【ビル管過去問】令和4年度 問題116|給水設備の保守管理 貯水槽清掃・残留塩素測定・防錆剤管理を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和4年度(2022年)|給水および排水の管理第116問

問題

給水設備の保守管理に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) 貯水槽の清掃によって生じた汚泥などの廃棄物は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という。)、下水道法等の規定に基づき、適切に処理する。

(2) 防錆(せい)剤の注入及び管理に関する業務は、建築物衛生法に基づく建築物飲料水水質検査業の登録を受けた者が行わなければならない。

(3) 管更生工法で管内に合成樹脂ライニングを施す場合には、技術評価・審査証明を受けた工法を採用するのがよい。

(4) 残留塩素の測定は、一般にDPDを発色試薬とした測定法により行う。

(5) 配管は、管の損傷、錆、腐食及び水漏れの有無を点検して、必要に応じて補修を行う。

ビル管過去問|給水設備の保守管理 貯水槽清掃・残留塩素測定・防錆剤管理を解説

この問題は、給水設備の維持管理で何が適切な実務に当たるかを問う問題です。正答は(2)です。貯水槽清掃後の汚泥処理、管更生時の工法選定、残留塩素測定、配管点検はいずれも保守管理として妥当な内容です。一方で、防錆剤の注入や管理を行う業務と、建築物飲料水水質検査業の登録とは一致しません。建築物衛生法の登録業種では、建築物飲料水水質検査業は飲料水の水質検査を行う事業であり、貯水槽清掃業や配管清掃業などとは業務内容が区別されています。したがって、登録業種の名称と業務範囲を正確に対応させられるかが得点のポイントです。

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(1) 貯水槽の清掃によって生じた汚泥などの廃棄物は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という。)、下水道法等の規定に基づき、適切に処理する。

適切です。貯水槽清掃では、槽内にたまった汚泥や洗浄で生じた排水をそのまま不適切に処分してよいわけではありません。清掃によって発生した廃棄物は、関係法令に従って適切に処理する必要があります。試験では、清掃そのものの手順だけでなく、清掃後に出る汚泥や排水の扱いまで含めて「保守管理」であることを押さえておくことが大切です。作業が終わった後の処理まで適正であって初めて、衛生的な管理ができているといえます。

(2) 防錆(せい)剤の注入及び管理に関する業務は、建築物衛生法に基づく建築物飲料水水質検査業の登録を受けた者が行わなければならない。

不適切です。これが誤りです。建築物衛生法の登録制度における建築物飲料水水質検査業は、名称のとおり飲料水の水質検査を行う事業です。つまり、主な役割は水質基準に基づく検査であり、防錆剤の注入や管理そのものを担当する登録区分ではありません。試験では「水質検査」という言葉から、飲料水に関するあらゆる管理業務を含むように感じてしまいがちですが、実際には検査業務と保守管理業務は別です。登録業種の名前を見たときに、その業務が「測る仕事」なのか、「清掃する仕事」なのか、「設備を管理する仕事」なのかを切り分けて理解すると、こうしたひっかけに強くなります。

(3) 管更生工法で管内に合成樹脂ライニングを施す場合には、技術評価・審査証明を受けた工法を採用するのがよい。

適切です。管更生工法は、既設配管を更新せずに内部を更生する方法で、施工方法や材料の妥当性が非常に重要です。特に飲料水に関係する配管では、施工後の安全性や耐久性、衛生性が求められるため、技術評価や審査証明を受けた工法を採用することが望ましいと考えられます。試験では「しなければならない」と断定しているか、「採用するのがよい」と実務上の妥当性を述べているかでも判断が変わります。この選択肢は後者であり、内容として自然です。

(4) 残留塩素の測定は、一般にDPDを発色試薬とした測定法により行う。

適切です。残留塩素の測定では、DPD法が代表的な方法として広く用いられています。DPD試薬を加えると残留塩素に応じて発色し、その色の濃さによって濃度を測定します。水道関係の資料でも、残留塩素の測定法としてDPD法が示されています。試験対策としては、「残留塩素=DPD法」という対応をまず確実に覚えることが重要です。細かな装置名称まで曖昧でも、この基本対応が分かっていれば正誤判断しやすくなります。

(5) 配管は、管の損傷、錆、腐食及び水漏れの有無を点検して、必要に応じて補修を行う。

適切です。配管は給水設備の中でも劣化が進むと漏水や赤水、衛生上の問題につながりやすい部分です。そのため、損傷、錆、腐食、水漏れの有無を定期的に確認し、異常があれば補修するという考え方は保守管理の基本です。設備管理では、故障してから直すのではなく、異常の兆候を早めに見つけて対処する予防保全の視点が大切です。この選択肢はまさにその基本を述べています。

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この問題で覚えるポイント

給水設備の保守管理では、清掃、点検、測定、補修といった実務の役割分担を整理して覚えることが重要です。まず、貯水槽清掃で発生した汚泥や排水は、関係法令に基づいて適切に処理します。次に、残留塩素の測定は代表的にDPD法で行うことを押さえます。さらに、配管管理では損傷、錆、腐食、水漏れの確認が基本であり、必要に応じて補修を行います。加えて、建築物衛生法の登録業種は名称どおりに業務範囲が区分されており、建築物飲料水水質検査業は水質検査、建築物飲料水貯水槽清掃業は貯水槽清掃、建築物排水管清掃業は排水管清掃というように整理すると混乱しにくくなります。試験では、設備管理の実務知識そのものと、登録制度上の業務区分の理解の両方が問われます。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、「飲料水」という言葉が付く登録業種なら、飲料水に関するあらゆる維持管理を行えるように見えてしまう点です。特に建築物飲料水水質検査業は名前が広く感じられるため、防錆剤の注入や管理まで含むと早合点しやすくなります。しかし実際には、登録業種はかなり限定的に区分されており、水質を調べる業務と、設備に薬剤を注入して管理する業務とは別に考える必要があります。つまり、「一部は飲料水に関係しているから全部正しいはずだ」と考えてしまうのが思考の罠です。登録業種の名称を見たら、対象は何か、行為は何かを分けて読む癖をつけると、同じパターンの問題にも対応しやすくなります。

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