出典:建築物衛生管理技術者試験令和3年度(2021年)|清掃第145問
問題
ほこりや汚れの除去に関する次の記述のうち、最も適当なものはどれか。
(1) アクリル板のほこりは、載っているだけの状態である。
(2) 湿ったタオルでしみの部分を軽くこすり、タオルに汚れが付着すれば水溶性のしみである。
(3) ほこりは、長期間放置しても除去のしやすさは変わらない。
(4) ダストコントロール法は、水溶性の汚れも除去できる。
(5) ダストクロス法は、油分による床面への弊害が多い。
ビル管過去問|ほこりや汚れの除去方法を解説
この問題は、ほこりやしみの性質を見分ける方法と、清掃方法ごとの特徴を正しく理解しているかを問う問題です。見た目が似ていても、ほこりは表面に載っているだけの汚れなのか、付着している汚れなのかで除去方法が変わります。また、水で落ちる汚れと落ちない汚れの見分け方、ダストクロス法やダストコントロール法の目的も頻出です。正しい選択肢は(2)で、湿ったタオルで軽くこすって汚れが移るかどうかは、水溶性のしみを判別する基本的な方法です。
(1) アクリル板のほこりは、載っているだけの状態である。
不適切です。アクリル板は静電気を帯びやすい材料であり、ほこりが単に載っているだけではなく、表面に引き寄せられて付着しやすい性質があります。そのため、ガラス面のように軽く払えばすぐ落ちるとは限りません。アクリル板の清掃では、傷を付けないことに加えて、静電気による再付着にも注意が必要です。この選択肢は、ほこり一般を「載っているだけ」と単純化している点が誤りです。
(2) 湿ったタオルでしみの部分を軽くこすり、タオルに汚れが付着すれば水溶性のしみである。
適切です。水溶性のしみは、水分によって溶けたり緩んだりする性質があります。そのため、湿ったタオルで軽くこすったときに汚れがタオルへ移るなら、そのしみは水に溶けやすい性質を持つと判断できます。例えば、飲料の飛散や汗、泥汚れの一部などは水溶性として扱える場合があります。しみ抜きでは、最初に汚れの性質を見極めることが大切であり、この方法は現場での初期判定として基本的です。強くこすると汚れが広がったり素材を傷めたりするので、軽く試すことが重要です。
(3) ほこりは、長期間放置しても除去のしやすさは変わらない。
不適切です。ほこりは放置すると、湿気や油分を吸着したり、人の歩行や圧力で床面や材質表面に押し付けられたりして、次第に除去しにくくなります。初期の乾いたほこりであれば除じんで対応しやすいですが、時間が経つと付着汚れへ変化し、拭き取りや洗浄が必要になることがあります。つまり、ほこりは早い段階で除去するほど効率的であり、放置しても変わらないという考え方は誤りです。
(4) ダストコントロール法は、水溶性の汚れも除去できる。
不適切です。ダストコントロール法は、床面のほこりや細かな乾いた汚れの飛散を抑えながら除去する方法であり、主な対象は乾性の汚れです。水溶性の汚れは、洗剤や水拭きなどにより溶解または分散させて除去する必要があります。したがって、ダストコントロール法だけで水溶性の汚れまで十分に除去できると考えるのは誤りです。乾いた汚れに適した方法と、しみやべたつきに適した方法は分けて理解することが大切です。
(5) ダストクロス法は、油分による床面への弊害が多い。
不適切です。ダストクロス法は、ダストクロスに付与された処理剤を利用して床面のほこりを効率よく集める方法ですが、現在の適切な資機材と正しい使用方法を前提にすれば、油分による弊害が多いとまではいえません。かつては油性処理剤の使い方によって再汚染やすべりの原因となることが問題視されることもありましたが、それをもってダストクロス法全体の特徴とするのは不適切です。試験では、方法そのものの本来の目的と、誤使用による問題とを区別して考えることが重要です。

この問題で覚えるポイント
ほこりや汚れの除去では、まず汚れの性質を見極めることが基本です。乾いたほこりは除じんの対象であり、水溶性のしみは湿らせた布で反応を見ることで判別しやすくなります。水で移る汚れは水溶性、移らないものは油性や固着汚れの可能性があると考えるのが基本です。 ほこりは放置すると湿気や油分を取り込み、単なる堆積物から付着汚れへ変わります。このため、清掃は早期除去が原則です。除去しやすい段階で処理することが、作業効率と仕上がりの両面で有利です。 ダストクロス法やダストコントロール法は、主として乾いた微細なほこりの除去や飛散防止を目的とした方法です。これに対して、水溶性のしみやべたつき汚れには、水拭きや洗剤洗浄など別の方法が必要です。試験では、どの方法がどの汚れに向いているかという対応関係がよく問われます。 アクリル板のような材質では、静電気によってほこりが付きやすいことも重要です。材質の性質によって汚れの付き方や落とし方が変わるため、ガラス、樹脂、金属などの違いも意識して学習すると応用が利きます。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、日常感覚で「ほこりは軽いから載っているだけ」と考えてしまう点にあります。実際の清掃管理では、材質の帯電性や表面性状によって、ほこりは付着しやすくなります。特にアクリル板のような樹脂系材料は、静電気との関係で誤答を誘いやすいところです。 また、「ダスト」という言葉から、あらゆる汚れをまとめて除去できると感じてしまうのも典型的な罠です。しかし、乾いたほこりの除去と、水溶性のしみの除去では考え方も作業方法も異なります。方法の名称だけで判断せず、対象となる汚れの性質まで結び付けて覚える必要があります。 さらに、「長期間放置しても変わらない」という断定表現にも注意が必要です。試験では、このような極端な言い切りが誤りのサインになることがよくあります。汚れは時間経過で性質が変わることが多く、清掃分野では「放置によって落ちにくくなる」という原則を押さえておくと、他の問題にも対応しやすくなります。