出典:建築物衛生管理技術者試験令和4年度(2022年)|建築物衛生行政概論第6問
問題
建築物衛生法に基づく特定建築物の届出事項のうち、最も不適当なものは次のうちどれか。
(1) 建築物の全部が使用されるに至った年月日
(2) 特定建築物の用途及び特定用途に供される部分の延べ面積
(3) 建築物環境衛生管理技術者の氏名、住所及び免状番号
(4) 特定建築物の所有者等の氏名及び住所
(5) 特定建築物の構造設備の概要
ビル管過去問|特定建築物 届出事項・届出内容を解説
この問題は、特定建築物の届出で何を届け出るのかを正確に覚えているかを問う問題です。正しい答えは(1)です。特定建築物の届出事項としては、名称、所在場所、用途、特定用途部分の延べ面積、構造設備の概要、そして所有者や維持管理権原者の氏名・住所などが定められています。一方で、「建築物の全部が使用されるに至った年月日」は届出の時期に関係する考え方ではあっても、届書に記載する届出事項そのものとしては規則第1条第1項の列挙事項に含まれていません。したがって、最も不適当なのは(1)です。
(1) 建築物の全部が使用されるに至った年月日
不適切です。特定建築物の届出事項として法令に列挙されているのは、特定建築物の名称、所在場所、用途、特定用途部分の延べ面積、構造設備の概要、維持管理権原者の氏名及び住所などです。「建築物の全部が使用されるに至った年月日」は、受験上つい届出事項のように見えてしまいますが、届書に必ず記載する法定の列挙事項ではありません。届出制度では、「いつ届け出るか」と「何を届け出るか」を分けて整理することが大切です。
(2) 特定建築物の用途及び特定用途に供される部分の延べ面積
適切です。特定建築物に該当するかどうかは、用途と延べ面積によって判断されるため、これらは届出事項として非常に重要です。法令でも、特定建築物の用途と、施行令第1条各号に掲げる用途に供される部分の延べ面積を届け出ることが定められています。つまり、この建築物がなぜ特定建築物に当たるのかを行政が確認するための基本情報だと理解すると覚えやすいです。
(3) 建築物環境衛生管理技術者の氏名、住所及び免状番号
適切です。建築物環境衛生管理技術者は、特定建築物の衛生的環境の維持管理を実務面で担う中核的な存在です。そのため、誰がその役割を担っているのかを明確にする必要があり、氏名、住所、免状番号は届出事項に含まれます。試験では、管理技術者に関する情報を「届出事項ではないのでは」と迷わせることがありますが、実際には重要な届出対象です。
(4) 特定建築物の所有者等の氏名及び住所
適切です。現在の制度では、単なる所有者だけでなく、占有者その他の者で当該特定建築物の維持管理について権原を有する者、つまり維持管理権原者の氏名及び住所を届け出ることとされています。実際の管理責任を持つ者を行政が把握するためです。管理の実態に即して責任主体を押さえるための届出事項であり、重要なポイントです。
(5) 特定建築物の構造設備の概要
適切です。特定建築物の衛生管理では、空気環境、給水、排水、清掃、ねずみ・昆虫防除などが適正に実施できる建物かどうかが重要になります。その前提として、建築物の構造設備の概要は行政が把握しておくべき情報です。設備の内容によって維持管理の方法や必要な確認事項が変わるため、これも届出事項に含まれます。
この問題で覚えるポイント
特定建築物の届出事項では、まず何を届け出るのかを条文レベルで整理して覚えることが重要です。基本は、名称、所在場所、用途、特定用途部分の延べ面積、構造設備の概要、維持管理権原者の氏名及び住所、そして建築物環境衛生管理技術者の氏名、住所及び免状番号です。ここで大切なのは、特定建築物に該当するかの判断に関わる情報と、実際に維持管理の責任を負う者・担当する者の情報が中心になっているという点です。 また、試験では「届出事項」と「届出の期限や届出が必要となる場面」を混同しないことが重要です。届出事項は届書に書く内容であり、届出期限はいつまでに出すかという別の論点です。この切り分けができると、似た選択肢に惑わされにくくなります。さらに、最近の制度では「所有者」だけではなく、維持管理について権原を有する者を届け出る点もよく狙われます。単純な所有関係ではなく、実際の管理責任者を把握する制度であると理解しておくと応用が利きます。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、「実務上大事そうな情報」と「法令上の届出事項」をわざと混同させている点にあります。受験者は「建物が全部使われ始めた日なら、届出に必要そうだ」と日常感覚で考えやすいのですが、試験ではその感覚が落とし穴になります。問われているのは、必要そうかどうかではなく、法令に列挙された届出事項かどうかです。 さらに、所有者等や管理技術者に関する情報は、細かい個人情報なので届出事項から外れていそうに感じる人がいます。しかし実際には、誰が維持管理の責任を負い、誰が管理技術者なのかは制度上とても重要です。このように、「常識的には不要に見えるが法令上は必要なもの」と、「必要そうに見えるが法令上は届出事項ではないもの」を逆転させるのが典型的な出題パターンです。今後も、条文に書かれた列挙事項かどうかを基準に判断する癖をつけることが、同テーマの問題対策として有効です。
