【ビル管過去問】令和4年度 問題19|事務所衛生基準規則 事務室の環境管理基準を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和4年度(2022年)|建築物衛生行政概論第19問

問題

事務所衛生基準規則において、労働者を常時就業させる事務室の環境管理に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) 気積は、設備の占める容積及び床面から4メートルを超える高さにある空間を除き、労働者1人について、10立方メートル以上としなければならない。

(2) 一酸化炭素及び二酸化炭素の含有率を、それぞれ100万分の50以下及び100万分の5,000以下としなければならない。

(3) 冷房する場合は、当該室の気温を外気温より著しく低くしてはならない。

(4) 中央管理方式の空調設備を設けている建築物では、作業環境測定は2か月以内ごとに1回、定期に行わなければならない。

(5) 事務室の作業環境測定は、作業環境測定士が実施しなければならない。

ビル管過去問|事務所衛生基準規則 事務室の環境管理基準を解説

この問題は、事務所衛生基準規則における事務室の環境管理基準を問うものです。気積、一酸化炭素と二酸化炭素の基準、冷房時の温度管理、中央管理方式の空気調和設備がある室での測定頻度など、基本事項を正確に押さえているかが問われています。正しい知識に照らすと、気積を1人当たり10立方メートル以上とすること、一酸化炭素を50ppm以下、二酸化炭素を5,000ppm以下とすること、冷房時に外気温より著しく低くしないこと、中央管理方式の空気調和設備がある一定の事務室では2か月以内ごとに1回測定することは、いずれも規則に沿った内容です。一方で、測定を必ず作業環境測定士が実施しなければならないとする規定は事務所衛生基準規則にはありませんので、最も不適当なのは(5)です。

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(1) 気積は、設備の占める容積及び床面から4メートルを超える高さにある空間を除き、労働者1人について、10立方メートル以上としなければならない。

適切です。事務所衛生基準規則第2条では、労働者を常時就業させる室の気積について、設備の占める容積と床面から4メートルを超える高さの空間を除き、労働者1人当たり10立方メートル以上としなければならないと定めています。これは単に部屋が広ければよいという話ではなく、実際に人が呼吸し、仕事をする空間として十分な空気量を確保するための基準です。机や棚などの設備で埋まっている部分や、実質的に作業環境に寄与しにくい高所空間を除いて計算する点が重要です。数字だけでなく、どの空間を計算対象から除くのかまで含めて覚えておくと、同種問題で迷いにくくなります。

(2) 一酸化炭素及び二酸化炭素の含有率を、それぞれ100万分の50以下及び100万分の5,000以下としなければならない。

適切です。事務所衛生基準規則第3条第2項では、室における一酸化炭素及び二酸化炭素の含有率を、それぞれ100万分の50以下、100万分の5,000以下としなければならないと定めています。ここは数値の暗記が重要ですが、あわせて「室そのものの空気」に対する一般的な基準であることも理解しておきたいところです。空気調和設備から供給される空気の基準としては、より厳しい数値が別に定められているため、それと混同しやすい論点です。この選択肢は、一般の室内空気の基準を書いているので正しい内容です。

(3) 冷房する場合は、当該室の気温を外気温より著しく低くしてはならない。

適切です。事務所衛生基準規則第4条第2項では、室を冷房する場合、当該室の気温を外気温より著しく低くしてはならないとしています。冷やし過ぎは快適性を損ねるだけでなく、体調不良や作業効率低下の原因にもなるためです。試験では、暖房時の基準や空調設備設置時の「18度以上28度以下に努める」といった規定と混ぜて出題されることがあります。この選択肢は、冷房時の原則をそのまま述べたものであり、条文どおりの正しい記述です。

(4) 中央管理方式の空調設備を設けている建築物では、作業環境測定は2か月以内ごとに1回、定期に行わなければならない。

適切です。事務所衛生基準規則第7条では、労働安全衛生法施行令第21条第5号の室、すなわち中央管理方式の空気調和設備を設けている建築物の事務所について、2か月以内ごとに1回、定期に一酸化炭素及び二酸化炭素の含有率、室温及び外気温、相対湿度を測定しなければならないと定めています。一定の条件を満たす場合には室温と相対湿度について測定回数を季節ごとに緩和できる例外はありますが、基本の原則は2か月以内ごとに1回です。そのため、この選択肢は試験対策上も素直に正しいと判断できます。

(5) 事務室の作業環境測定は、作業環境測定士が実施しなければならない。

不適切です。事務所衛生基準規則第7条第2項では、測定後に保存すべき記録事項として「測定を実施した者の氏名」を挙げていますが、事務所衛生基準規則の条文上、当該測定を必ず作業環境測定士が実施しなければならないとは定めていません。実務上は専門機関へ委託したり、作業環境測定士が関与したりすることはありますが、規則の文言そのものと、「法律上必ず資格者でなければならない」ということは別問題です。試験では、このように実務上よく見かける資格者の存在を、そのまま法令上の必須要件と思い込ませる形でひっかけてくることがあります。したがって、この選択肢が最も不適当です。

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この問題で覚えるポイント

事務所衛生基準規則では、常時就業する事務室の気積は、設備の占める容積と床面から4メートルを超える空間を除いて、労働者1人当たり10立方メートル以上とされます。また、室内空気の一酸化炭素と二酸化炭素の基準は、それぞれ50ppm以下、5,000ppm以下です。冷房時は外気温より著しく低くしてはならず、空気調和設備を設けている場合には、室温18度以上28度以下、相対湿度40パーセント以上70パーセント以下となるよう努める規定もあります。さらに、中央管理方式の空気調和設備がある事務室では、原則として2か月以内ごとに1回、定期に一酸化炭素及び二酸化炭素、室温及び外気温、相対湿度を測定します。ここで重要なのは、一般の室内空気基準と、空気調和設備から供給される空気の基準は数値が異なること、そして測定義務があることと、必ず作業環境測定士が実施しなければならないこととは同一ではない、という点です。正誤判断では、基準値、測定対象、測定頻度、資格要件の有無を切り分けて整理することが重要です。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、もっともらしい実務知識を法令上の必須要件に見せかける点にあります。特に、作業環境測定という言葉が出ると、受験者は反射的に「作業環境測定士が必要」と考えがちです。しかし、事務所衛生基準規則では、測定の実施と記録保存は求められていても、条文上、必ずその資格者が行うことまでは明記されていません。また、一酸化炭素と二酸化炭素の基準値についても、室内空気の基準と、空気調和設備から供給される空気の基準とで数値が違うため、数字だけをあいまいに覚えていると取り違えやすくなります。さらに、冷房時の規定も「著しく低くしてはならない」という表現で、具体的な温度差を問題文に書かずに出題されることがあり、受験者の記憶の曖昧さを狙っています。今後も、資格者の関与、基準値の対象、原則と例外の区別が曖昧なままだと同じパターンで失点しやすいため、条文の対象が何かを意識して読む習慣をつけることが大切です。

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