出典:建築物衛生管理技術者試験令和7年度(2025年)|給水および排水の管理第116問
問題
給水設備の汚染に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
(1) 逆サイホン作用とは、給水管内に生じた負圧により、水受け容器にいったん吐水された水が給水管内に逆流することである。
(2) クロスコネクションとは、飲料水系統と他の配管系統を配管などで直接接続することである。
(3) 洗面器における吐水口空間は、給水栓の吐水口と洗面器のあふれ縁との垂直距離である。
(4) 散水用水栓の上流側には、一般に大気圧式バキュームブレーカを設置する。
(5) 上水配管から消火系統への水の補給は、消火用補助水槽を設けて行う。
ビル管過去問|給水設備の汚染防止を解説
給水設備の汚染防止では、逆流を防ぐための考え方が重要です。飲料水系統は、雑用水、排水、消火設備などの他系統と直接つながると汚染の危険があるため、吐水口空間、バキュームブレーカ、補助水槽などを用いて安全を確保します。この問題では、大気圧式バキュームブレーカの設置位置が正誤判断の中心です。正しい選択肢は(4)です。

(1) 逆サイホン作用とは、給水管内に生じた負圧により、水受け容器にいったん吐水された水が給水管内に逆流することである。
適切です。逆サイホン作用は、給水管内の圧力が外部より低くなることで、いったん器具や水槽などに出た水が給水管へ吸い戻される現象です。たとえば断水、ポンプ停止、大量使用などで給水管内が負圧になると、汚染された水が飲料水系統へ逆流するおそれがあります。そのため、給水設備では吐水口空間の確保や逆流防止器具の設置が重要になります。
(2) クロスコネクションとは、飲料水系統と他の配管系統を配管などで直接接続することである。
適切です。クロスコネクションとは、飲料水の配管と、雑用水、工業用水、井水、排水、薬液系統などの他の配管が直接接続されることをいいます。直接接続されていると、圧力変動などによって飲料水側へ汚染水が流入する危険があります。飲料水系統では、他系統との直接接続を避け、必要な場合は水槽を介するなどして縁を切ることが原則です。
(3) 洗面器における吐水口空間は、給水栓の吐水口と洗面器のあふれ縁との垂直距離である。
適切です。吐水口空間とは、給水栓の吐水口と、器具や水槽のあふれ縁との間に設ける垂直距離のことです。洗面器では、あふれ縁より上に吐水口を十分離しておくことで、洗面器内の水が逆サイホン作用によって給水管内へ吸い込まれることを防ぎます。水と給水管を物理的に離す方法なので、逆流防止の基本となる考え方です。
(4) 散水用水栓の上流側には、一般に大気圧式バキュームブレーカを設置する。
不適切です。大気圧式バキュームブレーカは、給水管内が負圧になったときに空気を取り入れて逆サイホン作用を防ぐ器具です。一般に、汚染のおそれがある器具やホース接続部などの上流側ではなく、逆流を防ぎたい箇所の下流側、つまり水栓や器具に近い側に設置します。散水用水栓では、ホースの先端が汚水や薬液に浸かる可能性があるため、逆サイホン作用による吸い込みを防ぐ必要があります。設置位置を「上流側」としている点が誤りです。
(5) 上水配管から消火系統への水の補給は、消火用補助水槽を設けて行う。
適切です。消火系統は、消火用水槽、配管内の滞留水、防錆剤などにより、飲料水として安全とはいえない水を含む可能性があります。そのため、上水配管と消火系統を直接接続すると、消火系統側の水が上水系統へ逆流するおそれがあります。上水から消火系統へ補給する場合は、消火用補助水槽などを介して直接接続を避けることが重要です。
この問題で覚えるポイント
給水設備の汚染防止では、飲料水系統に汚染水を逆流させないことが基本です。逆流には、給水管内が負圧になって水を吸い込む逆サイホン作用と、下流側の圧力が上流側より高くなって押し戻される背圧逆流があります。吐水口空間は、給水栓の吐水口とあふれ縁との垂直距離であり、水と給水管を物理的に切り離す代表的な逆流防止方法です。クロスコネクションは、飲料水系統と他系統を直接接続することであり、原則として避けなければなりません。散水用水栓のようにホースを接続する設備では、ホース先端が汚染水に浸かる可能性があるため、バキュームブレーカなどで逆サイホン作用を防止します。上水から消火系統へ補給する場合も、直接接続せず、補助水槽などを介して飲料水系統を保護します。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、大気圧式バキュームブレーカの役割は正しいものの、設置位置をずらしている点です。受験者は「散水用水栓にはバキュームブレーカを設置する」という知識だけで正しいと判断しがちですが、試験では「どこに設置するか」まで問われます。給水設備の汚染防止では、器具名や用語の定義だけでなく、逆流がどちら向きに起こるのか、どこで飲料水系統を守るのかを考えることが大切です。一部だけ正しい文章に注意し、特に「上流側」「下流側」「直接接続」「あふれ縁」といった位置関係を示す言葉を丁寧に確認すると、同じテーマの問題でも正誤を判断しやすくなります。