問題
給湯設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
(1) 業務用厨房など連続的に湯を使用する給湯枝管には、返湯管を設けない場合が多い。
(2) 貯湯槽の容量が小さいと、加熱装置の発停が多くなる。
(3) エネルギーと水の節約を図るため、湯と水を別々の水栓から出さずに混合水栓を使用する。
(4) 中央式給湯方式の循環ポンプは、給湯主管に設置する。
(5) 加熱装置から逃し管を立ち上げる場合は、水を供給する高置水槽の水面よりも高く立ち上げる。
ビル管過去問|給湯設備を解説
この問題は、給湯設備における配管方式、貯湯槽の役割、水栓の省エネルギー性、循環ポンプの設置位置、逃し管の考え方について問うものです。給湯設備では、湯を安定して供給することに加えて、温度低下の防止、安全性の確保、省エネルギー対策が重要です。特に中央式給湯方式では、循環ポンプをどこに設けるかが基本事項としてよく問われます。最も不適当なのは(4)です。中央式給湯方式の循環ポンプは、一般に給湯主管ではなく返湯管に設置します。返湯管で冷めた湯を循環させることで、各給湯栓ですぐに適温の湯が使えるようにするためです。
(1) 業務用厨房など連続的に湯を使用する給湯枝管には、返湯管を設けない場合が多い。
適切です。業務用厨房のように連続的または頻繁に湯を使用する場所では、配管内の湯が長時間滞留して冷めることが少ないため、末端まで返湯管が不要となる場合があります。返湯管は、給湯停止中に配管内の湯が冷えてしまうことを防ぎ、使用時にすぐ温水を得るためのものですが、常時に近い使用状況であればその必要性は相対的に低くなります。そのため、設備の簡素化や施工費の削減の観点から、連続使用する枝管には返湯管を設けないことがあります。
(2) 貯湯槽の容量が小さいと、加熱装置の発停が多くなる。
適切です。貯湯槽は、加熱された湯を一定量ためておき、使用量の変動を吸収する役割を持っています。この容量が小さいと、少し湯を使っただけでも槽内の温度や湯量が変動しやすくなり、そのたびに加熱装置が起動・停止を繰り返すことになります。発停回数が多いと、機器への負担が大きくなり、効率低下や故障リスクの増加にもつながります。したがって、適切な容量の貯湯槽を確保することは、安定運転と機器保護の両面で重要です。
(3) エネルギーと水の節約を図るため、湯と水を別々の水栓から出さずに混合水栓を使用する。
適切です。混合水栓は、必要な温度の湯をその場で調整しやすいため、使い勝手がよく、無駄な放流を減らしやすい設備です。湯と水が別々の水栓だと、適温にするまでにそれぞれを個別に操作する必要があり、水や湯を余分に流してしまうことがあります。一方、混合水栓では温度調整がしやすく、短時間で適温に近づけることができるため、水の節約と給湯エネルギーの節約の両方に効果があります。現在の建築設備では、利便性と省エネルギー性の両面から広く採用されています。
(4) 中央式給湯方式の循環ポンプは、給湯主管に設置する。
不適切です。中央式給湯方式では、給湯主管で各所へ湯を送り、末端で冷めた湯を返湯管で戻して再加熱または再循環させます。この循環を行うための循環ポンプは、一般に返湯管に設置されます。返湯管に設けることで、配管内で温度が低下した湯を効率よく回収し、給湯温度を安定させることができます。もし給湯主管側に循環ポンプを設けるという理解をしてしまうと、給湯系統の流れの考え方を誤ることになります。この選択肢は、循環ポンプの設置位置に関する基本を問う典型的なひっかけです。
(5) 加熱装置から逃し管を立ち上げる場合は、水を供給する高置水槽の水面よりも高く立ち上げる。
適切です。逃し管は、加熱による膨張や異常昇圧によって給湯設備内の圧力が高くなりすぎることを防ぐために設けられます。この逃し管を立ち上げる高さは、供給元である高置水槽の水面より高くする必要があります。これは、給湯系統と水槽水位との関係を適切に保ち、不要な溢流や逆流を防ぐためです。給湯設備は加熱によって水が膨張するため、冷水設備よりも圧力変動への配慮が重要です。したがって、逃し管の高さの考え方は安全設計上の基本事項です。
この問題で覚えるポイント
中央式給湯方式の循環ポンプは、給湯主管ではなく返湯管に設置することが基本です。返湯管は、冷めた湯を戻して再循環させるための配管です。貯湯槽は、給湯負荷の変動を吸収し、加熱装置の頻繁な発停を防ぐ役割があります。混合水栓は、使いやすさだけでなく、水とエネルギーの節約にもつながります。給湯設備の逃し管は、熱膨張による圧力上昇を安全に逃がすための重要な設備であり、高置水槽の水面との位置関係を押さえておくことが大切です。
ひっかけポイント
循環ポンプという言葉から、湯を送り出す給湯主管側に設置すると早合点しやすいですが、実際には返湯管側に設置するのが基本です。連続使用する箇所では返湯管が不要になる場合があるため、すべての枝管に返湯管が必要だと思い込まないことが大切です。混合水栓は利便性だけの設備ではなく、省エネルギーや節水の観点でも有効です。逃し管は単なる排水管ではなく、安全確保のための配管である点を意識して整理しておくと混乱しにくくなります。
