【ビル管過去問】令和5年度 問題74|吹出口|アネモスタット・ノズル・ライン型・グリル型の種類と特徴を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和5年度(2023年)|空気環境の調整第74問

問題

吹出口に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) アネモスタット型吹出口は、誘引効果が高く均一度の高い温度分布が得られる。

(2) ノズル型吹出口は、拡散角度が大きく到達距離が短い。

(3) ライン型吹出口は、ペリメータ負荷処理用として窓際に設置されることが多い。

(4) 天井パネル型吹出口は、面状吹出口に分類される。

(5) グリル型吹出口は、軸流吹出口に分類される。

ビル管過去問|吹出口|アネモスタット・ノズル・ライン型・グリル型の種類と特徴を解説

この問題は、吹出口の種類ごとの気流特性や設置目的を正しく理解しているかを問う問題です。吹出口は、単に空気を出すだけでなく、空気をどの方向に、どれくらいの距離まで、どのように拡散させるかを決める重要な機器です。正解は、ノズル型吹出口の特徴を逆に述べているものです。アネモスタット型は誘引効果に優れ、ライン型は窓際のペリメータ処理でよく使われ、天井パネル型は面状吹出口に分類されます。また、グリル型は羽根によって気流方向を調整する代表的な吹出口です。吹出口の問題では、拡散型なのか、到達距離を重視する型なのかを整理して覚えることが大切です。

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(1) アネモスタット型吹出口は、誘引効果が高く均一度の高い温度分布が得られる。

適切です。その理由は、アネモスタット型吹出口は天井面に取り付けられることが多く、吹出し空気が周囲の室内空気を巻き込みながら拡散する性質をもつためです。この周囲空気を巻き込む作用を誘引効果といい、これが大きいほど吹出し空気と室内空気がよく混ざります。その結果、室内の温度むらが小さくなり、均一度の高い温度分布が得られやすくなります。事務室や一般居室で広く使われるのは、こうした扱いやすい気流特性があるためです。

(2) ノズル型吹出口は、拡散角度が大きく到達距離が短い。

不適切です。その理由は、ノズル型吹出口はむしろ拡散角度が小さく、遠くまで空気を到達させやすい吹出口だからです。ノズルという名称のとおり、気流をしぼって勢いよく送り出す構造になっており、大空間や高天井空間で使われることが多いです。例えば、体育館、ホール、アトリウムなどでは、床付近までしっかり空気を届ける必要があるため、到達距離の長いノズル型が適しています。したがって、この選択肢はノズル型の特徴をアネモスタット型や拡散型のような性質と取り違えており、最も不適当です。

(3) ライン型吹出口は、ペリメータ負荷処理用として窓際に設置されることが多い。

適切です。その理由は、ライン型吹出口は細長い形状をしており、窓際や外壁際に沿って連続的に設置しやすいからです。ペリメータとは外壁や窓面付近のことで、夏は日射の影響、冬は外気や冷放射の影響を受けやすく、室内でも負荷が大きい部分です。ライン型吹出口を窓際に設けることで、その部分に沿って空気を流し、窓面からの熱負荷の影響をやわらげることができます。意匠的にも目立ちにくく、室内デザインとなじみやすい点も採用される理由の一つです。

(4) 天井パネル型吹出口は、面状吹出口に分類される。

適切です。その理由は、天井パネル型吹出口は天井面から比較的広い面で空気を吹き出す構造をもち、点ではなく面として気流を形成するためです。面状吹出口は、局所的に強い気流をつくるのではなく、広い範囲に穏やかに空気を供給したい場合に適しています。居住域でドラフト感を抑えたい場合や、快適性を重視した空調で採用されることがあります。天井パネル型は名称からも天井パネルと一体化したような形態を想像すると理解しやすく、面状吹出口の代表例として押さえておくと整理しやすいです。

(5) グリル型吹出口は、軸流吹出口に分類される。

適切です。その理由は、グリル型吹出口は羽根を備えた格子状の吹出口であり、吹出し方向をある程度そろえて送る構造をもつため、軸流吹出口に分類されるからです。グリル型は壁面や天井に設置され、比較的方向性のある気流をつくることができます。羽根の角度によって気流方向を調整しやすいため、室内条件に応じた運用がしやすいのが特徴です。拡散性を重視するアネモスタット型とは気流のつくり方が異なるため、分類と特徴をあわせて覚えることが大切です。

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この問題で覚えるポイント

吹出口は、空気の出し方によって拡散型、軸流型、面状型などに整理して覚えることが重要です。アネモスタット型は誘引効果が大きく、室内空気とよく混ざるため、温度分布が均一になりやすい代表的な拡散型吹出口です。ノズル型はその逆で、気流を集中させて遠くまで到達させることを得意とし、拡散角度は小さく、到達距離は長くなります。ライン型は細長い形状を生かして窓際や外壁際に設けられ、ペリメータ負荷処理によく用いられます。天井パネル型は広い面から穏やかに吹き出す面状吹出口です。グリル型は羽根で方向を与える軸流吹出口として整理すると理解しやすいです。試験では、どの吹出口が「よく混ざる型」なのか、「遠くへ飛ばす型」なのか、「窓際処理向き」なのかを比較して判定できるようにしておくことが得点につながります。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、吹出口の名称だけで何となくイメージしてしまう受験者心理を突いている点にあります。特にノズル型は、日常感覚では先端から広がって噴き出すようにも思えますが、空調設備ではむしろ気流をしぼって遠くまで飛ばすために使われます。このように、一般的な言葉の印象と設備上の性質が一致しないところが典型的な罠です。また、アネモスタット型とノズル型は、どちらも吹出口であるため特徴を混同しやすいですが、前者は誘引と拡散、後者は集中と長距離到達という対照的な関係にあります。さらに、文章の一部だけを見るともっともらしく見えても、「拡散角度が大きい」と「到達距離が短い」がセットで書かれている場合は、拡散型の特徴を述べているのか、ノズル型の特徴を述べているのかを冷静に見分ける必要があります。今後も、設備機器の名称だけで判断せず、気流の性質と使用場所まで結びつけて整理することが重要です。

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