【ビル管過去問】令和5年度 問題44|感染症法|全数把握対象疾患と定点把握疾患の区別を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和5年度(2023年)|建築物の環境衛生第44問

問題

感染症法により、全数把握が必要とされる感染症は次のうちどれか。

(1) ヘルパンギーナ

(2) A型肝炎

(3) 季節性インフルエンザ

(4) 手足口病

(5) マイコプラズマ肺炎

ビル管過去問|感染症法|全数把握対象疾患と定点把握疾患の区別を解説

この問題は、感染症法における「全数把握」と「定点把握」の違いを正しく理解しているかを問う問題です。全数把握とは、診断したすべての医師が、すべての患者について届け出る仕組みです。一方、定点把握とは、指定された医療機関だけが発生状況を報告する仕組みです。五類感染症の中には全数把握のものと定点把握のものがあり、A型肝炎は全数把握、ヘルパンギーナ、季節性インフルエンザ、手足口病、マイコプラズマ肺炎は定点把握です。したがって、正しい選択肢は(2)です。

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(1) ヘルパンギーナ

不適切です。ヘルパンギーナは感染症法上、定点把握の対象です。つまり、すべての医師が全患者を届け出るのではなく、あらかじめ指定された医療機関が一定期間ごとに報告する方式で監視されています。ヘルパンギーナは小児に多い夏かぜの代表的な感染症で、流行の全体像をみるには定点からの継続的な報告が有効です。このため、全数把握ではなく定点把握に分類されています。全数把握は、患者が出たら一例ごとに公衆衛生上の対応が特に重要になる疾患で用いられる、という整理で覚えると理解しやすいです。

(2) A型肝炎

適切です。A型肝炎は感染症法上、全数把握の対象です。A型肝炎は五類感染症に分類されますが、五類だからすべて定点把握というわけではありません。五類感染症の中にも、A型肝炎のように全数把握されるものがあります。厚生労働省は、五類感染症について「全数把握」と「定点把握」に分けて示しており、その中でA型肝炎は全数把握疾患として扱われています。試験では「五類感染症=定点把握」と短絡的に覚えていると誤りやすいので注意が必要です。

(3) 季節性インフルエンザ

不適切です。季節性インフルエンザは定点把握の対象です。医療現場では非常に患者数が多く、毎年の流行状況を把握することが重要なため、指定医療機関からの継続的な報告によって流行の規模や時期を把握します。すべての患者を一人ずつ届け出る仕組みではありません。なお、同じインフルエンザでも、感染症法上の扱いは一律ではなく、病原体や公衆衛生上の重要性によって別の扱いになる場合があります。そのため、単に「インフルエンザ」と見ただけで全数把握と考えないことが大切です。

(4) 手足口病

不適切です。手足口病は定点把握の対象です。厚生労働省の届出基準でも、指定届出機関の管理者が週単位で届け出る感染症として示されています。手足口病は乳幼児を中心に流行しやすく、地域ごとの流行状況をみるために定点観測が適しています。問題では、患者数が多くて身近な感染症ほど「全部届け出るのでは」と感じるかもしれませんが、実際には流行把握の方法として定点把握が用いられることが多いです。

(5) マイコプラズマ肺炎

不適切です。マイコプラズマ肺炎は定点把握の対象です。呼吸器感染症として一定の流行を示すため、流行動向を継続的に監視する目的で定点把握が採用されています。全数把握は、発生したすべての症例を漏れなく届け出る必要がある感染症に使われますが、マイコプラズマ肺炎はその区分ではありません。この問題では、重症化することがある感染症だから全数把握だろう、と印象で判断すると誤りやすいです。制度上どう分類されているかで判断することが大切です。

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この問題で覚えるポイント

感染症発生動向調査には、全数把握と定点把握の二つの考え方があります。全数把握は、対象感染症と診断したすべての医師が、すべての患者を届け出る方式です。発生を一例ずつ正確に把握し、迅速な公衆衛生対応につなげる必要がある感染症で用いられます。定点把握は、指定された医療機関だけが患者発生数を定期的に報告する方式で、主に流行の規模や推移をみるために使われます。 五類感染症はここが特に重要です。五類感染症の中には全数把握と定点把握の両方があります。したがって、「五類感染症=定点把握」と覚えるのは誤りです。A型肝炎のように五類でも全数把握の疾患があります。一方で、ヘルパンギーナ、手足口病、季節性インフルエンザ、マイコプラズマ肺炎のように、流行状況を監視する目的で定点把握となっている疾患もあります。試験対策としては、感染症の重さや知名度ではなく、法令上の届出区分で整理することが得点につながります。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、「五類感染症」という大きなくくりだけで判断させようとしている点です。受験者は、感染症の分類を覚えていても、その先の「届出方法」まで整理できていないことが多いです。そのため、五類と見た瞬間に定点把握だと思い込むと、A型肝炎で誤ります。逆に、季節性インフルエンザや手足口病のような身近な感染症は患者数が多いので、全部届け出る印象を持ちやすいですが、実際は定点把握です。つまり、病名の知名度や流行の大きさで判断すると引っかかります。大事なのは、「その感染症が法律上どちらの届出方式に置かれているか」を機械的に確認することです。

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