出典:建築物衛生管理技術者試験令和4年度(2022年)|建築物の構造概論第100問
問題
空気調和設備に関する用語とその図示記号との組合せとして、最も不適当なものは次のうちどれか。

ビル管過去問|空気調和設備 図示記号と設備用語の対応を解説
この問題は、空気調和設備で使われる代表的な図示記号と設備用語の対応を正しく覚えているかを問う問題です。設備図では、機器やダクト、吹出口、吸込口、ダンパなどが記号で簡略表示されるため、記号の意味を理解していないと設計図や施工図を正しく読めません。正答は(2)で、排気ガラリと示された記号の組合せが不適切です。他の選択肢は、空調設備の図面で一般的に用いられる記号の考え方と一致しています。記号は形そのものを丸暗記するだけでなく、どの設備が空気を取り込むのか、流すのか、調整するのかという機能と結び付けて覚えると判断しやすくなります。
(1) VAVユニット
適切です。VAVユニットはVariable Air Volumeの略で、室内への送風量を負荷に応じて変化させる装置です。図のように、ダクト途中に設けられる機器として表されることが多く、内部で風量を絞る機構をもつユニットとして認識します。単なるダクトではなく、風量制御機能をもった機器であることがポイントです。そのため、VAVユニットとしての対応は適切です。
(2) 排気ガラリ
不適切です。排気ガラリは、室内や機械室などの空気を排出する開口部に設けられるもので、壁面や扉などに取り付けられ、羽根やスリットをもつ開口部として扱われます。ところが、図の記号は排気ガラリを表す代表的な記号とは一致していません。排気ガラリは、空気の出入口としての開口部記号として理解する必要がありますが、この図示ではその性格が適切に表現されていないため、この組合せが最も不適当です。
(3) 風量調節ダンパ
適切です。風量調節ダンパは、ダクト内を流れる空気の量を調整するための部材です。図面では、ダクト内の風量を調整する機能を示すために、円や斜線などを組み合わせた記号とともに、VDという略号が付されることがあります。VDはVolume Damperの意味であり、風量調節ダンパを示す略号として理解しやすいものです。そのため、この対応は適切です。
(4)還気ダクト
適切です。還気ダクトは、室内から戻ってきた空気を空調機へ返すためのダクトです。図面では、還気を示すためにRAという略号が付されることが多く、これはReturn Airの意味です。外気はOA、給気はSA、排気はEAなどの略号と対比して覚えると整理しやすくなります。したがって、還気ダクトとRAの対応は適切です。
(5) 吸込口
適切です。吸込口は、室内空気をダクト側へ吸い込む開口部であり、図では中央の開口に向かって矢印が集まるような形で示されることがあります。これは、空気が周囲からその開口へ流れ込むことを視覚的に表したものです。吹出口であれば空気が外へ出る向きの理解が必要ですが、吸込口は逆に空気を取り込む側です。そのため、この組合せは適切です。
この問題で覚えるポイント
空気調和設備の図示記号は、設備の名称を単独で覚えるのではなく、空気の流れと機能で整理すると記憶に残りやすくなります。まず、ダクト系統の略号として、OAは外気、SAは給気、RAは還気、EAは排気を表します。これらは図面読解の基本であり、特にRAとEA、SAとOAの取り違えは頻出です。次に、ダンパはダクト内の風量や流れを調整する部材で、風量調節ダンパはVolume DamperとしてVDと表されることがあります。さらに、VAVユニットは単なるダンパではなく、負荷に応じて風量を可変制御する機器です。吹出口や吸込口、ガラリは開口部に関する記号であり、空気を出す側か取り込む側か、室内側か排気側かを空気の向きで判断することが大切です。試験では、略号の意味、開口部の役割、ダクト内機器と開口部の違いを区別できることが正誤判断に直結します。
ひっかけポイント
この種の問題では、受験者が記号の雰囲気だけで判断してしまうことを狙っています。特に引っかかりやすいのは、開口部の記号同士が似て見えることと、ダクト系統の略号を暗記だけで曖昧に覚えていることです。排気ガラリ、吸込口、吹出口はどれも空気の出入りに関係するため、開口部という共通点だけで正しいと思い込みやすいですが、実際には用途が異なります。また、VAVユニットと風量調節ダンパも、どちらも風量に関係するため混同しやすいです。しかし、前者は制御機能を備えたユニットであり、後者は調整用の部材です。つまり、「空気を動かす設備なのか」「空気の通り道なのか」「空気の出入口なのか」を切り分けて考えないと、一部だけ正しい知識に引っ張られて誤答しやすくなります。今回のような問題では、記号の見た目だけでなく、その設備が図面上でどの役割を担うのかまで結び付けて覚えることが大切です。
