出典:建築物衛生管理技術者試験令和7年度(2025年)|給水および排水の管理第115問
問題
給水設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
(1) 事務所ビルで節水器具を使用する場合の1日当たりの設計給水量は、40~60L/人である。
(2) 給水配管の管径は、管内の流速が2.0m/s以下となるように選定する。
(3) 衛生器具による節水方法として、小便器自動感知洗浄システムがある。
(4) 水資源の有効利用として、雨水を便器洗浄水として利用する。
(5) 高層ホテルの上限給水圧力は、0.7MPaである。
ビル管過去問|給水設備管理を解説
この問題は、給水設備の設計給水量、配管内流速、節水器具、雨水利用、給水圧力に関する基本知識を問う問題です。給水設備では、水量が不足しないことだけでなく、過大な流速による騒音やウォーターハンマーの防止、節水、水資源の有効利用、器具や配管に過大な圧力をかけないことが重要です。不適切な選択肢は(5)です。高層ホテルなどの給水圧力は、一般に0.5MPa以下となるように管理することが望ましく、0.7MPaは上限給水圧力としては高すぎます。

(1) 事務所ビルで節水器具を使用する場合の1日当たりの設計給水量は、40~60L/人である。
適切です。事務所ビルでは、使用者1人当たりの設計給水量を想定して給水設備の容量を決めます。節水器具を使用する場合は、通常よりも水の使用量が少なくなるため、1日当たり40~60L/人程度が目安とされます。設計給水量は、受水槽や高置水槽、ポンプ能力などを決める基礎になるため、建物用途ごとの目安を押さえておくことが大切です。
(2) 給水配管の管径は、管内の流速が2.0m/s以下となるように選定する。
適切です。給水配管では、管内の流速が速すぎると、流水音が大きくなったり、配管の摩耗やウォーターハンマーの原因になったりします。そのため、給水配管の管径は、流速が一般に2.0m/s以下となるように選定します。管径が小さすぎると流速が大きくなり、管径が大きすぎると設備費が増えるため、適切なバランスが必要です。
(3) 衛生器具による節水方法として、小便器自動感知洗浄システムがある。
適切です。小便器自動感知洗浄システムは、人の使用をセンサーで感知して必要なときだけ洗浄する設備です。常時洗浄や過剰な手動洗浄を避けられるため、節水に有効です。衛生器具による節水方法としては、このほか節水型便器、自動水栓、定流量弁なども関連知識として押さえておくとよいです。
(4) 水資源の有効利用として、雨水を便器洗浄水として利用する。
適切です。雨水は飲用には適しませんが、適切に処理することで便器洗浄水や散水などの雑用水として利用できます。水資源を有効利用する観点から、上水を使わなくてもよい用途には雨水や再利用水を活用することがあります。ただし、飲料水系統と混同しないよう、配管の誤接続防止や水質管理が重要です。
(5) 高層ホテルの上限給水圧力は、0.7MPaである。
不適切です。高層ホテルなどでは、階数が高くなるほど水を上げるために圧力が必要になりますが、末端の器具や配管に過大な圧力がかかると、漏水、騒音、器具の故障、ウォーターハンマーなどの原因になります。そのため、給水圧力は一般に0.5MPa以下となるように管理することが望ましいとされます。0.7MPaは高すぎる数値であり、上限給水圧力としては不適当です。
この問題で覚えるポイント
給水設備管理では、設計給水量、管内流速、給水圧力、節水、水資源の再利用が頻出です。事務所ビルで節水器具を使用する場合の設計給水量は、1日当たり40~60L/人が目安です。給水配管の流速は、騒音やウォーターハンマーを防ぐため、一般に2.0m/s以下となるようにします。小便器自動感知洗浄システムや節水型便器、自動水栓は、衛生器具による節水方法として覚えておきます。雨水は飲用には使えませんが、便器洗浄水や散水などの雑用水として利用できます。高層建築物では圧力が不足しないことだけでなく、下層階などに過大な圧力がかからないようにすることが重要で、給水圧力は一般に0.5MPa以下を目安に考えます。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、高層建築物では高い圧力が必要だから、上限給水圧力も高くてよいと考えてしまう点です。たしかに高層階へ水を送るには圧力が必要ですが、器具や配管にかかる圧力が高すぎると、設備トラブルにつながります。そのため、単に高層だから高圧でよいと判断してはいけません。また、0.7MPaという数値は一見もっともらしく見えるため、0.5MPa以下という基準値を覚えていないと誤答しやすいです。給水設備の数値問題では、流速2.0m/s以下、事務所ビルの節水時40~60L/人、給水圧力0.5MPa以下のように、似た数値を整理して覚えることが正答につながります。