【ビル管過去問】令和3年度 問題15|地域保健法と保健所制度|保健所長・設置主体・地域保健対策を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和3年度(2021年)|建築物衛生行政概論第15問

問題

地域保健法に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) 保健所長は、原則として医師をもって充てる。

(2) 特別区には、保健所が設置されている。

(3) 都道府県が設置する保健所は、市町村の求めに応じ、技術的助言を行うことができる。

(4) 全国に設置されている保健所のうち、政令市が設置している保健所が最も多い。

(5) 地域保健対策の推進に関する基本的な指針には、対人保健のほか、建築物衛生に関わる事項も含まれている。

ビル管過去問|地域保健法と保健所制度を解説

この問題は、地域保健法に基づく保健所の仕組みについて、保健所長の資格、保健所の設置主体、都道府県保健所の役割、さらに基本指針の内容まで理解できているかを問う問題です。正しい知識を整理すると、保健所長は原則として医師であり、特別区にも保健所は設置されます。また、都道府県の保健所は市町村への技術的助言を行うことができます。さらに、基本指針には建築物衛生に関わる内容も含まれています。したがって、最も不適当なのは、政令市が設置している保健所が最も多いとする記述です。実際には都道府県が設置する保健所数の方が多いです。

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(1) 保健所長は、原則として医師をもって充てる。

適切です。地域保健法施行令では、保健所長は原則として医師をもって充てることとされています。これは、保健所が地域の公衆衛生行政の中核を担い、感染症対策、食品衛生、環境衛生、健康危機管理など、医学的判断を必要とする業務を幅広く扱うためです。ただし、医師の確保が著しく困難な場合などには例外が認められる仕組みもあります。そのため、試験では「原則」と「例外」を切り分けて覚えておくことが大切です。

(2) 特別区には、保健所が設置されている。

適切です。地域保健法では、市町村のうち特別区を含むことが明記されており、厚生労働省の案内でも、保健所は都道府県、指定都市、中核市、特別区などに設置されると示されています。東京都の特別区は一般の市町村とは制度上の位置づけがやや異なるため迷いやすいですが、保健所設置主体として整理されている点が重要です。特別区は地域保健行政の現場を担う主体の一つとして押さえておくとよいです。

(3) 都道府県が設置する保健所は、市町村の求めに応じ、技術的助言を行うことができる。

適切です。地域保健法第8条では、都道府県の設置する保健所は、市町村相互間の連絡調整を行うほか、市町村の求めに応じて技術的助言や職員研修その他必要な援助を行うことができると定められています。ここで大切なのは、都道府県保健所が単独で業務を行うだけでなく、市町村を広域的、専門的、技術的に支える役割を持つことです。市町村に最も身近な保健サービスと、都道府県の専門的支援との役割分担を意識すると理解しやすいです。

(4) 全国に設置されている保健所のうち、政令市が設置している保健所が最も多い。

不適切です。厚生労働省の保健所数一覧では、設置主体別にみると都道府県が設置している保健所数が最も多く、政令市だけが最多というわけではありません。こうした問題では、「政令市は大都市だから数も多そうだ」という印象で判断すると誤りやすいです。実際には、全国的に見ると都道府県立の保健所が広い範囲をカバーしており、総数としては都道府県設置分が上回ります。したがって、この選択肢が最も不適当です。

(5) 地域保健対策の推進に関する基本的な指針には、対人保健のほか、建築物衛生に関わる事項も含まれている。

適切です。地域保健対策の推進に関する基本的な指針には、住民に対する保健サービスだけでなく、生活衛生や環境衛生に関する内容も含まれています。実際に、建築物における衛生的環境の確保に関する法律に関係する特定建築物の維持管理権原者への指導や、レジオネラ対策、室内空気汚染やシックハウス症候群に関する普及啓発などが示されています。つまり、地域保健は対人保健だけで完結するのではなく、建築物衛生を含む対物保健も対象にしているのです。

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この問題で覚えるポイント

地域保健法は、地域保健対策の基本方針と保健所の設置、運営の基本を定める法律です。保健所は地域における第一線の総合的な保健衛生行政機関であり、設置主体は都道府県、指定都市、中核市、特別区などです。保健所長は原則として医師ですが、例外があるため「絶対に医師」と覚えるのではなく、「原則は医師、例外あり」と押さえることが重要です。都道府県保健所は、市町村に対して広域的、専門的、技術的支援を行う立場にあります。また、地域保健は母子保健や感染症対策のような対人保健だけでなく、食品衛生、環境衛生、建築物衛生のような対物保健も含みます。試験では、設置主体、所長資格、役割分担、基本指針の対象範囲を横断的に問われやすいため、それぞれを別々ではなく一つの制度として整理して覚えることが得点につながります。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、日常感覚で判断するともっともらしく見える表現にあります。たとえば、大都市の行政機関である政令市は保健所も多そうに感じますが、全国総数で見ると都道府県設置の保健所の方が多いです。また、地域保健という言葉から、住民への保健指導や健康相談だけを連想してしまうと、建築物衛生のような対物保健が基本指針に含まれることを見落としやすくなります。さらに、「原則として医師」という表現も要注意で、例外規定の存在を知らないと断定的に覚えてしまい、別問題で崩れやすくなります。試験では、「原則」「例外」「設置主体の違い」「対人保健と対物保健の両方を含む」という4点をセットで押さえることが、再現性の高い対策になります。

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