出典:建築物衛生管理技術者試験令和5年度(2023年)|清掃第160問
問題
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という。)第1条の目的に規定されている項目として、該当しないものは次のうちどれか。
(1) 生活環境の保全
(2) 廃棄物の排出抑制
(3) 廃棄物の適正処理
(4) 公衆衛生の向上
(5) 地球環境の保全
ビル管過去問|廃棄物処理法|目的規定・生活環境保全・公衆衛生・適正処理を解説
この問題は、廃棄物処理法第1条の「目的」に何が書かれているかを正確に問う問題です。条文では、廃棄物の排出を抑制し、適正な分別・保管・収集・運搬・再生・処分などの処理を行い、生活環境を清潔にすることによって、生活環境の保全と公衆衛生の向上を図ることを目的としています。したがって、正しい選択肢は「地球環境の保全」で、これは第1条の目的に直接は規定されていないため、設問の「該当しないもの」に当たります。
(1) 生活環境の保全
適切です。廃棄物処理法第1条には、廃棄物の排出抑制や適正処理を通じて「生活環境の保全」を図ることが明記されています。ここでいう生活環境の保全とは、悪臭、汚水、害虫、不法投棄などによって人々の暮らしが損なわれないようにすることです。ビル管理の現場でも、廃棄物の置場管理や分別不良の防止は、まさに生活環境の保全に直結します。条文中の文言そのものを押さえておくことが重要です。
(2) 廃棄物の排出抑制
適切です。廃棄物処理法第1条には、「廃棄物の排出を抑制し」と明記されています。つまり、この法律は出てしまった廃棄物を処理するだけでなく、そもそも廃棄物をできるだけ出さないことも目的に含んでいます。受験対策では、廃棄物処理法は「処理の法律」という印象だけで覚えてしまいがちですが、排出抑制まで含むことを忘れないようにしてください。
(3) 廃棄物の適正処理
適切です。第1条には、廃棄物の適正な分別、保管、収集、運搬、再生、処分等の処理をすることが規定されています。試験では「適正処理」という要約表現で問われることが多いですが、実際の条文では処理の中身がかなり具体的に列挙されています。単に処分するだけではなく、分別から最終的な処分まで一連の流れ全体を適正に行うという点が重要です。
(4) 公衆衛生の向上
適切です。廃棄物処理法第1条には、「公衆衛生の向上を図ること」が明記されています。廃棄物が不適切に放置されると、悪臭、害虫、感染症の媒介など、公衆衛生上の問題が起こりやすくなります。そのため、この法律は単なる環境美化のための法律ではなく、人の健康や衛生状態を守ることも大きな目的にしています。生活環境の保全と公衆衛生の向上は、セットで覚えると整理しやすいです。
(5) 地球環境の保全
不適切です。これが正解です。地球環境の保全という考え方自体は環境関連法令で重要ですが、廃棄物処理法第1条の目的にその文言は直接規定されていません。第1条で明記されているのは、生活環境の保全と公衆衛生の向上です。そのため、「環境を守る法律だから地球環境の保全も目的に入っているはずだ」と日常感覚で判断すると、ひっかかりやすい選択肢です。条文をそのまま覚えることが得点につながります。
この問題で覚えるポイント
廃棄物処理法第1条の目的は、廃棄物の排出を抑制し、適正な分別、保管、収集、運搬、再生、処分等の処理を行い、生活環境を清潔にすることによって、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることです。つまり、キーワードは「排出抑制」「適正処理」「生活環境の保全」「公衆衛生の向上」です。ここで大切なのは、目的規定には抽象的な環境理念を広く書いているのではなく、実務に結びつく具体的な目的が書かれているという点です。試験では、生活環境の保全と公衆衛生の向上を入れ替えたり、地球環境保全や循環型社会形成など別の環境法のキーワードを混ぜたりして問うことがあります。廃棄物処理法の目的は、あくまで廃棄物の排出抑制と適正処理を通じて、身近な生活環境と公衆衛生を守ることだと整理して覚えると、正誤判断が安定します。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、「環境を守る法律」というイメージから、受験者が条文にない大きな理念まで目的に含まれていると考えてしまう点にあります。特に「地球環境の保全」はもっともらしく見えますが、廃棄物処理法第1条の文言ではありません。こうした問題では、自分の常識や印象で判断すると危険です。法律問題は、「たしかに関係はありそう」というレベルではなく、「条文に書いてあるか」で判断するのが基本です。似たテーマとして、循環型社会形成推進基本法ではより広い環境政策の考え方が出てくるため、その知識と混同しないことが大切です。
