出典:建築物衛生管理技術者試験令和5年度(2023年)|建築物の構造概論第101問
問題
地震とその防災対策に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
(1) 耐震診断は、建築物の耐震改修の促進に関する法律に定められている。
(2) Jアラートは、緊急の気象関係情報、有事関係情報を国から住民等に伝達するシステムである。
(3) マグニチュードの値が1大きくなると、エネルギーは約30倍大きくなる。
(4) 気象庁震度階級は、地震の揺れの強さを示す指標であり7階級に分類される。
(5) 耐震診断が義務付けられている「要安全確認計画記載建築物」には、都道府県又は市町村が指定する緊急輸送道路等の避難路沿道建築物が含まれる。
ビル管過去問|地震防災|耐震診断・Jアラート・震度階級・緊急輸送道路沿道建築物を解説
この問題は、地震防災に関する基本制度と用語の理解を問う問題です。 耐震診断の法的根拠、Jアラートの役割、マグニチュードと地震エネルギーの関係、震度階級の区分、そして耐震診断が義務付けられる建築物の範囲について整理できているかがポイントです。 正しい選択肢は、耐震診断の根拠法を述べたもの、Jアラートの説明、マグニチュードとエネルギーの関係、緊急輸送道路沿道建築物を含む要安全確認計画記載建築物の説明です。 不適切なのは、気象庁震度階級を7階級としている記述です。 震度は最大値が7であるため7段階と誤解しやすいですが、実際には震度0から7までに加え、5と6がそれぞれ弱と強に分かれているため、全部で10区分です。 ここはビル管試験でもひっかけとして出しやすい重要点です。
(1) 耐震診断は、建築物の耐震改修の促進に関する法律に定められている。
適切です。耐震診断は、いわゆる耐震改修促進法に基づく制度です。 この法律は、既存建築物の耐震性を把握し、必要に応じて耐震改修を進めることで、地震による被害を軽減することを目的としています。 特に、災害時に大きな被害をもたらすおそれのある建築物については、耐震診断やその結果の報告が求められる場合があります。 試験では、耐震診断そのものの内容だけでなく、どの法律に基づいているかが問われることがあります。 建築基準法と混同しやすいですが、既存建築物の耐震化を促進する制度としては、耐震改修促進法が根拠であると押さえておくことが大切です。
(2) Jアラートは、緊急の気象関係情報、有事関係情報を国から住民等に伝達するシステムである。
適切です。Jアラートは、全国瞬時警報システムのことで、地震、津波、弾道ミサイル情報、武力攻撃に関する情報など、緊急性の高い情報を国から住民へ迅速に伝えるための仕組みです。 人工衛星などを通じて市町村の防災行政無線等へ自動的に情報が送られ、住民に瞬時に伝達される点が特徴です。 この記述では、気象関係情報と有事関係情報の両方を含むシステムであることが正しく表現されています。 地震防災では、建物そのものの耐震性だけでなく、情報伝達体制も重要ですので、こうした防災システムの役割もあわせて理解しておきたいところです。
(3) マグニチュードの値が1大きくなると、エネルギーは約30倍大きくなる。
適切です。マグニチュードは、地震そのものの規模を表す指標です。 この値が1増えると、地震が放出するエネルギーは約32倍となり、概数では約30倍と覚えるのが一般的です。 なお、揺れの大きさを表す震度とは意味が異なります。 マグニチュードは地震自体の規模であり、震度はある地点でどれくらい揺れたかを表します。 この区別は非常に重要で、試験でもよく問われます。 たとえば、同じ地震でも観測地点が異なれば震度は変わりますが、マグニチュードは基本的に一つです。 数値の意味を取り違えないように整理しておくと、こうした問題に落ち着いて対応できます。
(4) 気象庁震度階級は、地震の揺れの強さを示す指標であり7階級に分類される。
不適切です。気象庁震度階級は、地震の揺れの強さを示す指標である点は正しいのですが、7階級に分類されるという部分が誤りです。 実際には、震度0、1、2、3、4、5弱、5強、6弱、6強、7の10区分です。 多くの人が、最大震度が7であることから7段階だと誤解しやすいのですが、5と6がそれぞれ弱と強に分かれているため、単純な0から7までの8段階でもありません。 このように、日常的に耳にする震度のイメージだけで判断すると間違えやすいところです。 試験では、震度階級の「最大値」と「区分数」をわざと混同させる出題がよくあるため、ここは正確に覚えておきましょう。
(5) 耐震診断が義務付けられている「要安全確認計画記載建築物」には、都道府県又は市町村が指定する緊急輸送道路等の避難路沿道建築物が含まれる。
適切です。要安全確認計画記載建築物とは、地震時の安全確保の観点から、耐震診断を義務付ける必要があるとして、防災上の計画に位置付けられた建築物を指します。 その中には、都道府県や市町村が指定する緊急輸送道路や避難路の沿道建築物が含まれます。 なぜなら、これらの道路は災害時の救急活動、物資輸送、避難行動にとって極めて重要であり、沿道建築物が倒壊すると通行が妨げられ、災害対応全体に大きな支障が生じるからです。 つまり、この制度は建物単体の安全だけでなく、地域全体の防災機能を守るための仕組みでもあります。 防災関連の法制度では、このように個々の建築物の問題が道路機能や避難体制と結びついている点を理解すると、記憶にも残りやすくなります。
この問題で覚えるポイント
地震防災の問題では、まずマグニチュードと震度の違いを明確に整理することが重要です。 マグニチュードは地震そのものの規模を示し、値が1増えると放出エネルギーは約30倍になります。 一方、震度は各地点での揺れの強さを示す指標です。 この二つは似ているようで意味がまったく異なるため、頻出の比較事項として必ず区別して覚える必要があります。 また、気象庁震度階級は、震度0、1、2、3、4、5弱、5強、6弱、6強、7の10区分です。 最大値が7であることと、区分数が10であることを分けて理解しておくと、ひっかけに強くなります。 さらに、耐震診断の根拠法は建築物の耐震改修の促進に関する法律です。 既存建築物の耐震性を評価し、必要に応じて改修へつなげる制度であることを押さえましょう。 加えて、要安全確認計画記載建築物には、緊急輸送道路や避難路の沿道建築物が含まれます。 これは、地震時に道路閉塞を防ぎ、防災活動を維持するためです。 Jアラートについては、地震だけでなく、津波や有事関係情報なども国から住民へ迅速に伝達する全国瞬時警報システムであることを整理しておくと安心です。 このテーマでは、制度、数値、用語の意味をばらばらに暗記するのではなく、それぞれが地震被害の軽減にどうつながるかを意識して学ぶと、正誤判断が安定します。
ひっかけポイント
この問題の最大のひっかけは、震度階級の「7」という数字に引っ張られてしまうことです。 受験者は、震度1から震度7まであるという日常的な印象から、7段階くらいだろうと感覚的に答えてしまいやすいです。 しかし実際には、5と6が弱と強に分かれており、区分数で問われると10区分になります。 つまり、最大値と分類数をわざと混同させるのが典型的な罠です。 また、地震問題ではマグニチュードと震度の混同も非常に起こりやすいです。 マグニチュードは地震自体の規模、震度は地点ごとの揺れであるにもかかわらず、どちらも地震の大きさを表す数字として曖昧に覚えていると誤答につながります。 さらに、耐震診断の法的根拠についても、建築基準法と耐震改修促進法を混同させる出題がよく見られます。 建築基準法は新築時などの基準に関わる中心法令であり、既存建築物の耐震化促進とは役割が異なります。 このように、一部は正しいが肝心な用語や数字だけをずらしてくるのが典型的な出題パターンです。 今後も、数字が出てきたら最大値なのか区分数なのか、制度が出てきたら何のための法律なのか、用語が出てきたら何を示す指標なのかを一つずつ確認する癖をつけると、同テーマの問題に強くなれます。
