【ビル管過去問】令和6年度 問題110|給水設備の水質劣化の原因を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験 令和6年度(2024年) 給水および排水の管理 第110問

問題

給水設備における水質劣化の原因に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) スケールは、水の硬度成分によって生じ、配管の詰まりの原因となる。

(2) 赤水は、亜鉛めっき鋼管の給水配管で亜鉛層の防食効果が失われ、素地の鉄が腐食することによって生じる。

(3) スライム障害は、細菌類や藻類の増殖によって生じ、消毒効果の低下の原因となる。

(4) 白濁水は、亜鉛めっき鋼管の亜鉛の腐食生成物が水に混ざって白濁することによって生じる。

(5) トリハロメタンは、水槽内の水温の低下によって、その生成量が増加する傾向にある。

ビル管過去問|給水設備の水質劣化の原因を解説

この問題は、給水設備で起こる代表的な水質劣化の現象について、原因と特徴を正しく結び付けられるかを問う問題です。スケール、赤水、スライム、白濁水は、いずれも建築物の給水管理で重要な基礎知識です。これらは設備材料や水質、微生物の増殖などが原因となって生じます。一方、トリハロメタンは水温が低下すると増えるのではなく、一般に水温が高いほど生成しやすくなるため、最も不適当なのは(5)です。(1)から(4)は適切で、(5)が不適切です。

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(1) スケールは、水の硬度成分によって生じ、配管の詰まりの原因となる。

適切です。スケールとは、水中に含まれるカルシウムやマグネシウムなどの硬度成分が、加熱や圧力変化などの影響で析出し、配管や機器の内面に付着したものです。代表例は炭酸カルシウムなどで、給湯設備や熱交換器、配管内部に付着しやすいです。スケールが蓄積すると通水断面が狭くなり、流量低下や圧力損失の増大、配管の詰まりの原因になります。したがって、硬度成分によって生じ、配管閉塞の一因となるという記述は正しいです。

(2) 赤水は、亜鉛めっき鋼管の給水配管で亜鉛層の防食効果が失われ、素地の鉄が腐食することによって生じる。

適切です。赤水は、配管内部の鉄が腐食し、その腐食生成物である赤さびが水中に混入することで生じます。亜鉛めっき鋼管は、表面の亜鉛層によって鋼材を保護していますが、使用年数の経過や水質条件によって亜鉛層が消耗すると、内部の鉄が露出して腐食しやすくなります。その結果、赤褐色の水となって現れます。したがって、亜鉛層の防食効果が失われ、素地の鉄が腐食することで赤水が発生するという説明は適切です。

(3) スライム障害は、細菌類や藻類の増殖によって生じ、消毒効果の低下の原因となる。

適切です。スライムとは、細菌、真菌、藻類などの微生物が増殖し、ぬめり状の膜を形成したものです。配管や水槽の内面に付着すると、見た目の衛生状態を悪化させるだけでなく、微生物が消毒剤を消費したり、消毒剤が十分に接触しにくい環境をつくったりします。そのため、残留塩素による消毒効果が低下しやすくなります。さらに、スライムはレジオネラ属菌などの温床になり得るため、衛生管理上も重要な障害です。この記述は正しいです。

(4) 白濁水は、亜鉛めっき鋼管の亜鉛の腐食生成物が水に混ざって白濁することによって生じる。

適切です。白濁水は、亜鉛めっき鋼管から溶出した亜鉛が腐食生成物となって水中に混入し、水が白っぽく濁って見える現象です。新しい亜鉛めっき鋼管や、水質条件が亜鉛の腐食を促進する場合にみられることがあります。赤水が主に鉄の腐食による赤さびであるのに対し、白濁水は亜鉛由来の白色系の腐食生成物による点が異なります。したがって、この記述は適切です。

(5) トリハロメタンは、水槽内の水温の低下によって、その生成量が増加する傾向にある。

不適切です。トリハロメタンは、浄水処理で用いられる塩素が水中の有機物と反応して生成される消毒副生成物です。一般に、反応は水温が高いほど進みやすくなるため、水温が上がると生成量が増加する傾向があります。また、接触時間が長いことや、有機物が多いことも生成量の増加要因です。したがって、「水温の低下によって生成量が増加する」という説明は逆であり、誤りです。この問題ではこれが最も不適当な記述です。

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この問題で覚えるポイント

スケールは、主にカルシウムやマグネシウムなどの硬度成分が析出して生じる付着物です。配管の閉塞、流量低下、熱効率低下の原因になります。 赤水は、鉄の腐食生成物が水中に混入して赤褐色になる現象です。亜鉛めっき鋼管では、亜鉛層の防食機能が失われた後に素地の鉄が腐食して発生します。 白濁水は、亜鉛めっき鋼管の亜鉛の腐食生成物が原因で生じます。赤水と白濁水は、どちらも配管腐食に関係しますが、赤水は鉄、白濁水は亜鉛が主な原因です。 スライム障害は、細菌類や藻類などの微生物が増殖して形成するぬめり状物質による障害です。消毒剤の効きが悪くなり、衛生上のリスクも高まります。 トリハロメタンは、塩素と有機物の反応で生じる消毒副生成物です。水温が高い、接触時間が長い、有機物が多いといった条件で生成しやすくなります。 試験では、「腐食による着色濁り」と「消毒副生成物の生成条件」を分けて整理することが大切です。配管材料に由来する現象なのか、塩素消毒に由来する現象なのかを切り分けると正誤判断がしやすくなります。

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ひっかけポイント

水質劣化の現象をすべて同じ種類のトラブルとして覚えてしまうと、混同しやすくなります。スケールや赤水、白濁水は主に配管材料や水中成分の影響ですが、トリハロメタンは塩素と有機物の化学反応による消毒副生成物です。原因の種類が違います。 「温度が低いほど安全そうだ」という日常感覚に引っ張られると、トリハロメタンの記述を見誤ります。実際には、化学反応は一般に高温のほうが進みやすいため、水温上昇で生成しやすいと押さえる必要があります。 赤水と白濁水は、どちらも亜鉛めっき鋼管で起こり得るため混同しやすいですが、赤水は鉄の腐食、白濁水は亜鉛の腐食生成物という違いがあります。一部だけ知っていると誤答しやすい典型例です。 スライム障害は「見た目のぬめり」の問題だけだと考えると不十分です。実際には、消毒効果の低下や微生物管理の悪化につながるため、衛生管理上の重要性まで理解しておく必要があります。 この種の問題では、文章の前半が正しくても、後半の原因や条件が逆になっていることがあります。用語を知っているだけでなく、何が原因で、どの条件で増減するのかまでセットで覚えることが、ひっかけに強くなるコツです。

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