問題
湿り空気と結露に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
(1) 湿り空気線図では、絶対湿度と露点温度が得られれば状態点が定まる。
(2) 湿り空気の絶対湿度を同一に維持したまま冷却すると、相対湿度は上昇する。
(3) 相対湿度100%の湿り空気は、乾球温度、湿球温度ともに露点温度と等しい。
(4) 表面結露の防止には、室内で発生する水蒸気の量を必要以上に多くしないことも重要である。
(5) 熱橋(ヒートブリッジ)となった部分では、局所的に結露が発生しやすくなるため注意が必要である。
ビル管過去問|湿り空気と結露を解説
この問題は、湿り空気線図の読み方と、結露が発生する仕組みについて理解しているかを問う問題です。特に重要なのは、絶対湿度、相対湿度、露点温度の関係を正しく区別することです。最も不適当なのは(1)です。なぜなら、絶対湿度と露点温度はどちらも空気中に含まれる水蒸気量に関係する値であり、独立した2つの条件にはならないため、それだけでは湿り空気の状態点を一意に定めることができないからです。
(1) 湿り空気線図では、絶対湿度と露点温度が得られれば状態点が定まる。
不適切です。その理由は、絶対湿度と露点温度は本質的に同じ水蒸気量の情報を表しているからです。露点温度とは、その空気を冷却していったときに飽和に達して結露が始まる温度のことであり、空気中にどれだけ水蒸気が含まれているかによって決まります。つまり、絶対湿度が決まれば露点温度も決まり、逆に露点温度が決まれば絶対湿度もほぼ決まります。そのため、この2つを同時に与えても、情報としては重複しており、乾球温度や相対湿度、比エンタルピーなどの別の条件がなければ状態点は確定できません。湿り空気線図で状態点を定めるには、互いに独立した2つの状態量が必要です。
(2) 湿り空気の絶対湿度を同一に維持したまま冷却すると、相対湿度は上昇する。
適切です。その理由は、絶対湿度を一定にしたまま空気の温度だけを下げると、空気が保持できる最大の水蒸気量が減少するからです。相対湿度は、空気中に実際に含まれている水蒸気量が、その温度で保持できる最大量に対してどの程度かを示した割合です。冷却によって空気の飽和水蒸気量が小さくなると、同じ水蒸気量でも相対的に飽和に近づくため、相対湿度は上昇します。さらに冷却を続けて露点温度に達すると、相対湿度は100%となり、そこから先は結露が始まります。
(3) 相対湿度100%の湿り空気は、乾球温度、湿球温度ともに露点温度と等しい。
適切です。その理由は、相対湿度100%とは空気が飽和状態にあることを意味するからです。飽和状態では、これ以上水蒸気を含むことができず、空気をわずかに冷やすだけでも結露が生じます。このとき、乾球温度はすでに露点温度に一致しています。また、湿球温度は蒸発による冷却効果を利用して測る温度ですが、空気が飽和していると水の蒸発が進まないため、湿球温度も乾球温度と一致します。したがって、飽和空気では乾球温度、湿球温度、露点温度はすべて等しくなります。
(4) 表面結露の防止には、室内で発生する水蒸気の量を必要以上に多くしないことも重要である。
適切です。その理由は、表面結露は空気中の水蒸気が冷えた壁や窓などの表面で露点に達して水滴になる現象だからです。室内で水蒸気が多く発生すると、空気中の絶対湿度が高くなり、露点温度も上昇します。すると、少し表面温度が下がっただけでも結露しやすくなります。炊事、入浴、洗濯物の室内干し、加湿のしすぎなどは室内の水蒸気量を増やす代表例です。したがって、換気を適切に行い、水蒸気の発生を必要以上に増やさないことは、結露防止の基本的な対策の一つです。
(5) 熱橋(ヒートブリッジ)となった部分では、局所的に結露が発生しやすくなるため注意が必要である。
適切です。その理由は、熱橋とは、建物の一部で熱が外へ伝わりやすくなっている部分のことだからです。たとえば、断熱材が切れている部分、コンクリートや金属部材が外気と室内をつないでいる部分、サッシまわりなどでは、周囲より表面温度が低くなりやすくなります。室内空気に十分な湿気があると、その冷えた部分だけが先に露点温度以下となり、局所的に結露が発生します。このような結露はカビや汚れ、建材劣化の原因になるため、断熱の連続性を確保し、熱橋をできるだけ生じさせない設計・施工・維持管理が重要です。
この問題で覚えるポイント
湿り空気線図で状態点を定めるには、互いに独立した2つの状態量が必要です。
絶対湿度と露点温度はどちらも水蒸気量に関する情報であり、情報が重複します。
絶対湿度が一定のまま温度が下がると、相対湿度は上昇します。
相対湿度100%の飽和空気では、乾球温度、湿球温度、露点温度が一致します。
結露防止では、室内の湿気を増やしすぎないことと、表面温度を下げすぎないことの両方が重要です。
熱橋は表面温度を局所的に下げるため、結露やカビの発生原因になりやすいです。
ひっかけポイント
露点温度と絶対湿度を別々の独立した情報だと思い込むと誤りやすいです。
湿り空気線図は、何でも2つ数値があれば状態点が決まるわけではなく、独立性が必要です。
相対湿度と絶対湿度を混同すると、冷却時の湿度変化を逆に判断しやすいです。
相対湿度100%を単に「湿っているだけ」と捉えると、乾球温度と湿球温度と露点温度の一致を見落としやすいです。
結露対策を換気だけの問題と考えると、熱橋や表面温度低下の重要性を見落としやすいです。
