出典:建築物衛生管理技術者試験令和5年度(2023年)|空気環境の調整第79問
問題
次の汚染物質とその濃度又は強さを表す単位の組合せとして、最も不適当なものはどれか。
(1) アセトアルデヒド ――― μg/m3
(2) オゾン ―――――――― cfu/m3
(3) 粉じん ―――――――― mg/m3
(4) 硫黄酸化物 ―――――― ppm
(5) アスベスト ―――――― 本/L
ビル管過去問|室内汚染物質の単位|μg/m3・mg/m3・ppm・cfu/m3・本/Lの整理を解説
この問題は、室内汚染物質ごとにどの単位で濃度や強さを表すかを整理できているかを問う問題です。ポイントは、化学物質は質量濃度や体積比で表すことが多く、微生物は生菌数、繊維状粒子は本数で表すという区別です。正解は(2)で、オゾンをcfu/m3で表すのは不適切です。cfu/m3は細菌や真菌などの微生物に用いる単位であり、オゾンのような気体状化学物質には使いません。単位の意味そのものを理解しておくと、似た問題にも対応しやすくなります。
(1) アセトアルデヒド ――― μg/m3
適切です。アセトアルデヒドは化学物質であり、空気中にどれだけ質量として含まれているかを表す質量濃度で扱われることが一般的です。μg/m3は1立方メートルの空気中に何マイクログラム含まれるかを示す単位で、ホルムアルデヒドやトルエンなどの室内空気汚染物質でもよく使われます。室内環境分野では、微量な有害化学物質を扱う場面が多いため、mg/m3よりさらに小さい単位であるμg/m3が使われやすいです。アセトアルデヒドは揮発性有機化合物の一種として扱われるため、この単位の組合せは適切です。
(2) オゾン ―――――――― cfu/m3
不適切です。cfu/m3はcolony forming unit per cubic meterの略で、1立方メートル中に含まれる生きた微生物の数を培養可能なコロニー形成単位として表すものです。これは浮遊細菌や浮遊真菌などの生物学的汚染を評価するときに使う単位です。一方、オゾンは微生物ではなく気体状の化学物質です。そのため、オゾン濃度は通常ppmやmg/m3などの化学物質用の単位で表します。ここでは、微生物の単位とガス状汚染物質の単位をわざと入れ替えており、その違いを見抜けるかが問われています。
(3) 粉じん ―――――――― mg/m3
適切です。粉じんは空気中に浮遊する微細な固体粒子や液体粒子であり、一定体積中にどれだけの質量が存在するかで評価することが一般的です。そのため、mg/m3という質量濃度の単位が使われます。1立方メートルの空気中に何ミリグラムの粉じんがあるかを示す考え方です。粉じんは目に見えにくくても空気中に多数浮遊しており、粒の個数よりも全体の質量で管理するほうが実務上わかりやすい場面が多いため、この単位が用いられます。建築物衛生管理でも、浮遊粉じんの評価では質量濃度の感覚を持っておくことが重要です。
(4) 硫黄酸化物 ―――――― ppm
適切です。硫黄酸化物は気体状汚染物質であり、空気中に占める割合として濃度を表すppmがよく用いられます。ppmは百万分の一を意味し、気体の濃度を表すときに頻出の単位です。硫黄酸化物、窒素酸化物、一酸化炭素、二酸化炭素などでは、ppmで濃度を示す問題がよく出ます。もちろん物質によってはmg/m3で表すこともありますが、気体汚染物質にppmを用いること自体は自然であり、この組合せは適切です。試験では、ガスはppm、粒子はmg/m3という基本整理がまず大切です。
(5) アスベスト ―――――― 本/L
適切です。アスベストは繊維状の粒子であり、その危険性は単なる質量よりも、どれだけの繊維が空気中に存在するかが重要になります。そのため、濃度は本/Lのように本数で表されます。これは1リットル中に何本の繊維があるかを示す単位です。アスベストは非常に細く軽いため、質量だけで評価すると実際のばく露リスクを適切に表しにくい面があります。そのため、空気中の繊維数で評価する方法がとられています。粉じんがmg/m3で、アスベストが本/Lで表される違いは、試験でも非常によく問われる重要ポイントです。
この問題で覚えるポイント
室内汚染物質の単位は、物質の性質に応じて使い分けます。化学物質では、空気中に含まれる量を質量で表すμg/m3やmg/m3、あるいは気体の割合を示すppmが使われます。ホルムアルデヒドやアセトアルデヒドのような微量化学物質はμg/m3で表すことが多く、粉じんのような粒子状物質はmg/m3で表すのが基本です。硫黄酸化物やオゾン、一酸化炭素のような気体状汚染物質はppmで表されることが多いです。 一方で、微生物は化学物質ではないため、cfu/m3で表します。cfuは培養してコロニーを形成できる生菌数の概念であり、浮遊細菌や浮遊真菌の評価で用いられます。さらに、アスベストのような繊維状粒子は本/Lのように繊維の本数で表します。つまり、化学物質は質量濃度または体積比、微生物は生菌数、アスベストは繊維数という整理を頭に入れておくことが大切です。単位だけで汚染物質の種類を逆算できるくらいまで整理しておくと、同テーマの問題に強くなります。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、単位を暗記だけで曖昧に覚えている受験者が、見た目の雰囲気で判断してしまう点にあります。とくにcfu/m3は、何となく濃度の単位らしく見えるため、オゾンのような空気中物質にも使えそうだと誤認しやすいです。しかし、cfu/m3は微生物専用の単位であり、化学物質には使いません。 また、粉じんとアスベストの違いも狙われやすいところです。どちらも粒子として空気中に存在しますが、粉じんは質量で、アスベストは繊維数で評価するという違いがあります。ここを「どちらも浮遊物だから同じ単位だろう」と考えると誤答しやすいです。さらに、気体ならすべてppm、固体ならすべてmg/m3と単純化しすぎるのも危険です。アスベストのように本数評価を行う例外があるため、物質の性質と評価目的まで含めて理解することが、今後のひっかけ対策として重要です。
