【ビル管過去問】令和5年度 問題106|給排水用語|バルキング・自己サイホン・クロスコネクション・オフセットを解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和5年度(2023年)|給水および排水の管理第106問

問題

給水及び排水の管理に関する用語とその説明との組合せとして、最も不適当なものは次のうちどれか。

(1) バルキング ―― 排水槽の底部に沈殿した固形物や油脂等が集まったもの

(2) 自己サイホン作用 ―― 排水が器具排水管内を満流で流れるときに、サイホンの原理によってトラップ内の封水が引かれ、残留封水が少なくなる現象

(3) クロスコネクション ―― 上水(飲料水)系統と他の配管系統を配管や装置により直接接続すること

(4) オフセット ―― 排水立て管の配管経路を平行移動するために、エルボ又はベンド継手で構成されている移行部分のこと

(5) ポンプのインバータ制御 ―― 周波数を変えることでモータの回転数を変化させる、送水量の制御方法

ビル管過去問|給排水用語を解説

この問題は、給水・排水設備の分野で頻出の基本用語について、定義を正確に理解しているかを問う問題です。設備管理の問題では、言葉そのものを知っているだけでなく、その現象や仕組みまで結び付けて覚えているかが重要です。正答は(1)で、バルキングの説明が不適当です。バルキングは排水槽の底にたまった沈殿物そのものを指す言葉ではなく、活性汚泥法などで汚泥の沈降性が悪化し、固液分離がうまくいかなくなる現象を指します。(2)から(5)は、いずれも設備実務で重要な基本用語の説明として適切です。似た言葉や現象の混同を防ぐことが、この種の問題を安定して解くコツです。

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(1) バルキング ―― 排水槽の底部に沈殿した固形物や油脂等が集まったもの

不適切です。バルキングとは、主に排水処理の活性汚泥法において、汚泥がうまく沈まずに沈降性が悪くなる現象をいいます。具体的には、糸状性細菌などが異常に増殖して、汚泥がふわふわした状態になり、沈殿槽で固液分離がしにくくなる状態です。一方、選択肢の説明にある「排水槽の底部に沈殿した固形物や油脂等が集まったもの」は、スラッジや沈殿物、堆積物の説明に近い内容です。つまり、この選択肢は用語と説明の対応がずれています。試験では、排水槽にたまる物質そのものの名称と、排水処理上の異常現象の名称を取り違えないことが大切です。

(2) 自己サイホン作用 ―― 排水が器具排水管内を満流で流れるときに、サイホンの原理によってトラップ内の封水が引かれ、残留封水が少なくなる現象

適切です。自己サイホン作用とは、自分自身の器具排水管内を流れる排水によって負圧が生じ、トラップ内の封水が引っ張られて減少する現象です。トラップの封水は、下水管や排水管から悪臭や害虫、ガスなどが室内側へ侵入するのを防ぐ大切な役割を持っています。そのため、自己サイホン作用で封水が失われると、衛生上の問題が生じやすくなります。特に、排水が満流になりやすい配管条件や、通気が不十分な場合に起こりやすいため、実務では適切な管径や通気設備の確保が重要です。用語の意味だけでなく、なぜ問題になるのかまで理解しておくと得点しやすくなります。

(3) クロスコネクション ―― 上水(飲料水)系統と他の配管系統を配管や装置により直接接続すること

適切です。クロスコネクションとは、飲料に適する水を送る配管系統と、それ以外の水系統や液体を扱う系統が、配管や装置によって直接つながってしまうことです。たとえば、雑用水、工業用水、消火用水、洗浄液などの系統と上水系統が直接接続されると、逆流や逆サイホン作用によって水質汚染が起こる危険があります。これは給水衛生上、非常に重大な問題です。そのため、給水設備では吐水口空間の確保や逆流防止装置の設置などによって、クロスコネクションを防止します。試験では、単に「つながっている」というイメージだけではなく、「飲料水の安全性を損なう危険な直接接続」である点を押さえることが大切です。

(4) オフセット ―― 排水立て管の配管経路を平行移動するために、エルボ又はベンド継手で構成されている移行部分のこと

適切です。オフセットとは、配管の立て方向や横方向の位置をずらすために設ける移行部分のことです。排水立て管では、建築構造や梁、設備スペースとの取り合いの都合で、まっすぐ配管できない場合があります。そのようなときに、エルボやベンド継手を用いて配管経路をずらします。この部分がオフセットです。排水立て管のオフセット部では、流れの状態が変化しやすく、圧力変動や詰まり、騒音などに影響することもあるため、実務上も重要な知識です。用語としてはやや機械的に見えますが、建物内で配管をどのように通しているかを具体的に思い浮かべると理解しやすくなります。

(5) ポンプのインバータ制御 ―― 周波数を変えることでモータの回転数を変化させる、送水量の制御方法

適切です。インバータ制御とは、電源の周波数を変化させることでモータの回転数を調整し、その結果としてポンプの吐出量や圧力を制御する方法です。給水設備では、使用水量の変動に応じて必要なだけ送水することができるため、省エネルギー性に優れ、過大な圧力上昇も抑えやすいという利点があります。従来のように弁を絞って流量を調整する方法と比べると、無駄なエネルギー損失を減らしやすい点が特徴です。設備管理では、単に名称を覚えるだけでなく、「周波数を変える」「回転数が変わる」「送水量が調整できる」という流れで理解しておくと、ポンプ制御に関する問題に対応しやすくなります。

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この問題で覚えるポイント

給排水分野の用語問題では、現象を表す言葉なのか、物質や設備部位の名称なのかを区別して覚えることが重要です。バルキングは活性汚泥法における異常現象であり、沈殿物そのものの名称ではありません。自己サイホン作用は、器具排水時に管内の流れによってトラップ封水が引かれる現象で、封水損失による悪臭や衛生障害につながります。クロスコネクションは飲料水系統と他系統の危険な直接接続であり、逆流防止の観点から極めて重要です。オフセットは立て管などの配管経路をずらす移行部分を指し、建築と設備の納まりを考える上で基本用語です。インバータ制御は、周波数を変えてモータ回転数を調整する制御方式であり、省エネルギーと適正圧力維持に役立ちます。試験では、定義を丸暗記するだけでなく、「何が起こる現象か」「何のための設備か」「どんな不具合防止につながるか」まで結び付けて覚えると、類題にも対応しやすくなります。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、もっともらしい説明を別の用語にすり替えている点にあります。特に、バルキングは言葉だけ見ると、何かが膨らんだり集まったりする状態を連想しやすいため、排水槽底部の堆積物の説明でも正しそうに見えてしまいます。しかし、実際には排水処理における汚泥沈降不良という現象を指します。また、自己サイホン作用やクロスコネクションのように、名称から意味を想像しやすい用語でも、試験では定義が少しずれるだけで誤りになります。さらに、インバータ制御のような電気的な用語も、給水設備の中に混ぜることで受験者の注意を散らしやすくしています。こうした問題では、用語を雰囲気で判断せず、「その言葉は現象か、構造か、接続か、制御方式か」を頭の中で分類しながら読むことが、誤答を防ぐ再現性の高い対策になります。

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