【ビル管過去問】令和3年度 問題175|衛生害虫と健康被害|イエバエ・ダニ・ハチ・ヒアリ・トコジラミを解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和3年度(2021年)|ねずみ、昆虫等の防除第175問

問題

衛生害虫と健康被害に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) イエバエは、消化器感染症の病原体を運ぶことが知られている。

(2) 微小なダニや昆虫類の死骸の破片は、喘息の原因の一つである。

(3) ハチ毒中には、アミン類以外に、アレルギー反応を起こす酵素類が含まれている。

(4) ヒアリが各地の港湾地区で発見されており、皮膚炎の被害が懸念されている。

(5) トコジラミは、高齢者の入院患者が多い病院での吸血被害が問題となっている。

 

 

 

ビル管過去問|衛生害虫と健康被害を解説

この問題は、衛生害虫や有害生物が人の健康にどのような影響を与えるかを整理して問う問題です。単に虫の名前を覚えるだけでなく、どのような被害を起こすのか、どの場面で問題になりやすいのかを結び付けて理解しているかが試されています。トコジラミの被害場所を病院中心であるかのように述べた記述は不適当です。トコジラミは宿泊施設や住宅などで問題となることが多く、病院だけを代表例のように示すのは適切ではありません。

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(1) イエバエは、消化器感染症の病原体を運ぶことが知られている。

適切です。イエバエは、汚物や生ごみ、排せつ物などに接触したあとで食品や調理器具に止まることがあり、その過程で病原体を機械的に運ぶことがあります。体表や脚に付着した微生物が食品へ移ることで、消化器感染症の原因菌を媒介するおそれがあります。イエバエ自身が体内で病原体を増やすというより、汚染源と食品との間を行き来することが衛生上の問題になります。ビル管試験では、ハエ類は不快害虫であるだけでなく、公衆衛生上も重要である点を押さえておくことが大切です。

(2) 微小なダニや昆虫類の死骸の破片は、喘息の原因の一つである。

適切です。室内に存在するダニや昆虫の死骸、ふん、脱皮殻などが細かく砕かれて空気中に舞うと、それを吸い込んだ人にアレルギー反応が起こることがあります。特に気管支ぜん息やアレルギー性鼻炎との関連がよく知られています。ここで重要なのは、生きている害虫そのものだけが健康被害の原因なのではなく、死骸や微粒子化した残骸も健康に影響するという点です。建築物衛生管理では、単なる駆除だけでなく、清掃や除じんによるアレルゲン低減も重要になります。

(3) ハチ毒中には、アミン類以外に、アレルギー反応を起こす酵素類が含まれている。

適切です。ハチ毒には、ヒスタミンなどのアミン類のほか、ホスホリパーゼやヒアルロニダーゼなどの酵素成分が含まれており、これらがアレルギー反応に関与します。そのため、刺された部位の痛みや腫れだけでなく、体質によっては全身性の強いアレルギー反応、いわゆるアナフィラキシーを起こすことがあります。ハチによる健康被害は、単なる局所の炎症にとどまらず、生命に関わる重篤な反応を生じる場合がある点が重要です。試験では、ハチ毒の成分や、刺傷被害がアレルギーと深く関係することを押さえておきましょう。

(4) ヒアリが各地の港湾地区で発見されており、皮膚炎の被害が懸念されている。

適切です。ヒアリは海外からコンテナ貨物などに付着して侵入する可能性があり、日本でも港湾部を中心に発見例が報告されてきました。ヒアリに刺されると、痛み、発赤、腫れ、膿疱などの皮膚症状が現れることがあり、場合によってはアレルギー反応を伴うこともあります。この選択肢は、ヒアリが港湾地区で問題となりやすいことと、刺傷による健康被害が懸念されることを結び付けており、内容として妥当です。建築物衛生の観点では、外来生物であっても人の健康に直接関係するものは重要な知識です。

(5) トコジラミは、高齢者の入院患者が多い病院での吸血被害が問題となっている。

不適切です。トコジラミは人の血を吸う昆虫で、刺されると強いかゆみや皮膚症状を生じることがありますが、代表的に問題となる場所は、宿泊施設、住宅、簡易宿所、共同生活空間、交通機関など、人の出入りや滞在が多い場所です。病院で発生することが全くないわけではありませんが、「高齢者の入院患者が多い病院での吸血被害が問題となっている」と限定して代表例のように述べるのは不適切です。この記述は、トコジラミ被害の典型的な発生場所をずらしており、実態の把握として正確ではありません。試験では、害虫ごとにどのような環境で問題となりやすいかを具体的に覚えることが大切です。

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この問題で覚えるポイント

衛生害虫による健康被害は、大きく分けると、病原体の機械的運搬、吸血や刺傷による皮膚症状、毒成分による炎症やアレルギー反応、さらに死骸やふんなどによるアレルゲン曝露に整理できます。イエバエは消化器感染症の病原体を機械的に運ぶ代表例です。ダニや昆虫は、生体そのものだけでなく、死骸、ふん、脱皮殻がアレルギーや喘息の原因になる点が重要です。ハチは刺傷による局所症状だけでなく、毒液中の成分によって全身性のアレルギー反応を起こすことがあります。ヒアリは外来生物として港湾部などで警戒され、刺傷による疼痛、発赤、膿疱、場合によっては重いアレルギー反応にも注意が必要です。トコジラミは感染症を媒介する害虫としてよりも、吸血によるかゆみや睡眠障害、不快感を生じさせる害虫として重要であり、主な問題場所は宿泊施設や住宅などです。このように、害虫ごとに「どんな被害を起こすか」と「どこで問題になりやすいか」をセットで覚えると、同じテーマの問題に対応しやすくなります。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、個々の害虫や有害生物について、一部は正しい知識を含みながら、最後の結論や発生場所だけをずらしている点にあります。受験者は、トコジラミが吸血被害を起こすこと自体は知っていても、どこで問題になることが多いかまで正確に押さえていないと、もっともらしく見えて選んでしまいます。また、ヒアリについても、毒や刺傷による被害を知っていれば正しそうに見えますが、発見場所として港湾地区が結び付くかどうかを整理していないと迷いやすいです。つまり、「害虫名と被害内容」だけの暗記では不十分で、「発生しやすい場所」「被害の起こり方」「代表的な健康影響」まで立体的に覚えているかが問われています。日常感覚だけで判断すると誤りやすいため、公衆衛生上の典型例を正確に覚えることが重要です。

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