出典:建築物衛生管理技術者試験|令和6年度(2024年)建築物の構造概論第98問
問題
建築物の運用及び建築設備に関する用語の組合せとして、最も不適当なものは次のうちどれか。
(1) インバータ制御 ――― 省エネルギー
(2) LAN――― 情報通信網
(3) 風力発電 ――― 分散電源システム
(4) ページング ――― 構內放送設備
(5) デューディリジェンス ――― 防災対策
ビル管過去問|建築設備建築物運用の用語を解説
この問題は、建築物の運用や設備分野で使われる基本用語を、正しい意味や用途と結び付けられるかを問う問題です。設備管理の現場では、用語を何となく雰囲気で覚えていると、似た分野の言葉同士を取り違えやすくなります。インバータ制御は省エネルギー、LANは情報通信網、風力発電は分散電源システム、ページングは構内放送設備に関係するため適切です。一方、デューディリジェンスは防災対策そのものを意味する言葉ではなく、不動産や事業、建築物などの価値やリスクを事前に調査評価する行為を指します。したがって、最も不適当なのは(5)です。
(1) インバータ制御 ――― 省エネルギー
適切です。インバータ制御とは、モーターの回転数を必要に応じて変化させる制御方式です。ポンプやファンは、常に全速運転する必要がない場面が多く、必要風量や必要水量に応じて回転数を下げれば、消費電力を大きく抑えることができます。特に回転機器では、負荷に応じた細かな制御が可能になるため、省エネルギー対策として広く使われています。建築設備の省エネ分野では代表的な用語の一つです。
(2) LAN――― 情報通信網
適切です。LANはLocal Area Networkの略で、建物内や敷地内など比較的限定された範囲で構成される情報通信ネットワークを指します。事務所ビルや病院、学校などでは、パソコン、プリンタ、サーバ、各種監視装置などを接続するためにLANが使われます。つまり、LANを情報通信網と結び付けるのは正しい理解です。近年は設備の中央監視やBEMSとの連携でも通信網の理解が重要になっています。
(3) 風力発電 ――― 分散電源システム
適切です。分散電源システムとは、大規模な発電所だけに依存せず、需要地の近くで電力を供給する仕組みをいいます。風力発電は、太陽光発電やコージェネレーションなどと並んで分散電源の一つとして扱われます。建築設備の文脈では、非常用電源や省エネ、再生可能エネルギー利用の関連語として出題されることがあります。したがって、この組合せは適切です。
(4) ページング ――― 構內放送設備
適切です。ページングとは、建物内の特定の場所や全館に対して呼び出しや案内の放送を行う仕組みを指します。病院、事務所、商業施設などで館内呼び出しや業務放送に使われるため、構内放送設備と結び付けるのが正しいです。英語由来の用語なので一見すると通信設備の専門用語のように見えますが、実際には放送設備の運用と深く関係しています。
(5) デューディリジェンス ――― 防災対策
不適切です。デューディリジェンスとは、建築物や不動産、企業などを取得したり運用したりする前に、その価値、法的問題、物理的状態、環境リスク、修繕リスクなどを詳細に調査することをいいます。建築分野では、エンジニアリングレポートの作成や建物の劣化状況、法令適合性、修繕費見込みなどを確認する場面で使われます。防災に関する調査が含まれることはありますが、言葉そのものの意味は防災対策ではありません。防災対策は災害被害を軽減するための準備や措置を指すため、両者は一致しません。この選択肢は、一部に関連があることを利用して、用語の本来の定義をずらしたひっかけです。
この問題で覚えるポイント
インバータ制御は、モーター回転数を負荷に応じて調整する制御方式で、ポンプや送風機の省エネルギーに直結します。
LANは、建物内や限定区域内の情報通信網を指します。中央監視設備や各種ICT設備とも関係します。
風力発電、太陽光発電、コージェネレーションなどは、需要地近くで電力を供給する分散電源システムとして整理できます。
ページングは、館内放送や呼び出し放送に関する用語です。電話交換や通信そのものではなく、構内放送設備と結び付けて覚えると整理しやすいです。
デューディリジェンスは、建築物や不動産、事業などの取得運用判断の前に行う調査精査を指します。建物調査、法令適合確認、修繕リスク把握、環境リスク評価などが中心です。
試験では、設備そのものの名称だけでなく、運用、通信、放送、評価、エネルギーといった周辺用語も問われます。用語は「何のための言葉か」までセットで理解することが重要です。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、言葉に少し関係があるだけで、同じ意味だと思わせる点にあります。特にデューディリジェンスは、建物リスクや安全性の調査に関わることがあるため、防災と近い分野の言葉に見えてしまいます。しかし、実際には防災対策そのものではなく、調査評価というもっと広い概念です。また、ページングのようなカタカナ語は、通信設備なのか放送設備なのかが曖昧になりやすく、英語の響きだけで判断すると誤りやすいです。この種の問題では、言葉の雰囲気ではなく、「その用語の定義は何か」「どの設備どの運用に属するか」を一つずつ切り分けることが大切です。
