【ビル管過去問】令和3年度 問題50|空気の流動と室内気流|コールドドラフト・自由噴流・窓の流量係数を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和3年度(2021年)|空気環境の調整第50問

問題

空気の流動に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) 天井面に沿った冷房による吹出し噴流は、速度が小さいと途中で剥離して降下することがある。

(2) コールドドラフトは、冷たい壁付近などで生じる下降冷気流である。

(3) 自由噴流の第3域では、中心軸速度が吹出し口からの距離に反比例して減衰する。

(4) 吹出しの影響は遠方まで及ぶのに対し、吸込みの影響は吸込み口付近に限定される。

(5) 通常の窓の流量係数は、約1.0である。

ビル管過去問|空気の流動と室内気流を解説

この問題は、室内気流の基本である吹出し気流の挙動、コールドドラフト、自由噴流の速度減衰、吹出しと吸込みの影響範囲、さらに窓の流量係数について問う問題です。空気の流れに関する知識は、空調設備の設計や居住性の評価で頻出です。今回は、気流の基本法則と建築環境工学の定番知識を正しく押さえているかがポイントです。正しい正誤判断は、(1)適切、(2)適切、(3)適切、(4)適切、(5)不適切です。したがって、最も不適当なものは(5)です。

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(1) 天井面に沿った冷房による吹出し噴流は、速度が小さいと途中で剥離して降下することがある。

適切です。冷房時の吹出し空気は室内空気より温度が低く、密度が大きいため、重くなって下方へ落ちやすい性質があります。天井面に沿って吹き出すと、最初は天井に付着しながら進みますが、吹出し速度が十分でないと天井面に沿う力が弱くなり、途中で天井面から剥がれて下降することがあります。これが居住域に直接冷気が落ちてくる原因になり、不快な気流感につながります。空調設計では、吹出し速度、吹出し角度、温度差を適切に設定して、こうした剥離やドラフトを防ぐことが重要です。

(2) コールドドラフトは、冷たい壁付近などで生じる下降冷気流である。

適切です。コールドドラフトとは、冬季の窓面や断熱性の低い外壁面など、冷えた表面に接した空気が温度低下によって重くなり、壁面に沿って下降する気流のことです。人が窓際や外壁近くで足元の冷えを感じる原因の一つでもあります。これは空気の自然対流による現象であり、空調の吹出しとは別に生じる点が重要です。断熱性能の低い建物や大きな窓面を持つ空間では特に発生しやすいため、建築と設備の両面から理解しておく必要があります。

(3) 自由噴流の第3域では、中心軸速度が吹出し口からの距離に反比例して減衰する。

適切です。自由噴流とは、周囲の空気中に吹き出された気流が障害物に接せずに進む流れです。吹出し口を出た空気は、周囲の空気を巻き込みながら拡散し、次第に速度が低下していきます。第3域は十分に発達した領域であり、この領域では中心軸上の速度が吹出し口からの距離にほぼ反比例して減衰するとされています。これは空気調和の気流計算でよく使われる基本的な関係です。細かい理論式まで覚えていなくても、第3域では距離が遠くなるほど中心速度が大きく落ちることを押さえておくと得点につながります。

(4) 吹出しの影響は遠方まで及ぶのに対し、吸込みの影響は吸込み口付近に限定される。

適切です。吹出しは、空気に運動エネルギーを与えて室内へ送り出すため、比較的遠くまで気流の影響が及びます。これに対して吸込みは、周囲の空気を吸い寄せる現象ですが、その影響は一般に吸込み口の近傍に限られます。室内全体の空気分布や到達距離を決めるうえでは、吹出し側の条件のほうが支配的になりやすいというのが基本です。この考え方は吹出口と吸込口の配置を考えるうえで非常に重要で、試験でも定番の知識です。

(5) 通常の窓の流量係数は、約1.0である。

不適切です。流量係数は、理論上の流量に対して実際に流れる流量の比を表すもので、開口部の形状や摩擦、縮流などの影響を受けるため、通常は1.0より小さくなります。窓や一般的な開口部では、流量係数はおおむね0.6前後とされることが多く、約1.0とするのは大きすぎます。1.0に近いという表現を見ると、空気がそのまま理想的に通過するように思えてしまいますが、実際の開口では損失があるため、そのようにはなりません。この選択肢は、理想値と実際値を混同させる典型的なひっかけです。

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この問題で覚えるポイント

空気の流動では、吹出し気流と自然対流の違いをまず明確に整理することが大切です。吹出し気流は空調機などによって機械的に空気へ速度を与える流れであり、遠方まで影響しやすい特徴があります。一方で、コールドドラフトは冷たい壁面や窓面で空気が冷やされて重くなり、自然に下降する流れです。両者は発生原因が異なるため、現象を混同しないことが重要です。自由噴流では、吹出口を出た空気が周囲の空気を巻き込みながら拡散し、距離とともに中心速度が低下します。十分に発達した領域では、中心軸速度が距離に反比例して減衰するという関係が頻出です。また、吹出しは室内の空気分布を広く支配しますが、吸込みの影響範囲は吸込口近傍に限られやすいという対比も試験でよく問われます。さらに、窓などの開口部の流量係数は理論値ではなく実際値で考える必要があり、一般には1.0より小さく、代表的には0.6程度です。理想的に流れるというイメージを持たず、実際の損失を含めて理解することが正誤判断の決め手になります。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、日常感覚で「空気は自由に流れる」と考えてしまう点にあります。特に窓の流量係数は、開いているのだから1.0に近いはずだと思いやすいのですが、実際には縮流や抵抗があるためそうなりません。また、吹出しと吸込みはどちらも空気を動かすので影響範囲も同じくらいだと考えてしまいがちですが、実務的にも理論的にも吹出しのほうが遠方へ影響を及ぼします。さらに、冷たい空気は下がるという知識だけで選択肢を見ると、天井面に沿う冷房気流の剥離現象を十分に理解しないまま判断してしまうことがあります。この問題では、一見もっともらしい数値や表現に流されず、理想値と実際値、自然対流と吹出し気流、吹出しと吸込みの違いをきちんと分けて考えることが大切です。

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