【ビル管過去問】令和3年度 問題30|シックビル症候群の症状と原因|換気不足・化学物質・危険因子を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和3年度(2021年)|建築物の環境衛生第30問

問題

シックビル症候群でみられる症状等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) 目やのどの刺激やくしゃみ等の症状は、加湿により減少する。

(2) そのビルを使用、利用する全ての人に症状がみられる。

(3) 外気の供給不足が発症の危険因子である。

(4) 胸部圧迫感、息切れ、咳などの症状を呈することがある。

(5) アトピー体質が発症の危険因子である。

ビル管過去問|シックビル症候群の症状と原因|換気不足・化学物質・危険因子を解説

この問題は、シックビル症候群の典型的な症状、発症しやすい人の特徴、そして建物側の危険因子を正しく理解しているかを問う問題です。シックビル症候群は、建物内の化学物質、換気不良、湿度や真菌などの室内環境要因と関連し、眼・鼻・のどの刺激症状、呼吸器症状、頭痛や倦怠感など多様な不定愁訴を生じます。ただし、同じ建物にいる全員に必ず症状が出るわけではなく、感受性の高い人に出やすい点が重要です。したがって、不適当なのは(2)です。

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(1) 目やのどの刺激やくしゃみ等の症状は、加湿により減少する。

適切です。シックビル症候群では、眼や上気道の粘膜刺激、乾燥感などがみられます。室内が乾燥していると、目やのどの粘膜が刺激を受けやすくなり、症状が強まることがあります。そのため、乾燥が関与している場合には、適切な加湿によって刺激症状がやわらぐことがあります。ただし、加湿しすぎると真菌やダニの増殖につながることもあるため、加湿は「多ければ多いほどよい」という意味ではなく、室内環境を適正に保つことが大切です。

(2) そのビルを使用、利用する全ての人に症状がみられる。

不適切です。シックビル症候群は、建物利用者全員に一律に起こるものではありません。症状の出方には個人差があり、同じ空間にいても、症状が出る人と出ない人がいます。これは、体質、感受性、アレルギー素因、既往歴、曝露量の違いなどが関係するためです。問題文の「全ての人に症状がみられる」という断定表現が誤りです。試験では、このような「必ず」「全て」などの強い言い切り表現は誤答の手がかりになりやすいです。

(3) 外気の供給不足が発症の危険因子である。

適切です。シックビル症候群は、建物の気密化や外気導入不足によって換気量が不足し、室内で発生した化学物質や汚染物質が滞留しやすくなることで起こりやすくなります。実際に、厚生労働省関連資料でも、気密化や外気取り入れの抑制から換気量不足となり、室内空気汚染につながることが示されています。ビル管理の実務でも、換気は最重要の予防策の一つです。

(4) 胸部圧迫感、息切れ、咳などの症状を呈することがある。

適切です。シックビル症候群では、眼・鼻・のどの刺激症状だけでなく、咳、息苦しさなどの呼吸器症状がみられることがあります。胸部圧迫感や息切れのような訴えも、室内環境による健康影響の一部として理解しておくべきです。試験では、粘膜症状だけに限定して覚えていると、このような呼吸器症状を見落としやすいので注意が必要です。

(5) アトピー体質が発症の危険因子である。

適切です。シックビル症候群は誰にでも起こりうる一方で、アレルギー素因やアトピー体質をもつ人は、室内環境の影響を受けやすいとされています。つまり、建物側の問題だけでなく、個人側の感受性も発症に関わります。このため、アトピー体質は危険因子として理解しておくのが適切です。

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この問題で覚えるポイント

シックビル症候群は、建物内で生じる健康障害の総称で、原因は一つではありません。ホルムアルデヒドなどのVOC、換気不足、湿度環境、真菌、ダニなど複数の室内環境要因が関与します。症状としては、目・鼻・のどの刺激、乾燥感、くしゃみ、咳、息切れ、胸部不快感、頭痛、めまい、倦怠感などが代表的です。覚えるべき本質は、建物利用者全員が同じように発症するわけではなく、感受性の高い人に出やすいという点です。特に、アレルギー素因やアトピー体質は危険因子として押さえておくと、正誤判断に直結します。また、換気不足は頻出論点です。建物の気密化によって外気導入が不足すると、室内汚染物質が滞留しやすくなり、発症リスクが高まります。ビル管試験では、原因物質だけでなく、換気管理まで含めて理解しているかがよく問われます。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、「症状が出ることがある」という正しい知識を、「全ての人に症状がみられる」という極端な表現にすり替えている点です。受験者は、ある建物に問題があれば利用者全員に影響が出るように感じがちですが、実際には個人差が大きく、体質や感受性によって症状の有無は変わります。また、シックビル症候群という名称から、建物そのものの問題だけを考えてしまい、アトピー体質のような個人側の危険因子を軽視しやすいのも典型的な思考の罠です。さらに、加湿はよいことだと単純化して覚えていると誤りやすい一方で、乾燥由来の粘膜刺激を和らげるという文脈では正しい場合があります。このように、単語だけで判断せず、どの症状に対して、どの環境要因が関わるのかをセットで整理することが大切です。

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