【ビル管過去問】令和5年度 問題167|ゴキブリの生態|ゴキブリ指数・フェロモン・屋内外生息性を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和5年度(2023年)|ねずみ、昆虫等の防除第167問

問題

ゴキブリに関する次の記述のうち、最も適当なものはどれか。

(1) ゴキブリは、集団よりも単独で生活するほうが発育は早い。

(2) 8か所に5日間設置した粘着トラップに捕獲されたゴキブリの総数が200匹であった場合のゴキブリ指数は、25である。

(3) ゴキブリは食べ物に対する好みがあり、特定のものだけを喫食する。

(4) ゴキブリは、危険が迫ると警戒フェロモンを分泌する。

(5) 屋内に生息するゴキブリでも、東北地方や関東地方の屋外で越冬できる種類が知られている。

ビル管過去問|ゴキブリの生態|ゴキブリ指数・フェロモン・屋内外生息性を解説

この問題は、ゴキブリの基本的な生態を正しく理解しているかを問う問題です。ポイントは、ゴキブリ指数の計算方法、ゴキブリの食性、フェロモンの種類、そして日本で見られる種ごとの越冬性の違いを整理できているかどうかです。正しい選択肢は(5)です。屋内性とされるゴキブリの中にも、クロゴキブリやヤマトゴキブリのように比較的低温に強く、関東や東北の屋外でも越冬できる種類が知られています。なお、ゴキブリ指数は「1日1トラップ当たりの捕獲数」で計算するため、この設問の条件では25ではなく5になります。

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(1) ゴキブリは、集団よりも単独で生活するほうが発育は早い。

不適切です。ゴキブリは一般に集合性を示し、とくに幼虫期には単独より集団で飼育したほうが発育が促進されることが知られています。これは、仲間どうしの接触や集合刺激が成長や生存に有利に働くためです。したがって、「単独で生活するほうが発育は早い」という記述は逆です。試験では、ゴキブリは暗所を好む、狭い隙間に集まる、集合フェロモンに反応する、といった「群れる生き物」であることを一つのまとまりとして覚えておくと判断しやすくなります。

(2) 8か所に5日間設置した粘着トラップに捕獲されたゴキブリの総数が200匹であった場合のゴキブリ指数は、25である。

不適切です。ゴキブリ指数は、調査期間中の総捕獲数を、そのままトラップ数で割るだけではありません。「1日1トラップ当たりの捕獲数」に換算する必要があります。したがって、この条件では200÷8÷5=5となり、ゴキブリ指数は5です。25という値は、日数の5日で割る計算を落としてしまった誤りです。この問題は計算自体は難しくありませんが、「指数の定義」を正確に覚えていないと引っかかりやすいので注意が必要です。

(3) ゴキブリは食べ物に対する好みがあり、特定のものだけを喫食する。

不適切です。ゴキブリは雑食性で、きわめて幅広いものを餌にします。食品残さだけでなく、油脂、でんぷん質、紙類、汚れ、わずかな有機物なども利用できるため、「特定のものだけを食べる」という理解は誤りです。建築物内で防除が難しい理由の一つも、この雑食性にあります。つまり、少量の汚れや水分が残っているだけでも生息を維持しやすいのです。清掃や衛生管理が防除の基本になるのは、この性質と深く関係しています。

(4) ゴキブリは、危険が迫ると警戒フェロモンを分泌する。

不適切です。ゴキブリについて試験でまず押さえるべきなのは、警戒フェロモンよりも、仲間を集める集合フェロモンのほうです。ゴキブリは潜伏場所に集まりやすく、その背景には集合に関わる化学的シグナルがあると考えられています。選択肢の文は、「フェロモンを使う昆虫である」という一部の知識を利用して、フェロモンの種類まで正しいように見せていますが、試験対策上はゴキブリ=集合性、集合フェロモンという結びつきで整理するのが基本です。したがって、この記述は適当とはいえません。

(5) 屋内に生息するゴキブリでも、東北地方や関東地方の屋外で越冬できる種類が知られている。

適切です。日本で建物に関係して見られるゴキブリのうち、チャバネゴキブリのように低温に弱く、基本的に暖かい屋内でないと定着しにくい種類がある一方で、クロゴキブリやヤマトゴキブリのように比較的低温に強く、屋外でも越冬できる種類が知られています。古い文献でも、クロゴキブリは関東まで、ヤマトゴキブリは東北でも定着しうるとされており、近年の解説資料でもクロゴキブリの屋外越冬や、ヤマトゴキブリの寒冷地での分布が示されています。したがって、この選択肢は正しい内容です。

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この問題で覚えるポイント

ゴキブリ指数は、総捕獲数をトラップ数と設置日数で割って求める「1日1トラップ当たりの捕獲数」です。計算問題では、総数だけをトラップ数で割って終わらせないことが大切です。ゴキブリの食性は雑食性であり、特定の餌だけを食べるわけではありません。防除では、食品だけでなく、汚れや水分、残さの管理まで含めて考える必要があります。フェロモンについては、試験では集合性との結びつきが重要で、潜伏場所に集まる性質とあわせて覚えると整理しやすいです。屋内性ゴキブリにも種類差があり、チャバネゴキブリは低温に弱く暖かい屋内での定着性が強いのに対し、クロゴキブリやヤマトゴキブリは比較的寒さに強く、屋外越冬できる場合があります。つまり、「ゴキブリは全部同じ性質」と考えず、種ごとの違いまで意識することが正誤判断に直結します。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、「なんとなく正しそう」に見える表現を混ぜている点にあります。とくにフェロモンの選択肢は典型で、ゴキブリが化学物質で行動に影響を受けることを知っている受験者ほど、「警戒フェロモン」という言葉にも引っ張られやすくなります。また、ゴキブリ指数の問題では、定義をあいまいに覚えていると、総捕獲数をトラップ数だけで割ってしまい、設置日数を落とすミスが起きやすいです。さらに、「屋内に生息するゴキブリ」という表現から、屋外では越冬できないと早合点しやすいのも罠です。実際には、屋内で問題になる種類の中にも寒さに比較的強いものがいます。試験では、「一部だけ正しい説明」に飛びつかず、定義、数値、種ごとの違いまで確認してから判断する癖をつけることが大切です。

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