【ビル管過去問】令和3年度 問題80|温熱環境測定の基礎知識|風速計・湿度計・温度計の原理を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和3年度(2021年)|空気環境の調整第80問

問題

温熱環境要素の測定に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) 熱式風速計は、白金線などから気流に奪われる熱量が風速に関係する原理を利用している。

(2) サーミスタ温度計は、2種類の金属の膨張率の差を利用している。

(3) 自記毛髪湿度計は、振動の多い場所での使用は避ける。

(4) アスマン通風乾湿計は、周囲気流及び熱放射の影響を防ぐ構造となっている。

(5) 電気抵抗式湿度計は、感湿部の電気抵抗が吸湿、脱湿によって変化することを利用している。

ビル管過去問|温熱環境測定の基礎知識|風速計・湿度計・温度計の原理を解説

この問題は、温熱環境の測定に用いる代表的な計器について、それぞれがどのような原理で測定しているかを問う問題です。正答は(2)です。サーミスタ温度計は、金属の膨張率の差を利用する計器ではなく、温度によって電気抵抗が大きく変化する半導体を利用した温度計です。一方、2種類の金属の膨張率の差を利用するのはバイメタル温度計の原理です。ほかの選択肢は、各測定器の特徴や原理を正しく述べています。測定器の名称だけで覚えるのではなく、何を利用して測っているのかまで結び付けて理解しておくことが得点につながります。

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(1) 熱式風速計は、白金線などから気流に奪われる熱量が風速に関係する原理を利用している。

適切です。熱式風速計は、細い金属線を加熱し、その熱が周囲の空気の流れによってどれだけ奪われるかを利用して風速を測定します。風が強いほど熱が多く奪われるため、その変化を電気的に捉えることで風速を求めます。微風の測定に適しており、室内環境の評価でもよく使われます。白金線などの加熱体を使うという説明も正しく、代表的な原理を押さえた記述です。

(2) サーミスタ温度計は、2種類の金属の膨張率の差を利用している。

不適切です。サーミスタ温度計は、温度変化によって電気抵抗値が大きく変わる半導体素子を利用した温度計です。温度が変わると抵抗値が変化する性質を読み取り、温度として表示します。これに対して、2種類の金属の膨張率の差を利用するのはバイメタル温度計です。バイメタル温度計では、異なる金属を貼り合わせた板が温度変化で反る性質を利用します。この選択肢は、サーミスタ温度計とバイメタル温度計の原理を入れ替えているため誤りです。

(3) 自記毛髪湿度計は、振動の多い場所での使用は避ける。

適切です。自記毛髪湿度計は、人の毛髪や特殊処理された毛髪が湿度によって伸び縮みする性質を利用して湿度を測定し、その変化を連続記録できる計器です。毛髪のわずかな変化を機械的に拡大して記録する構造のため、振動の多い場所では針や記録機構が不安定になり、正確な測定がしにくくなります。そのため、設置場所には注意が必要です。この記述は計器の構造上の注意点を正しく示しています。

(4) アスマン通風乾湿計は、周囲気流及び熱放射の影響を防ぐ構造となっている。

適切です。アスマン通風乾湿計は、乾球温度計と湿球温度計に一定の風を当てながら測定することで、自然通風のばらつきによる誤差を小さくした計器です。さらに、外部からの熱放射の影響を受けにくいよう工夫されており、より正確に湿度を求めることができます。通常の乾湿計よりも測定条件が安定しやすく、精度の高い測定に向いています。このため、周囲気流や熱放射の影響を防ぐ構造という説明は妥当です。

(5) 電気抵抗式湿度計は、感湿部の電気抵抗が吸湿、脱湿によって変化することを利用している。

適切です。電気抵抗式湿度計は、感湿材料が空気中の水分を吸ったり放出したりすることで電気抵抗が変わる性質を利用して湿度を測定します。湿度が変わると感湿部の含水状態が変わり、それが抵抗値の変化として現れます。この変化を電気的に測定するため、小型化しやすく、扱いやすい計器です。湿度計の中でも電気的な変化を使う代表例であり、記述は正しいです。

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この問題で覚えるポイント

温熱環境測定では、それぞれの測定器が何の物理的変化を利用しているかを整理して覚えることが重要です。風速計では、熱式風速計が加熱体から空気へ奪われる熱量の変化を利用します。特に微風測定に向く点が重要です。温度計では、サーミスタ温度計が半導体の電気抵抗変化を利用し、バイメタル温度計が異種金属の膨張差を利用するという違いを明確に区別する必要があります。湿度計では、自記毛髪湿度計が毛髪の伸縮、電気抵抗式湿度計が感湿部の抵抗変化を利用します。アスマン通風乾湿計は、一定通風と放射影響の低減によって精度を高めた乾湿計です。このように、測定対象そのものだけでなく、測定原理、得意な測定条件、使用上の注意までまとめて覚えると、同じテーマの問題に対応しやすくなります。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、測定器の名称を知っているだけでは正誤判断しにくいように、よく似た原理を別の計器に入れ替えている点にあります。特に温度計は、サーミスタ、バイメタル、熱電対など、いずれも温度を測る計器であるため、受験者は名称だけで正しいと思い込みやすいです。しかし実際には、電気抵抗を利用するのか、金属の膨張差を利用するのかで原理がまったく異なります。また、他の選択肢が正しい内容で並んでいるため、なんとなく全て正しそうに見えてしまうのも罠です。今後も、計器の用途だけでなく、何の性質を利用しているかをセットで覚えておくことが、こうした入れ替え型のひっかけに対応するコツです。

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