出典:建築物衛生管理技術者試験令和3年度(2021年)|建築物衛生行政概論第1問
問題
現在の行政組織に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1) 消防法は、内閣府が所管している。
(2) 学校保健安全法は、総務省が所管している。
(3) 下水道法は、国土交通省と環境省が所管している。
(4) 浄化槽法は、厚生労働省が所管している。
(5) 保健所には、労働基準監督官が置かれている。
ビル管過去問|行政組織と所管省庁一覧|消防法・下水道法・保健所の管轄を解説
この問題は、各法律や行政機関がどの省庁・組織に属するかを正確に整理できているかを問う問題です。行政分野では、法律名そのものよりも「どの分野を扱う法律か」から所管を判断することが大切です。消防は総務省消防庁、学校保健安全は文部科学省、下水道は国土交通省と環境省、浄化槽は環境省・国土交通省・厚生労働省の関係法令として扱われ、保健所は地域保健法に基づく公衆衛生の機関です。したがって、正しい選択肢は(3)です。
(1) 消防法は、内閣府が所管している。
不適切です。消防行政は総務省の外局ではなく、総務省のもとで消防庁が担っています。したがって、消防法を内閣府の所管とするのは誤りです。この手の問題では、「防災」という言葉から内閣府を連想してしまいやすいのですが、災害対策全般と消防法令の所管は同じではありません。消防法は消防行政の中心法令であり、総務省消防庁の分野として押さえるのが基本です。
(2) 学校保健安全法は、総務省が所管している。
不適切です。学校保健安全法は、学校における児童生徒や職員の健康保持、安全確保に関する法律なので、教育行政を担う文部科学省の所管です。総務省は行政制度や消防、地方行政などを広く扱いますが、学校教育そのものを所管しているわけではありません。「学校」という語が入っている法律は、まず文部科学省を想起できるようにしておくと整理しやすいです。
(3) 下水道法は、国土交通省と環境省が所管している。
適切です。下水道は、施設の整備や管理という面では国土交通省の所管と強く結びつきますが、同時に公共用水域の水質保全という環境面も重要です。実際に下水道法は、都市基盤整備だけでなく水質保全とも深く関わるため、国土交通省と環境省の両方にまたがる法分野として理解すると正確です。この問題では、その複数省庁にまたがる点を知っているかが問われています。
(4) 浄化槽法は、厚生労働省が所管している。
不適切です。浄化槽法は、浄化槽の設置、保守点検、清掃、製造などを規制する法律で、現在は環境省や国土交通省の浄化槽関連ページでも法令として扱われています。厚生労働行政と無関係ではありませんが、「厚生労働省だけが所管している」と覚えると誤りになります。ビル管試験では、浄化槽を公衆衛生だけで見るのではなく、水環境保全や施設整備の観点も含めて捉えることが重要です。
(5) 保健所には、労働基準監督官が置かれている。
不適切です。保健所は、地域保健法に基づき、疾病予防や衛生の向上など地域住民の健康を支える公衆衛生機関です。一方、労働基準監督官は、労働基準関係法令に基づいて事業場への立入りや指導を行う職員であり、主に労働基準監督署など労働基準行政の系統に属します。つまり、保健所と労働基準監督官は、どちらも厚生労働行政に関係はありますが、所属する現場組織も役割も異なります。ここを混同しないようにしましょう。
この問題で覚えるポイント
行政組織の問題では、法律名を丸暗記するよりも、その法律が何を対象にしているかで所管を判断するのがコツです。消防法なら消防行政なので総務省消防庁、学校保健安全法なら学校教育と学校安全なので文部科学省、といった具合です。下水道法のように、施設整備と環境保全の両面を持つものは、複数省庁にまたがることがあります。浄化槽法も同様に、公衆衛生だけでなく生活排水処理、水環境、施設整備と結び付けて理解しておくと応用が利きます。保健所は地域住民に対する公衆衛生の拠点であり、労働基準監督署は事業場に対する労働基準監督の拠点です。行政機関の名称が似ていなくても、どの相手を対象にした行政かを考えると整理しやすくなります。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、「なんとなく関係がありそう」で判断すると外しやすい点にあります。たとえば、防災と消防は近いので内閣府と結び付けたくなりますし、学校保健は保健という語から厚生労働行政を連想しがちです。また、浄化槽や下水道はどちらも衛生や水処理に関係するため、単独の省庁だけで考えてしまうと誤りやすいです。さらに、保健所と労働基準監督官はどちらも厚生労働省に関係するため、同じ場所にいるように感じてしまうのが典型的な思考の罠です。試験では、「関係がある」ことと「所管している」ことは別だと意識して、法律ごとの正式な行政の持ち場で判断することが大切です。
