【ビル管過去問】令和7年度 問題111|貯水槽管理を解説

問題

給水設備の貯水槽に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) 木製貯水槽は、断熱性能が低いため、結露対策が必要である。

(2) ステンレス鋼板製貯水槽は、気相部の腐食対策が必要である。

(3) 鋼板製貯水槽には、一体成型構造にエポキシ樹脂を焼き付けコーティングしたものがある。

(4) FRP製貯水槽は、機械的強度が低いため耐震補強が必要である。

(5) FRP製高置水槽は、槽内照度が100lx以上になると、光合成により藻類が繁殖しやすい。

ビル管過去問|貯水槽の材質と特徴を解説

この問題は、給水設備に用いられる貯水槽の材質ごとの特徴を理解しているかを問う問題です。木製、ステンレス鋼板製、鋼板製、FRP製のそれぞれについて、断熱性、腐食性、強度、衛生面の特徴を整理して覚えておくことが重要です。最も不適当なのは(1)です。木製貯水槽は断熱性能が低いのではなく、むしろ断熱性能が高いという特徴があります。そのため、結露しにくい材質として知られています。

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(1) 木製貯水槽は、断熱性能が低いため、結露対策が必要である。

不適切です。木製貯水槽の大きな特徴の一つは、断熱性能が高いことです。木材は金属に比べて熱を伝えにくいため、外気温の影響を受けにくく、槽の表面で結露が発生しにくい性質があります。したがって、「断熱性能が低いため」という説明は誤りです。木製貯水槽は、保温性や結露防止の面では有利な材質として扱われます。この選択肢は、木材の性質を金属材料と逆に理解している点が誤りです。

(2) ステンレス鋼板製貯水槽は、気相部の腐食対策が必要である。

適切です。ステンレス鋼は耐食性に優れた材料ですが、まったく腐食しないわけではありません。特に水面より上の気相部では、湿気や結露、塩素成分などの影響によって腐食が進むことがあります。このため、ステンレス鋼板製貯水槽では、気相部の腐食に配慮した設計や維持管理が必要です。ステンレスだから完全に安心と考えるのではなく、使用環境によっては腐食対策が求められる点を押さえておくことが大切です。

(3) 鋼板製貯水槽には、一体成型構造にエポキシ樹脂を焼き付けコーティングしたものがある。

適切です。鋼板製貯水槽は、鋼材そのものではさびやすいため、防食のための表面処理が重要です。その一つとして、エポキシ樹脂を焼き付けコーティングしたものがあります。エポキシ樹脂は耐食性、耐久性に優れており、水と接する設備の防食処理として広く用いられています。鋼板製貯水槽では、材質そのものの強度を活かしつつ、表面コーティングによって衛生性と耐久性を確保しているのです。

(4) FRP製貯水槽は、機械的強度が低いため耐震補強が必要である。

適切です。FRPは繊維強化プラスチックであり、軽量で耐食性に優れている反面、鋼材などに比べると剛性や機械的強度の面で注意が必要です。特に地震時には、水槽本体や架台、接合部に大きな力が加わるため、十分な耐震対策が求められます。高置水槽のように高い位置に設置される場合は、揺れによる影響が大きくなるため、耐震補強の重要性はさらに高くなります。FRP製だから軽くて扱いやすい一方で、構造面での配慮が必要であることを理解しておく必要があります。

(5) FRP製高置水槽は、槽内照度が100lx以上になると、光合成により藻類が繁殖しやすい。

適切です。FRP製水槽は材質によって光を通しやすいものがあり、槽内に光が入り込むと藻類が発生しやすくなります。藻類は光合成によって増殖するため、一定以上の照度があると衛生上の問題につながります。特に高置水槽は屋上など日光の影響を受けやすい場所に設置されることが多く、遮光対策が重要です。水槽内の水質を良好に保つためには、藻類の発生を防ぐ観点から、採光条件にも注意しなければなりません。

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この問題で覚えるポイント

貯水槽の材質ごとの特徴を整理して覚えることが大切です。木製は断熱性が高く、結露しにくいことがポイントです。ステンレス鋼板製は耐食性に優れますが、気相部では腐食に注意が必要です。鋼板製は防食のためにエポキシ樹脂などのコーティングが行われます。FRP製は軽量で耐食性に優れますが、構造的な強度や耐震性に配慮が必要です。また、FRP製高置水槽は光を通しやすく、藻類が発生しやすいため遮光対策が重要です。材質ごとの長所と短所を対比して覚えると、正誤判定しやすくなります。

ひっかけポイント

木製という言葉から、古くて性能が低そうだとイメージしてしまうと誤りやすいです。実際には木材は断熱性に優れています。ステンレスはさびないという先入観も危険で、使用環境によっては腐食が起こります。FRPは新しい材料なので万能だと思い込みやすいですが、強度面や遮光性には注意が必要です。材質名のイメージだけで判断せず、断熱性、耐食性、強度、衛生性という観点で整理して考えることが合格への近道です。

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