと外しやすいです。 流量調整槽のように実務上は使われることのある設備でも、標準的な処理フローの中核とは限りません。設備の存在を知っていることと、標準工程として選ぶべきかは別です。 この種の問題では、各設備の役割を単独で覚えるだけでなく、どの順番で並ぶかまでセットで覚えることが重要です。順序まで理解していないと、正しい設備名が含まれていても誤答しやすくなります。
