【ビル管過去問】令和4年度 問題91|建築物と環境の基礎用語 フレキシビリティ・サステナブル開発・コージェネを解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和4年度(2022年)|建築物の構造概論第91問

問題

建築物と環境に関する用語の組合せとして、最も関係が少ないものは次のうちどれか。

(1) フレキシビリティ ――― 間仕切り変更

(2) サスティナブル・ディベロップメント ――― 持続可能な開発

(3) 屋上緑化 ――― 市街地風

(4) メタン ――― 温室効果ガス

(5) コージェネレーション ――― 排熱の有効利用

ビル管過去問|建築物と環境の基礎用語 フレキシビリティ・サステナブル開発・コージェネを解説

この問題は、建築物と環境に関する基本用語と、その内容や目的との対応関係を問う問題です。建築物環境衛生管理技術者試験では、個別の設備知識だけでなく、建築計画や環境配慮に関する基本概念も整理して理解しているかが問われます。今回の正答は、屋上緑化と市街地風の組合せです。屋上緑化は主としてヒートアイランド対策や断熱性向上、景観改善などに関係する概念であり、市街地風との直接的な対応は他の選択肢に比べて弱いためです。ほかの選択肢は、それぞれ用語と内容が適切に対応しています。

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(1) フレキシビリティ ――― 間仕切り変更

適切です。フレキシビリティとは、建築物が用途変更やレイアウト変更に柔軟に対応できる性質をいいます。たとえば、オフィスの組織変更やテナントの入れ替えに応じて、内部の間仕切りを変更しやすい構造や計画になっていることは、建築物のフレキシビリティの代表例です。建築物は長期間使用されるため、初期の使い方だけでなく、将来の変化にどれだけ対応できるかが重要です。このため、フレキシビリティと間仕切り変更の組合せは関係が深いと判断できます。

(2) サスティナブル・ディベロップメント ――― 持続可能な開発

適切です。サスティナブル・ディベロップメントは、将来世代のニーズを損なうことなく、現在の世代のニーズを満たす開発という考え方です。日本語では一般に持続可能な開発と訳され、環境保全、資源の有効利用、社会的公平性、経済性などをバランスよく考える概念として用いられます。建築分野でも、省エネルギー化や長寿命化、再生可能資源の活用などに深く関わります。したがって、この組合せは正しいです。

(3) 屋上緑化 ――― 市街地風

不適切です。屋上緑化は、建築物の屋上に植物を設けることで、日射の吸収抑制、表面温度の上昇抑制、断熱性能の補助、雨水流出の抑制、景観向上などに寄与するものです。特に都市部では、ヒートアイランド現象の緩和策として扱われることが多いです。一方、市街地風とは、建物群の配置や形状によって形成される都市特有の風の流れや風環境を指します。屋上緑化が風環境に全く無関係とはいえませんが、両者を直接結び付ける代表的な組合せとはいえません。この選択肢は、環境に良い建築技術というイメージだけで関連が強そうに見せていますが、用語の中心的な意味がずれているため、最も関係が少ない組合せです。

(4) メタン ――― 温室効果ガス

適切です。メタンは代表的な温室効果ガスの一つです。二酸化炭素に比べると大気中濃度は低いものの、一定期間あたりの温室効果は大きいとされています。温室効果ガスには、二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、フロン類などが含まれます。建築物の維持管理では、直接メタンを扱う場面は多くないものの、地球環境問題を理解するうえで基本知識として重要です。そのため、この組合せは正しいです。

(5) コージェネレーション ――― 排熱の有効利用

適切です。コージェネレーションとは、発電すると同時に、その際に発生する排熱も冷暖房や給湯などに利用する仕組みです。単に電気だけをつくる場合よりも、エネルギー利用効率を高めやすいことが特徴です。建築設備では、病院やホテルなど熱需要が安定して存在する建物で導入効果が期待されます。発電と排熱利用を一体で考えることがコージェネレーションの本質なので、この組合せは適切です。

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この問題で覚えるポイント

建築物と環境に関する基礎用語は、単語だけでなく、その言葉が何を目的としているのかまで結び付けて覚えることが重要です。フレキシビリティは、建物内部の用途変更や組織変更に対応しやすい柔軟性を指し、間仕切り変更や設備更新のしやすさと結び付きます。サスティナブル・ディベロップメントは、持続可能な開発という意味で、環境保全だけでなく、経済性や社会性も含めた広い概念です。屋上緑化は、主として屋上面の温度上昇抑制、断熱補助、ヒートアイランド緩和、景観改善、雨水流出抑制などに関係します。市街地風は、建物の配置や都市形態によって生じる風環境の問題であり、ビル風や通風計画と結び付けて理解するのが基本です。メタンは温室効果ガスの一つであり、二酸化炭素だけでなく複数の温室効果ガスが存在することを押さえる必要があります。コージェネレーションは、発電と同時に生じる排熱を利用することで総合効率を高める方式であり、省エネルギー問題で頻出です。試験では、用語と代表的な機能、目的、効果の対応を正確に覚えることが正誤判断に直結します。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、どの選択肢も一見すると環境や建築に関係しており、何となく正しそうに見える点にあります。特に屋上緑化は環境配慮型技術として有名なので、受験者は環境に良いもの同士という印象だけで、市街地風とも関係が深いと早合点しやすいです。しかし、試験ではイメージの近さではなく、用語の本来の中心的意味や代表的効果が一致しているかが問われます。また、サスティナブル・ディベロップメントのようなカタカナ語は、意味を曖昧に覚えていると迷いやすいです。さらに、コージェネレーションも省エネ設備という漠然とした理解だけでは不十分で、排熱の有効利用が本質であることまで押さえておく必要があります。今後も、環境に良さそう、建築に関係しそうという印象だけで判断せず、その用語の定義と代表的な働きを結び付けて考えることが大切です。

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