【ビル管過去問】令和4年度 問題81|空気調和・換気設備の維持管理 保全方式・耐用年数・点検業務を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和4年度(2022年)|空気環境の調整第81問

問題

空気調和・換気設備の維持管理に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) 異常の兆候は、それ自体を測定することは難しく、振動などのパラメータから推定する。

(2) 予防保全とは、故障発生時に、他の部分への影響を防止するため、当該部分を速やかに修復する方法である。

(3) 熱源設備は重要機器として、点検レベルを高く設定する。

(4) 点検業務は、法定点検業務及び設備機能維持のために行われる任意点検業務に区分される。

(5) 空気調和・換気設備のリニューアルまでの使用期間は、20〜30年となる場合が多い。

ビル管過去問|空気調和・換気設備の維持管理 保全方式・耐用年数・点検業務を解説

この問題は、空気調和・換気設備の維持管理における保全方式、点検の考え方、設備更新の目安について問う問題です。維持管理分野では、用語の定義を正確に押さえているかどうかが正誤判断の分かれ目になります。特に、予防保全と事後保全の違いは頻出ですので、ここを確実に区別できるようにすることが大切です。正しい選択肢は(1)(3)(4)(5)であり、最も不適当なのは(2)です。

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(1) 異常の兆候は、それ自体を測定することは難しく、振動などのパラメータから推定する。

適切です。設備の異常は、必ずしも「異常そのもの」を直接測定できるとは限りません。たとえば回転機器の劣化や不具合は、振動、温度、音、電流値などの変化として現れることが多いです。そのため、維持管理ではこれらの間接的なデータを監視し、故障の前兆や劣化の兆候を推定します。これは状態監視保全や予知保全の基本的な考え方であり、実務でも非常に重要です。

(2) 予防保全とは、故障発生時に、他の部分への影響を防止するため、当該部分を速やかに修復する方法である。

不適切です。これは予防保全ではなく、故障が発生した後に修復する考え方であり、事後保全の説明です。予防保全とは、故障が起こる前に点検、整備、部品交換などを計画的に行い、故障を未然に防ぐ保全方式をいいます。一方で、故障発生後に修理して機能を回復させるのは事後保全です。この問題では「故障発生時に」という表現が決定的な誤りであり、ここを見抜けるかがポイントです。

(3) 熱源設備は重要機器として、点検レベルを高く設定する。

適切です。熱源設備は、冷凍機、ボイラー、冷却塔、ポンプなど、建物全体の空気調和機能を支える中核設備です。ここに不具合が生じると、建物全体の温熱環境に大きな影響が及びます。そのため、他の一般機器よりも重要度が高く、点検頻度や点検内容を充実させて管理するのが一般的です。設備管理では、重要度に応じて保全水準を変えるという考え方が基本になります。

(4) 点検業務は、法定点検業務及び設備機能維持のために行われる任意点検業務に区分される。

適切です。設備の点検には、法令で実施が義務づけられている法定点検と、法令上の義務ではなくても機能維持や故障予防のために自主的に行う任意点検があります。実際の維持管理では、法定点検だけでは設備の健全性を十分に保てないことも多いため、任意点検を組み合わせて管理水準を高めることが重要です。この区分は維持管理の基本事項として理解しておきたいところです。

(5) 空気調和・換気設備のリニューアルまでの使用期間は、20〜30年となる場合が多い。

適切です。空気調和・換気設備は、適切な保守管理を行っていても、経年劣化、部品供給の停止、省エネルギー性能の陳腐化などにより、一定期間で更新が必要になります。一般的には20〜30年程度がリニューアルの一つの目安とされることが多いです。もちろん使用環境や保全状況によって差はありますが、試験対策としてはこのおおよその年数感を押さえておくと役立ちます。

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この問題で覚えるポイント

空気調和・換気設備の維持管理では、保全方式の定義を正確に区別することが最重要です。予防保全は、故障前に点検や整備、部品交換を行って不具合を未然に防ぐ方法です。これに対して事後保全は、故障が発生した後に修理や交換を行って機能を回復させる方法です。試験ではこの両者を入れ替えて出題することが多いため、「故障前か故障後か」を軸に整理すると判断しやすくなります。

また、設備の異常診断では、異常そのものを直接測るのではなく、振動、温度、騒音、電流などの変化から間接的に兆候を把握する考え方が重要です。これは状態監視や予知保全につながる基本知識です。さらに、熱源設備のように建物全体への影響が大きい重要機器は、点検レベルを高く設定するのが原則です。点検業務は、法令に基づく法定点検と、設備機能維持のための任意点検に分かれます。加えて、空気調和・換気設備の更新時期の目安としては、20〜30年程度がよく問われる数字です。定義、分類、年数の3点をセットで覚えると、同テーマの問題に対応しやすくなります。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、保全方式の用語を日常語の感覚で読ませて混同させる点にあります。特に「予防保全」という言葉から、なんとなく「被害が広がる前に対処すること」と受け取ってしまうと、故障後の修復でも予防的に見えてしまいます。しかし、設備管理の専門用語としては、予防保全はあくまで故障前の計画的対応です。ここを曖昧に覚えていると誤答しやすくなります。

また、選択肢全体の文章がもっともらしく書かれているため、一部だけ誤っている文章を見抜けるかも問われています。今回でいえば、「他の部分への影響を防止するため、速やかに修復する」という後半は実務上あり得る内容なので、つい正しそうに見えます。しかし、冒頭の「故障発生時に」という条件が入った時点で、それは予防保全ではなく事後保全です。試験ではこのように、一見正しそうな説明文の中に、定義を崩す一語が入れられることが多いです。用語問題では、文章全体の雰囲気ではなく、定義の核心部分に注目して判断することが大切です。

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