出典:建築物衛生管理技術者試験令和4年度(2022年)|建築物衛生行政概論第16問
問題
下水道法に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
(1) 公共下水道に流入させるための排水設備は、当該公共下水道を管理する者が設置する。
(2) 公共下水道の構造は、政令及び地方公共団体が条例で定める技術上の基準に適合しなければならない。
(3) 公共下水道の設置、改築、修繕、維持その他の管理は、原則として市町村が行う。
(4) 下水とは、生活若しくは事業(耕作の事業を除く。)に起因し、若しくは付随する廃水又は雨水をいう。
(5) 公共下水道管理者は、公共下水道を設置しようとするときは、あらかじめ、政令で定めるところにより、事業計画を定めなければならない。
ビル管過去問|下水道法 公共下水道の管理・排水設備を解説
この問題は、下水道法における「公共下水道」「排水設備」「下水の定義」「事業計画」「管理主体」の基本事項を問う問題です。結論として、最も不適当なのは(1)です。排水設備は、公共下水道の管理者が設置するものではなく、下水を公共下水道へ流入させる土地や建築物の所有者、使用者などが設置すべきものです。一方で、公共下水道そのものの設置や管理は原則として市町村が担い、さらに設置にあたっては事前に事業計画を定める必要があります。用語の主体が入れ替わると誤答しやすいため、誰が何を設置し、誰が何を管理するのかを整理して覚えることが大切です。
(1) 公共下水道に流入させるための排水設備は、当該公共下水道を管理する者が設置する。
不適切です。その理由は、排水設備は公共下水道そのものではなく、建築物や敷地内から下水を公共下水道へ流すための設備だからです。下水道法では、処理区域内で下水を排除すべき者が排水設備を設けることが前提になっています。つまり、公共下水道管理者が一律に各建物の排水設備まで設置するのではなく、原則としてその建物や土地を使う側が設置義務を負います。この選択肢は、「公共下水道」と「公共下水道へ接続するための排水設備」の主体をわざと入れ替えている点が誤りです。試験では非常によくあるひっかけなので、公共下水道は自治体側、排水設備は利用者側という区別を明確にしておくと判断しやすくなります。
(2) 公共下水道の構造は、政令及び地方公共団体が条例で定める技術上の基準に適合しなければならない。
適切です。その理由は、公共下水道の構造には安全性や機能性、維持管理のしやすさが求められるため、法令上の技術基準に従う必要があるからです。下水道法の体系では、具体的な技術基準の一部を政令で定め、さらに地方公共団体が条例で必要な事項を定める仕組みになっています。下水道は地域の地形や降雨状況、人口密度などに応じた設計も必要になるため、国の基準だけでなく自治体の条例も関わる点が重要です。したがって、この記述は法の考え方に沿っています。
(3) 公共下水道の設置、改築、修繕、維持その他の管理は、原則として市町村が行う。
適切です。その理由は、公共下水道は地域住民の日常生活に密接に関わる基礎的な都市施設であり、原則として市町村が主体となって設置・管理する仕組みだからです。国土交通省の説明でも、公共下水道の設置・管理は原則として市町村が行うとされています。ただし、二以上の市町村が関係する場合など、一定の場合には都道府県が関与することもあります。したがって、「原則として市町村が行う」という表現は正確です。原則と例外を区別して読むことが得点につながります。
(4) 下水とは、生活若しくは事業(耕作の事業を除く。)に起因し、若しくは付随する廃水又は雨水をいう。
適切です。その理由は、下水道法上の「下水」は、生活排水や事業活動に伴う排水に加え、雨水も含む広い概念として定義されているからです。ここで注意したいのは、「汚水だけが下水ではない」という点です。日常感覚では下水というと汚れた水だけを思い浮かべやすいですが、法令上は雨水も下水に含まれます。また、事業については「耕作の事業を除く」とされており、この除外も典型的な出題ポイントです。条文の定義をそのまま押さえておくと、類題にも対応しやすくなります。
(5) 公共下水道管理者は、公共下水道を設置しようとするときは、あらかじめ、政令で定めるところにより、事業計画を定めなければならない。
適切です。その理由は、公共下水道は都市計画や水環境、住民生活に大きな影響を与える公共施設であり、場当たり的に整備するのではなく、事前に計画を定めて進める必要があるからです。実際に下水道法では、公共下水道管理者が公共下水道を設置しようとするときは、あらかじめ政令で定めるところにより事業計画を定めなければならないとされています。このため、この記述は法文どおりで適切です。設置の前に事業計画が必要である、という流れはそのまま覚えておくとよいです。
この問題で覚えるポイント
下水道法では、まず「下水」の定義を正確に押さえることが重要です。下水には生活排水や事業排水だけでなく、雨水も含まれます。したがって、汚水と雨水の両方を下水道法の対象として考える必要があります。さらに、事業排水については耕作の事業が除かれる点も要注意です。 公共下水道と排水設備は、試験で非常に混同しやすい概念です。公共下水道は地方公共団体が管理する下水道であり、その設置・管理は原則として市町村が行います。これに対して、建築物や敷地内から公共下水道へ流入させるための排水設備は、原則としてその建物や土地の側で設置するものです。この「自治体が管理する本体」と「利用者側が設置する接続設備」の違いが、正誤判断の核心になります。 また、公共下水道を設置するときは、公共下水道管理者があらかじめ事業計画を定めなければなりません。公共施設の整備は、無計画に行うのではなく、法に基づく計画手続を踏んで進めるという流れを理解しておくことが大切です。あわせて、公共下水道の構造は政令および条例による技術基準に適合しなければならず、構造基準と事業計画は別の論点として整理して覚えると得点しやすくなります。
ひっかけポイント
この問題の最大のひっかけは、「誰が設置するのか」「誰が管理するのか」という主体のすり替えです。受験者は公共下水道も排水設備もまとめて「下水道関係の設備」と捉えがちですが、法令上は役割と主体が分かれています。ここを曖昧に覚えていると、公共下水道管理者が排水設備まで設置するように見えてしまい、誤答しやすくなります。 もう一つの罠は、日常用語と法令用語のずれです。日常会話では「下水」と聞くと汚れた水だけを連想しやすいですが、下水道法では雨水も下水に含まれます。この感覚のずれを利用して、定義問題で誤らせるのが典型的な出題パターンです。用語は普段の印象ではなく、法令上の定義で判断する習慣をつけることが大切です。 さらに、「原則として」という表現にも注意が必要です。公共下水道の設置・管理は原則として市町村ですが、一定の場合には都道府県が関与する例外があります。問題文で原則を書いているのか、例外を書いているのかを見極めずに読むと、一部の知識だけで誤判断してしまいます。試験では、全面的に誤っている文章よりも、「大筋は正しいが主体や条件だけが違う文章」が多く出るため、最後まで丁寧に読むことが重要です。
