【ビル管過去問】令和4年度 問題34|騒音 健康影響・騒音性難聴・環境基準を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和4年度(2022年)|建築物の環境衛生第34問

問題

騒音に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) 騒音レベル85dB以上の騒音に長期間曝(ばく)露されると、聴力に障害が起こる。

(2) 騒音により副腎ホルモンの分泌増加など、内分泌系への影響が起こる。

(3) 文章了解度は、聴取妨害に関する音声の了解の程度を評価する指標である。

(4) 騒音が発生する業務に従事する労働者の4,000Hzの聴力レベルが20dBであれば、騒音性難聴とされる。

(5) 一般環境騒音に係る環境基準は、地域類型別及び道路に面しない地区と道路に面する地区に区分し決められている。

ビル管過去問|騒音 健康影響・騒音性難聴・環境基準を解説

この問題は、騒音による人体への影響、騒音性難聴の判定に関する基本事項、さらに一般環境騒音の環境基準について問う問題です。騒音は単に「うるさい」という不快感だけでなく、聴覚障害や生理機能への影響も生じます。特に試験では、騒音性難聴に関する周波数と聴力レベル、環境基準の考え方がひっかけになりやすいです。正しい選択肢は、騒音による聴力障害、内分泌系への影響、文章了解度の意味、一般環境騒音の環境基準を述べた内容であり、誤っているのは4,000Hzの聴力レベル20dBを騒音性難聴とする記述です。

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(1) 騒音レベル85dB以上の騒音に長期間曝(ばく)露されると、聴力に障害が起こる。

適切です。職業性の騒音暴露では、一般に85dB以上の騒音に長期間さらされることで、内耳の有毛細胞が障害され、徐々に聴力低下が起こるとされています。これは騒音性難聴の基本的な知識であり、特に高音域から障害が始まりやすい点が特徴です。日常生活では自覚しにくいこともありますが、業務上では重要な健康障害として扱われます。

(2) 騒音により副腎ホルモンの分泌増加など、内分泌系への影響が起こる。

適切です。騒音は聴覚への影響だけでなく、ストレス因子として自律神経系や内分泌系にも影響を及ぼします。例えば、騒音によって緊張状態が続くと、交感神経が刺激され、副腎皮質ホルモンやカテコールアミンの分泌が増えることがあります。このため、騒音は単なる不快感の問題ではなく、生体反応全体に関わる環境要因として理解することが大切です。

(3) 文章了解度は、聴取妨害に関する音声の了解の程度を評価する指標である。

適切です。文章了解度とは、騒音がある環境で会話や放送などの音声内容がどの程度聞き取れるかを評価する考え方です。単に音が聞こえるかどうかではなく、意味のある文章としてどれだけ正確に理解できるかが重要になります。建築物の環境衛生では、騒音は音の大きさだけでなく、情報伝達や作業効率への影響という面からも評価されます。

(4) 騒音が発生する業務に従事する労働者の4,000Hzの聴力レベルが20dBであれば、騒音性難聴とされる。

不適切です。騒音性難聴では、4,000Hz付近に特徴的な聴力低下が現れやすいことは正しいですが、4,000Hzの聴力レベルが20dBであれば、通常は明らかな難聴とまではいえません。一般に20dB程度は正常範囲に近いレベルとして扱われます。騒音性難聴は、4,000Hzを中心としたより明確な聴力低下が問題となるため、この記述は数値の設定が不適切です。試験では「4,000Hzに障害が出やすい」という知識だけで飛びつかず、その数値が本当に異常といえるかまで確認することが重要です。

(5) 一般環境騒音に係る環境基準は、地域類型別及び道路に面しない地区と道路に面する地区に区分し決められている。

適切です。一般環境騒音の環境基準は、住居系、商業系などの地域類型ごとに区分され、さらに道路に面する地域かどうかによっても基準の考え方が整理されています。これは道路交通騒音の影響が大きいためで、同じ地域用途でも道路条件によって環境基準の適用のされ方が異なるからです。環境基準は、単に一律の数値ではなく、地域の性質や道路条件を踏まえて定められている点を押さえておく必要があります。

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この問題で覚えるポイント

騒音は、聴覚への影響と非聴覚的影響の両方を理解することが重要です。聴覚への影響としては、長期間の大きな騒音暴露によって騒音性難聴が生じ、特に4,000Hz付近に特徴的な聴力低下が現れやすいことを押さえます。ただし、4,000Hzに関する記述が出た場合は、その周波数だけで正誤を判断せず、示されている聴力レベルの数値が異常といえるかまで確認することが大切です。 また、騒音はストレスとして作用し、自律神経系や内分泌系に影響を与えることがあります。したがって、騒音の健康影響は耳だけの問題ではありません。さらに、建築物環境では、会話や放送の聞き取りやすさも重要であり、その評価に文章了解度のような指標が関わります。 環境基準については、一般環境騒音は地域類型別に定められ、さらに道路に面するかどうかでも整理されていることを覚えると、類似問題に対応しやすくなります。試験では、健康影響、測定・評価指標、環境基準という三つの視点をセットで整理しておくと得点につながります。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、正しい知識の一部だけを示しつつ、数値だけをわずかにずらして誤りにしている点にあります。特に騒音性難聴は4,000Hzが重要だと覚えている受験者ほど、その周波数が出てきただけで正しいと判断しやすくなります。しかし、試験では「どの周波数か」だけでなく、「どの程度の聴力低下か」という数値条件まで見なければなりません。 また、騒音の問題では、日常感覚では「うるさいかどうか」に意識が向きやすいですが、実際の出題では内分泌系への影響や文章了解度のような、やや周辺的に見える知識も問われます。そのため、騒音を単なる音の大きさの問題として狭く理解していると誤答しやすくなります。今後も、代表的なキーワードが正しくても、数値や条件がずれていないかを必ず確認する姿勢が大切です。

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