出典:建築物衛生管理技術者試験令和7年度(2025年)|建築物の構造概論第91問
問題
日射·日照及びその調整手法に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
(1) 樹木の緑葉の日射反射率は、一般にコンクリートと比べて大きい。
(2) ライトシェルフとは、部屋の奥まで光を導くよう直射日光を反射させる庇である。
(3) オーニングとは、窓に取り付ける日除けの一種である。
(4) 照返しは、照返し面での日射反射と、その面での熱放射とに分けられる。
(5) 内付けブラインドの日射遮蔽効果は、外付けブラインドに比べて小さい。
ビル管過去問|日射・日照の基礎(ライトシェルフ・ブラインド)を解説
この問題は、日射・日照の性質と、それを建築的に調整する手法について問う問題です。ライトシェルフ、オーニング、ブラインドなどは、室内環境の快適性や省エネルギーに関係する重要な設備・部材です。最も不適当な選択肢である(1)です。緑葉は日射をよく反射するというより、吸収や透過も含めて日射を和らげる性質を持ちます。一般に、緑葉の日射反射率がコンクリートより大きいとはいえません。
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(1) 樹木の緑葉の日射反射率は、一般にコンクリートと比べて大きい。
不適切です。樹木の緑葉は、日射を遮ったり、蒸散作用によって周囲の温度上昇を抑えたりする効果があります。しかし、日射反射率そのものは、一般にコンクリートより大きいとはいえません。緑葉は日射を反射するだけでなく、光合成のために吸収したり、一部を透過したりします。一方、コンクリート面は色や仕上げにもよりますが、比較的日射を反射する面として扱われることがあります。そのため、「緑葉の日射反射率はコンクリートより大きい」とする記述は不適当です。
(2) ライトシェルフとは、部屋の奥まで光を導くよう直射日光を反射させる庇である。
適切です。ライトシェルフは、窓付近に設ける水平の反射板のような部材で、直射日光を天井面などに反射させ、室内の奥まで自然光を導くために用いられます。窓際だけが明るくなりすぎる状態を抑えながら、室奥の照度を確保しやすくする点が特徴です。昼光利用によって照明エネルギーの削減にもつながるため、日照調整と省エネルギーの両面で重要な手法です。
(3) オーニングとは、窓に取り付ける日除けの一種である。
適切です。オーニングは、窓や出入口の外側に取り付ける布製・可動式などの日除けを指します。直射日光が室内に入る前に遮ることで、室温上昇やまぶしさを抑える効果があります。特に夏期の日射遮蔽に有効で、冷房負荷の軽減にもつながります。建築物の開口部に設ける日射調整手法として基本的な用語です。
(4) 照返しは、照返し面での日射反射と、その面での熱放射とに分けられる。
適切です。照返しとは、地面や周辺建物などに当たった日射が反射して、別の面や室内に影響を与える現象です。また、日射を受けて温まった面からは熱放射も生じます。つまり、照返しによる影響は、単に光が反射するだけでなく、熱として放射される影響も含めて考える必要があります。都市部では舗装面や外壁面からの照返しが、建物周辺の温熱環境に影響することがあります。
(5) 内付けブラインドの日射遮蔽効果は、外付けブラインドに比べて小さい。
適切です。日射遮蔽は、日射がガラスを通過して室内に入る前に遮るほど効果が高くなります。外付けブラインドは窓の外側で日射を遮るため、熱が室内に入りにくく、遮蔽効果が大きくなります。一方、内付けブラインドは、日射がいったんガラスを通過して室内側に入ってから遮るため、室内に熱がこもりやすく、外付けに比べると日射遮蔽効果は小さくなります。
この問題で覚えるポイント
日射遮蔽は、日射が室内に入る前に遮るほど効果が高くなります。外付けブラインドやオーニングは、窓の外側で日射を遮るため、内付けブラインドよりも冷房負荷の軽減に有効です。内付けブラインドはまぶしさの調整には役立ちますが、熱の侵入を防ぐ効果は外付けより小さいと整理しておきましょう。 ライトシェルフは、直射日光を室内奥へ導くための反射性の庇・棚状部材です。単なる日除けではなく、自然光を有効利用して室内の明るさを均一化する役割があります。オーニングは窓に取り付ける日除けであり、主に直射日光を遮る目的で使われます。 照返しは、地面や壁面などでの日射反射と、日射で温められた面からの熱放射の両方を含めて考えます。光の反射だけでなく、熱環境への影響もある点が重要です。 樹木の緑葉は、日射を遮り、蒸散作用によって周囲の温熱環境を和らげる効果があります。ただし、日射反射率が常に高いわけではありません。緑葉は日射を反射するだけでなく、吸収や透過もするため、「緑は涼しいから反射率が高い」と単純に判断しないことが大切です。
ひっかけポイント
この問題の大きなひっかけは、「樹木は涼しい」という日常感覚から、「樹木の葉は日射をよく反射する」と考えてしまう点です。樹木が涼しさに貢献する主な理由は、日射を遮ることや蒸散作用によって熱を和らげることです。反射率が高いから涼しい、という理解ではありません。 また、日射遮蔽では、内側に付けるか外側に付けるかが重要です。室内側で遮っても、日射はすでにガラスを通過しているため、熱の侵入を十分には防げません。外側で遮る方が効果が高いという原則は、ブラインド、庇、オーニングなどの問題で繰り返し問われます。 ライトシェルフは、名前から単なる棚や庇と考えると誤解しやすいですが、目的は「光を遮ること」だけではなく、「光を反射させて室内奥へ導くこと」です。日射を遮る部材と、昼光を利用する部材の違いを意識して覚えると、同じテーマの問題にも対応しやすくなります。