出典:建築物衛生管理技術者試験令和4年度(2022年)|建築物衛生行政概論第15問
問題
地域保健法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 地域保健法は、保健所法を改正して制定された。
(2) 保健所は、都道府県、地方自治法の指定都市、中核市その他の政令で定める市又は特別区がこれを設置する。
(3) 都道府県知事は、保健所の所管区域を設定するにあたっては、事前に厚生労働大臣の承認を得なければならない。
(4) 厚生労働大臣は、地域保健対策の推進に関する基本的な指針を定めなければならない。
(5) 市町村は、市町村保健センターを設置することができる。
ビル管過去問|地域保健法 保健所の設置主体・権限を解説
この問題は、地域保健法における保健所の設置主体、所管区域の考え方、厚生労働大臣の役割、市町村保健センターの位置づけを整理している問題です。正しい知識としては、保健所を設置できる主体は都道府県、指定都市、中核市、政令で定める市、特別区であり、厚生労働大臣は基本指針を定めます。一方で、都道府県が保健所の所管区域を設定する際に必要なのは厚生労働大臣の承認ではなく、法令上の基準を踏まえた設定であり、設問のような「承認を得なければならない」という表現が誤りです。したがって、誤っているのは(3)です。
(1) 地域保健法は、保健所法を改正して制定された。
適切です。その理由は、地域保健法は平成6年の制度見直しの中で、もともとの保健所法を基礎として題名変更や機能再編を行い、地域保健対策全体を支える法律として整備されたためです。厚生労働省の資料でも、地域保健法は保健所法を大幅に改正して制定されたと整理されています。試験では、まったく新しく無関係に作られた法律と誤解しないことが大切です。
(2) 保健所は、都道府県、地方自治法の指定都市、中核市その他の政令で定める市又は特別区がこれを設置する。
適切です。その理由は、地域保健法第5条第1項にそのまま規定されているからです。保健所はどの市町村でも自由に置けるわけではなく、法律で定められた主体だけが設置できます。ここは「市町村一般」ではなく、指定都市や中核市など一定の行政能力を持つ自治体に限られる点が重要です。
(3) 都道府県知事は、保健所の所管区域を設定するにあたっては、事前に厚生労働大臣の承認を得なければならない。
不適切です。その理由は、地域保健法第5条第2項は、都道府県が保健所を設置する場合には、医療法上の区域や介護保険法上の区域を参酌して所管区域を設定しなければならないと定めているのであって、厚生労働大臣の承認を要するとまでは定めていないからです。この設問は、「国の関与がありそうだ」という印象を利用して、承認という強い表現を紛れ込ませたひっかけです。条文にない要件を付け加えている文章は誤りだと判断できるようにしておきましょう。
(4) 厚生労働大臣は、地域保健対策の推進に関する基本的な指針を定めなければならない。
適切です。その理由は、地域保健法第4条第1項に、厚生労働大臣は地域保健対策の円滑な実施及び総合的な推進を図るため、地域保健対策の推進に関する基本的な指針を定めなければならないと規定されているからです。実際にこの基本指針は厚生労働省告示として公表されており、保健所や市町村保健センターの整備運営の方向性も示しています。
(5) 市町村は、市町村保健センターを設置することができる。
適切です。その理由は、地域保健法第18条に、市町村は市町村保健センターを設置することができると定められているからです。市町村保健センターは、住民に身近な立場で健康相談、保健指導、健康診査などを行う拠点です。保健所と似た機関に見えますが、保健所は広域的、専門的、技術的な拠点であり、市町村保健センターはより住民に近い保健サービスの拠点という違いがあります。
この問題で覚えるポイント
地域保健法では、厚生労働大臣が地域保健対策の推進に関する基本的な指針を定めることになっています。これは地域保健行政の大枠を示すもので、保健所や市町村保健センターの役割理解にもつながります。 保健所を設置できるのは、都道府県、指定都市、中核市、その他の政令で定める市、特別区です。単なる市町村一般ではない点が重要です。市町村は保健所ではなく、市町村保健センターを設置できるという整理で覚えると混同しにくくなります。 都道府県が保健所の所管区域を設定する際は、医療法上の区域や介護保険法上の区域を参酌して設定します。ここで問われるのは、区域設定の考え方であって、厚生労働大臣の承認の有無ではありません。試験では「承認」「許可」「届出」などの行政法的な言葉の違いが正誤判断の決め手になります。 保健所と市町村保健センターの違いも重要です。保健所は広域的、専門的、技術的拠点であり、市町村保健センターは住民に身近な健康相談や保健指導などを行う施設です。似た名称でも役割と設置主体が異なるため、セットで整理して覚えると得点しやすくなります。
ひっかけポイント
この問題の典型的な罠は、「国の関与がありそうだから承認が必要そうだ」と日常感覚で読んでしまうことです。実際の条文は、区域設定にあたって参酌すべき基準を示しているのであって、厚生労働大臣の承認義務までは置いていません。もっともらしい行政用語が加えられているときほど、条文に本当にその文言があるかを疑うことが大切です。 また、保健所と市町村保健センターの混同もよくある罠です。どちらも地域保健を担う施設ですが、設置主体も機能も同じではありません。保健所は広域的な専門拠点、市町村保健センターは住民に近いサービス拠点という役割分担を押さえておくと、似た選択肢にも対応しやすくなります。
