問題
光と照明に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
(1) 事務所における製図室のグレア制限値は、事務室のグレア制限値よりも低い。
(2) 拡散グローブ照明は、間接照明型の照明器具である。
(3) 室内表面の輝度対比が大きすぎると、視覚的疲労感を生じる。
(4) 光が当たった物体の表面が平滑な場合、光は正反射し、光沢となる。
(5) タスク・アンビエント照明方式では、高照度が必要となる作業領域を局部照明で明るくすることで、全般照明による照度を抑えることができる。
ビル管過去問|照明と視環境(グレア・タスクアンビエント照明)を解説
この問題は、照明計画における基本事項であるグレア、輝度対比、反射の性質、照明方式の特徴について問う問題です。正しい選択肢を判断するには、それぞれの用語を暗記するだけでなく、実際にどのような見え方や使われ方になるのかを理解しておくことが大切です。最も不適当なのは(2)です。拡散グローブ照明は、光源をグローブで覆って光を拡散させる照明であり、間接照明型ではなく、一般には直接照明または半直接照明に近い考え方の照明器具です。
(1) 事務所における製図室のグレア制限値は、事務室のグレア制限値よりも低い。
適切です。その理由は、製図室では細かい線や図面を正確に見る必要があり、一般の事務室よりも視作業の精度が求められるからです。グレアとは、まぶしさによって見えにくくなったり、不快感を生じたりする現象です。製図のような精密作業では、少しのまぶしさでも作業性や集中力に大きく影響します。そのため、許容されるグレアの程度はより厳しく設定され、グレア制限値は事務室より低くなります。つまり、より質の高い視環境が求められる場所ほど、まぶしさを強く抑える必要があります。
(2) 拡散グローブ照明は、間接照明型の照明器具である。
不適切です。その理由は、拡散グローブ照明は光をいったん天井や壁に当てて反射光で照らす間接照明ではないからです。拡散グローブ照明は、ランプを乳白色などのグローブで覆い、光をやわらかく拡散させながら器具から直接室内へ放射する方式です。見た目のまぶしさを和らげる効果はありますが、照明の分類としては間接照明型ではありません。間接照明とは、光の大部分を天井や壁に向け、その反射光で空間を明るくする照明方式をいいます。したがって、この選択肢は照明方式の分類を取り違えている点で誤りです。
(3) 室内表面の輝度対比が大きすぎると、視覚的疲労感を生じる。
適切です。その理由は、視線を移したときに明るさの差が大きすぎると、目がその変化に何度も順応しなければならず、負担が大きくなるからです。たとえば、非常に明るい机面と暗い周囲、あるいは暗い画面と強く光る背景が同じ視野内にあると、目は絶えず調節を強いられます。その結果、まぶしさ、不快感、見えにくさ、疲れ目などが起こりやすくなります。快適な視環境をつくるためには、必要な照度を確保するだけでなく、室内全体の明るさのバランスを整えることが重要です。
(4) 光が当たった物体の表面が平滑な場合、光は正反射し、光沢となる。
適切です。その理由は、表面がなめらかで平らなほど、入ってきた光が一定方向にそろって反射しやすくなるからです。これを正反射といいます。鏡や磨かれた金属面、水面などで光がきらっと強く見えるのは、この性質によるものです。一方、表面が粗い場合は光がさまざまな方向に散らばって反射し、拡散反射となります。光沢とは、こうした正反射によって生じるつやや輝きの見え方を指しますので、この記述は正しいです。
(5) タスク・アンビエント照明方式では、高照度が必要となる作業領域を局部照明で明るくすることで、全般照明による照度を抑えることができる。
適切です。その理由は、空間全体を一律に明るくするのではなく、必要な場所だけを重点的に明るくする考え方だからです。タスク照明は机上や作業面など、視作業を行う場所を照らす局部照明です。アンビエント照明は室内全体の基礎的な明るさを確保する全般照明です。この方式では、作業面に必要な照度はタスク照明で補い、室全体は必要以上に明るくしないため、省エネルギーにもつながります。オフィス照明でよく用いられる合理的な照明計画の考え方です。
この問題で覚えるポイント
照明方式の分類を正確に押さえることが大切です。拡散グローブ照明は光をやわらかく広げる照明ですが、間接照明ではありません。間接照明は天井や壁に光を当て、その反射光を利用する方式です。グレアは精密作業ほど厳しく制限されます。輝度対比が大きすぎると目の順応負担が増えて疲れやすくなります。表面が平滑なら正反射、粗ければ拡散反射になります。タスク・アンビエント照明は、必要な場所だけ高照度を確保して省エネルギーにもつながる方式です。
ひっかけポイント
拡散という言葉が入っているため、間接照明と混同しやすい点が要注意です。光がやわらかいことと、間接照明であることは別問題です。グレア制限値は数値の大小だけで迷いやすいですが、精密な作業ほど厳しい条件になると考えると整理しやすいです。光沢は明るさそのものではなく、平滑面での正反射によって生じる見え方です。タスク・アンビエント照明は、全般照明を強くする方式ではなく、全般照明を抑えつつ必要箇所を局部照明で補う方式である点を取り違えないようにしましょう。
