出典:建築物衛生管理技術者試験令和5年度(2023年)|空気環境の調整第81問
問題
ホルムアルデヒドの簡易測定法として、最も不適当なものはどれか。
(1) 検知管法
(2) 光電光度法
(3) 燃料電池法
(4) 化学発光法
(5) β線吸収法
ビル管過去問|ホルムアルデヒド測定|簡易測定法(検知管法・光電光度法など)の基礎を解説
この問題は、ホルムアルデヒドの簡易測定法として使われる代表的な原理と、別の汚染物質で使われる測定法とを区別できるかを問う問題です。ホルムアルデヒドの簡易測定では、現場で扱いやすい検知管法や光学的な測定法などがよく使われます。一方で、β線吸収法は浮遊粒子状物質、つまり粉じんの質量濃度測定で用いられる方法であり、ホルムアルデヒドの測定法としては不適当です。したがって、正しい答えは(5)です。測定法は「どの物質を、どの原理で測るのか」を結び付けて覚えることが大切です。
(1) 検知管法
適切です。検知管法は、気体中の対象物質を試薬と反応させ、その変色の長さや程度によって濃度を求める簡易測定法です。ホルムアルデヒドの測定でも用いられており、現場で比較的短時間に測定できる点が特徴です。精密分析ほどの高い精度は期待できない場合もありますが、建築物内の空気環境をその場でおおまかに把握したいときには有用です。試験では、検知管法は一酸化炭素や二酸化炭素などにも使われることがあるため、「簡易測定に向く代表的な方法」として整理しておくと判断しやすくなります。
(2) 光電光度法
適切です。光電光度法は、試薬との反応によって生じた発色の強さを光学的に測定し、その吸光度や透過光の変化から濃度を求める方法です。ホルムアルデヒドの簡易測定法として知られており、一定の条件下で比較的迅速に測定できます。ホルムアルデヒドは化学反応によって色の変化を利用しやすい物質であるため、このような光学的測定法と相性がよいのです。名称がやや難しく見えますが、要するに「反応で色を出し、その色の濃さを機械で読む方法」と理解すると覚えやすいです。
(3) 燃料電池法
適切です。燃料電池法は、対象ガスが電極で反応したときに生じる電流を利用して濃度を測定する方法です。一般には一酸化炭素などの測定でよく知られていますが、ホルムアルデヒド用の簡易測定機器でもこの原理を応用したものがあります。受験者としては「燃料電池法は一酸化炭素専用」と決めつけないことが大切です。測定原理は同じでも、対象物質に応じたセンサー設計がされていればホルムアルデヒドの測定にも用いられます。この問題では、ホルムアルデヒドの簡易測定法としてあり得るかどうかが問われており、その点で適切な選択肢です。
(4) 化学発光法
適切です。化学発光法は、化学反応によって発生する光の強さを測定して濃度を求める方法です。代表的には窒素酸化物の測定法として有名ですが、ホルムアルデヒドの測定に応用される場合もあります。試験では、ある測定法が特定の物質で有名だからといって、他の物質には絶対に使われないと考えてしまうと誤りやすいです。この選択肢では「ホルムアルデヒドの簡易測定法として最も不適当か」が問われており、化学発光法は少なくとも測定法として成立し得るため、不適当とはいえません。
(5) β線吸収法
不適切です。β線吸収法は、空気中の粒子をろ紙などに捕集し、その前後でβ線の透過のされ方がどの程度変わるかを測定して、粒子状物質の量を求める方法です。つまり、対象はガス状のホルムアルデヒドではなく、粉じんや浮遊粒子のような粒子状物質です。ホルムアルデヒドは気体として存在する化学物質であり、粒子を捕集して質量を測るβ線吸収法とは測定対象も原理も合いません。このため、ホルムアルデヒドの簡易測定法としては最も不適当です。測定法の名前だけで判断するのではなく、「ガスを測る方法か、粒子を測る方法か」という視点で整理すると、確実に正答へつながります。
この問題で覚えるポイント
ホルムアルデヒドは室内空気中の化学物質であり、ガス状汚染物質として扱います。そのため、簡易測定法としては、検知管法のように試薬の変色を利用する方法や、光電光度法のように発色の程度を光学的に読む方法、あるいは電気化学的な原理を応用する方法が中心になります。重要なのは、ホルムアルデヒドが「粒子」ではなく「ガス」であるという点です。この整理ができていると、粉じん測定に使う方法と混同しにくくなります。 一方、β線吸収法は浮遊粒子状物質の測定法です。空気中の粒子を捕集し、その質量に対応するβ線の減衰を利用して濃度を求めるため、粉じんやばい煙などの測定には適していますが、ホルムアルデヒドのような気体成分には適しません。試験では、測定法を「気体用」と「粒子用」に分けて覚えることが正誤判断に直結します。 また、測定法の名称はそれぞれ特定の物質で有名なことがあります。たとえば化学発光法は窒素酸化物、燃料電池法は一酸化炭素という印象を持ちやすいですが、試験では「主に何で有名か」だけでなく、「原理上どの物質の測定に応用されるか」まで見て判断することが大切です。反対に、β線吸収法のように原理そのものが粒子測定専用のものは、ガス測定には使えません。この切り分けを押さえておくと、同テーマの問題に対応しやすくなります。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、「測定法の名前を知っているか」ではなく、「その測定法が何を対象にしているか」を正しく見抜けるかにあります。受験者は、検知管法や光電光度法のような典型的なホルムアルデヒド測定法は見抜きやすい一方で、燃料電池法や化学発光法のように他の物質で有名な方法を見ると、つい「ホルムアルデヒドには使わないのではないか」と考えてしまいがちです。ここが思考の罠です。 逆に、β線吸収法は名前だけ見ると高度な分析法に見えるため、「精密そうだからホルムアルデヒドにも使えそうだ」と日常感覚で判断してしまうことがあります。しかし、実際にはこの方法は粒子を捕集して測るものであり、気体のホルムアルデヒドには適しません。つまり、「高度そうかどうか」ではなく、「ガスか粒子か」という測定対象の違いで見分ける必要があります。 今後も同じパターンとして、測定法の名称と対象物質の組合せ問題では、「その方法はどんな現象を利用しているか」「何を捕まえて、何を読んでいるのか」を意識すると、似た用語に惑わされにくくなります。
