出典:建築物衛生管理技術者試験令和7年度(2025年)|給水および排水の管理第108問
問題
給水及び排水に関する用語とその説明との組合せとして、最も不適当なものは次のうちどれか。
(1) 活性污泥-主に好気性微生物の集合体
(2) クリープ劣化-合成樹脂に継続して応力がかかることで生じる材料変形
(3) スケール障害-トリハロメタンの生成
(4) 青水-銅イオンの浸出
(5) ファージ-細菌を宿主細胞とする一群のウイルスの総称
ビル管過去問|給水排水用語を解説
この問題は、給水及び排水に関する基本用語と、その意味の組合せが正しいかを判断する問題です。正しい選択肢は(3)です。スケール障害は、水中のカルシウムやマグネシウムなどが析出して配管や機器に付着する障害であり、トリハロメタンの生成とは関係がありません。用語の意味を表面的に覚えるだけでなく、原因となる物質や発生する現象まで結び付けて理解することが大切です。

(1) 活性污泥-主に好気性微生物の集合体
適切です。活性汚泥とは、排水処理で用いられる微生物の集合体です。主に好気性微生物が有機物を分解する働きを持っており、下水処理や浄化槽などで重要な役割を果たします。排水中の汚濁物質を微生物が取り込み、分解することで水質を改善します。活性汚泥法は、微生物の働きを利用した代表的な生物処理法として覚えておくとよいです。
(2) クリープ劣化-合成樹脂に継続して応力がかかることで生じる材料変形
適切です。クリープ劣化とは、材料に一定の力が長時間かかり続けることで、時間の経過とともに変形が進む現象です。特に合成樹脂管などでは、瞬間的には問題がない荷重でも、長期間にわたって応力を受け続けることで変形や劣化が起こることがあります。給水管や排水管に合成樹脂材料が使われる場合、熱、圧力、支持方法などとあわせて注意すべき現象です。
(3) スケール障害-トリハロメタンの生成
不適切です。スケール障害とは、水中に含まれるカルシウムやマグネシウムなどの硬度成分が析出し、配管内や熱交換器、給湯設備などに付着する障害です。スケールが付着すると、配管の閉塞、熱交換効率の低下、機器の能力低下などを招きます。一方、トリハロメタンは、水中の有機物と塩素が反応して生成される消毒副生成物です。したがって、スケール障害の説明としてトリハロメタンの生成を挙げるのは誤りです。
(4) 青水-銅イオンの浸出
適切です。青水とは、銅管などから銅イオンが水中に溶け出し、水が青く見えたり、衛生器具などに青色の着色が生じたりする現象です。銅管を使用している給水設備や給湯設備で発生することがあります。水質、pH、遊離炭酸、配管材料、滞留時間などが関係するため、単に色の問題ではなく、配管材料と水質の相互作用として理解しておくことが大切です。
(5) ファージ-細菌を宿主細胞とする一群のウイルスの総称
適切です。ファージとは、細菌を宿主として感染するウイルスの総称です。特にバクテリオファージと呼ばれ、細菌に寄生して増殖します。水質管理や微生物に関する分野では、細菌、ウイルス、原虫などの違いを整理しておくことが重要です。ファージは細菌そのものではなく、細菌を宿主とするウイルスである点を押さえておきましょう。
この問題で覚えるポイント
給水排水分野では、用語と現象を一対一で正確に結び付けて覚えることが重要です。活性汚泥は好気性微生物による有機物分解、クリープ劣化は継続応力による合成樹脂などの時間的変形、スケール障害は硬度成分の析出と付着、青水は銅イオンの浸出、ファージは細菌を宿主とするウイルスです。特にスケール障害は、カルシウムやマグネシウムによる付着障害であり、塩素消毒による副生成物であるトリハロメタンとは原因も現象も異なります。水質障害では、色、におい、付着物、腐食、消毒副生成物を混同しないことが正誤判断に直結します。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、給水排水に関する専門用語を並べ、もっともらしい説明を組み合わせている点です。スケール障害もトリハロメタンも水質管理で出てくる用語なので、どちらも知っている受験者ほど、雰囲気で正しいと判断してしまう可能性があります。しかし、スケールは硬度成分の析出による付着障害であり、トリハロメタンは塩素と有機物の反応で生じる消毒副生成物です。このように、同じ水に関する用語でも、発生原因と結果が違うものを入れ替えるパターンは頻出です。用語を暗記するだけでなく、「何が原因で、どこに、どのような現象が起きるのか」まで整理しておくと、似た形式の問題にも対応しやすくなります。