【ビル管過去問】令和5年度 問題102|消火設備|ハロン代替薬剤・連結送水管・屋内消火栓・消火器能力単位を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和5年度(2023年)|建築物の構造概論第102問

問題

消火設備に関する次の記述のうち、最も適当なものはどれか。

(1) 地球環境の問題から、現在はトリフルオロメタン(HFC−23)などがハロン代替薬剤として用いられている。

(2) 連結散水設備は、一般の人が操作しやすい消火設備である。

(3) 連結送水管設備では、高置水槽が置かれる場合、建築物の高さが70mを超える場合においてもブースターポンプは不要である。

(4) 屋内消火栓設備には1号消火栓と2号消火栓があり、工場・倉庫では2号消火栓が設置される。

(5) 各種消火器の消火能力を表す能力単位は、家庭用消火器の消火能力を「1」とした相対値で算定される。

ビル管過去問|消火設備を解説

この問題は、消火設備の種類と役割、設置の考え方、消火薬剤や消火器の基礎知識を問う問題です。正しい選択肢は(1)です。ハロンは消火性能に優れる一方でオゾン層破壊などの環境問題があり、代替薬剤への転換が進められてきました。そのため、代替薬剤に関する基本的な知識が重要です。他の選択肢は、設備の用途や操作主体、設置条件、能力単位の考え方を少しずつずらしており、用語を正確に理解しているかが問われています。消火設備は「誰が使う設備か」「どの建物に向くか」「どの条件で補助機器が必要か」を整理して覚えると、正誤判断がしやすくなります。

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(1) 地球環境の問題から、現在はトリフルオロメタン(HFC−23)などがハロン代替薬剤として用いられている。

適切です。その理由は、従来のハロン消火剤は非常に高い消火性能を持つ一方で、オゾン層を破壊する性質があるため、国際的な環境保護の流れの中で使用が制限されてきたからです。その代替として、HFC系などのハロカーボン系消火薬剤や不活性ガス系消火設備が用いられるようになりました。トリフルオロメタンはその代表例の一つとして扱われます。試験では、ハロンそのものの特徴だけでなく、なぜ代替が必要になったのかという背景まで理解しておくと、知識がつながりやすくなります。単に「薬剤名を覚える」のではなく、「環境問題により置き換えられた」という流れを押さえることが大切です。

(2) 連結散水設備は、一般の人が操作しやすい消火設備である。

不適切です。その理由は、連結散水設備は一般の人が初期消火のために使う設備ではなく、主として消防隊が消火活動に利用する設備だからです。一般の人が比較的操作しやすい設備として代表的なのは、消火器や2号消火栓などです。一方、連結散水設備や連結送水管設備は、火災時に消防隊が建物内で効率よく放水活動を行うための設備という性格が強く、専門的な運用が前提になります。問題では「一般の人が操作しやすい」という表現が入ることで、2号消火栓などの特徴と混同しやすくなっています。設備の使用者が誰なのかを意識して整理すると、こうしたひっかけに対応しやすくなります。

(3) 連結送水管設備では、高置水槽が置かれる場合、建築物の高さが70mを超える場合においてもブースターポンプは不要である。

不適切です。その理由は、高層建築物では高置水槽があるだけで必要な放水圧力を十分に確保できない場合があり、一定の高さを超えるとブースターポンプが必要になるからです。建築物が高くなるほど、上層階まで送水するために必要な圧力は大きくなります。そのため、単に水槽があるだけでは不十分で、圧力不足を補うためのポンプ設備が求められます。この選択肢は「高置水槽があるなら安心」と思わせる表現ですが、実務では高さと圧力の関係が非常に重要です。特に高層建築物では、送水の到達性と放水圧の確保が大前提になることを押さえておく必要があります。

(4) 屋内消火栓設備には1号消火栓と2号消火栓があり、工場・倉庫では2号消火栓が設置される。

不適切です。その理由は、工場や倉庫では一般に1号消火栓が設置されることが多く、2号消火栓は主として一般の在館者でも扱いやすいようにした設備だからです。1号消火栓は放水量が多く、操作には2人を要するものが一般的です。一方、2号消火栓は1人でも操作しやすいように改良されており、事務所や百貨店、ホテルなど、不特定多数の人が利用する建物に適しています。つまり、工場や倉庫のような用途では、より本格的な消火能力を持つ1号消火栓が想定されるのが基本です。この選択肢は「2号のほうが新しくて便利だから広く使われるだろう」と感じる受験者を狙ったものですが、実際には建物用途と想定される操作主体で区別して考えます。

(5) 各種消火器の消火能力を表す能力単位は、家庭用消火器の消火能力を「1」とした相対値で算定される。

不適切です。その理由は、消火器の能力単位は家庭用消火器を基準にしたものではなく、規格化された模型火災に対する消火性能試験によって定められるからです。消火器には普通火災に対応するA火災用、油火災に対応するB火災用などがあり、それぞれの試験火災に対してどれだけの消火能力を持つかで能力単位が決まります。したがって、「家庭用消火器を1とした相対値」という説明は誤りです。この種の問題では、身近なイメージで判断すると誤りやすく、実際には法令や規格に基づく性能評価であることを知っておく必要があります。

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この問題で覚えるポイント

消火設備は、誰が使用する設備なのかで整理すると理解しやすくなります。消火器や2号消火栓は比較的一般の在館者による初期消火を想定した設備であり、連結送水管設備や連結散水設備は消防隊による本格的な消火活動を支援する設備です。この区別は頻出です。

屋内消火栓設備は、1号と2号の違いが重要です。1号消火栓は放水能力が高く、操作に複数人を要するのが基本で、工場や倉庫などで用いられます。2号消火栓は1人でも扱いやすく、不特定多数が利用する建物に適しています。どちらが「強いか」だけでなく、「誰が使うか」で覚えると混乱しにくくなります。

連結送水管設備では、建築物の高さが高くなるほど必要圧力の確保が課題になります。高置水槽があっても、それだけで十分とは限らず、一定以上の高さではブースターポンプが必要になります。高層建築物では、水源の有無だけでなく、必要な放水圧を確保できるかが判断の中心です。

ハロン消火剤は、消火性能が高い一方で環境への影響が問題となり、代替薬剤への転換が進みました。試験では、ハロンそのものの特徴だけでなく、代替としてHFC系薬剤や不活性ガス系設備が使われる流れまで押さえておくと得点しやすくなります。

消火器の能力単位は、家庭用か業務用かといった日常的な分類で決まるのではなく、規格化された試験火災に対する消火能力で決まります。A火災、B火災など火災種別ごとの性能評価で表されることを理解しておくことが重要です。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、「一般の人が使いやすい設備」と「消防隊が使う設備」を入れ替えている点にあります。名前だけを見ると、どれも火災時に使う設備なので同じように見えますが、実際には想定される使用者が異なります。設備の名称ではなく、運用場面まで思い浮かべることが大切です。

また、「高置水槽があるならポンプは不要」と考えてしまうのも典型的な思考の罠です。建物が高くなると水圧確保が問題になるため、水槽の有無だけでは判断できません。設備問題では「あるかないか」だけでなく、「必要性能を満たせるか」を考える習慣が重要です。

さらに、屋内消火栓の1号と2号は、数字の大小から性能や新旧のイメージで判断すると間違えやすいところです。試験では、数字の大小ではなく、操作性と用途で区別する知識が求められます。「2号のほうが扱いやすい」という点だけを切り取って、あらゆる建物に設置されると考えると誤答につながります。

消火器の能力単位については、身近な家庭用消火器を基準にしているように見せることで、受験者の生活感覚に寄せた誤りを作っています。資格試験では、日常感覚で納得できそうな説明ほど注意が必要です。規格や試験に基づく専門的な定義かどうかを確認する意識を持つと、同じタイプの問題に強くなれます。

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