問題
暖房時における空気調和システムを図-Aに、空気の状態変化を湿り空気線図上に表したものを図-Bに示す。図-Aの各点に対する図-B中の状態点との組合せとして、最も適当なものは次のうちどれか。


(1) 図-A:a/図-B:エ
(2) 図-A:b/図-B:ア
(3) 図-A:c/図-B:イ
(4) 図-A:d/図-B:ウ
(5) 図-A:e/図-B:オ
ビル管過去問|空気調和と湿り空気線図を解説
この問題は、暖房時の空調機内で空気が「外気→混合→加熱→加湿→室内」という順にどう状態変化するかを、湿り空気線図で読み取れるかを問う問題です。暖房時は、外気が最も低温で、加熱器通過後が最も高温になります。また、加熱では絶対湿度がほぼ一定のまま乾球温度が上がり、蒸気加湿では乾球温度をほぼ保ったまま絶対湿度が上がります。したがって、最も高温の状態点「イ」が加熱器出口の c に対応するため、正しい選択肢は(3)です。
(1) 図-A:a/図-B:エ
不適切です。a は外気の位置なので、暖房時の系統内では最も温度が低い空気です。実際、解説資料でも最も低温の状態点は「オ」と整理されています。したがって、a を「エ」とするこの組合せは誤りです。外気は室内還気より低温で、その後に還気と混合される前の単独の空気ですから、混合後の中間的な状態点になることはありません。
(2) 図-A:b/図-B:ア
不適切です。b は外気と還気が混ざった「混合空気」の位置です。混合空気は、外気よりは暖かく、室内還気や加湿後空気よりは条件が中間的になります。いっぽう「ア」は、最も高温の「イ」から絶対湿度が増えた側にあり、加湿器通過後の空気を表す状態点です。混合空気はまだ加湿器を通っていないため、「ア」にはなりません。b に対応するのは、外気「オ」と室内側「ウ」の中間にある「エ」です。
(3) 図-A:c/図-B:イ
適切です。c は加熱器を通過した直後の位置です。暖房時の加熱器では、空気に熱を与えるため乾球温度が上昇しますが、加熱だけでは水分を加えないので絶対湿度はほぼ変わりません。湿り空気線図では、これは右方向への移動として表れます。したがって、系統内で最も高温になる加熱器出口 c は、最も高温側の状態点「イ」に対応します。これが正解です。
(4) 図-A:d/図-B:ウ
不適切です。d は加湿器を通過した後の空気です。蒸気加湿では、乾球温度を大きく変えずに絶対湿度を上げるため、湿り空気線図ではほぼ上向きの変化になります。したがって、加熱後の「イ」から少し絶対湿度が増えた「ア」が d に対応します。「ウ」はむしろ室内で熱と水分が消費された後の状態であり、加湿直後の d より乾球温度・絶対湿度とも低い側に位置づきます。よって d=ウ は誤りです。
(5) 図-A:e/図-B:オ
不適切です。e は室内の空気、または室内を経た還気の位置です。室内では吹出空気が暖房・加湿の役割を果たしたあと、温度や湿度が変化して還気になります。そのため e は外気そのものではありません。最も低温の「オ」は外気 a に対応し、e は加湿後空気「ア」より乾球温度・絶対湿度が低下した「ウ」に対応します。したがって e=オ ではなく、e=ウ と考えるのが正しいです。
この問題で覚えるポイント
暖房時の空調プロセスは、外気と還気の混合、加熱、加湿、室内での熱・水分移動という流れで押さえることが大切です。外気は最も低温、加熱器出口は最も高温になります。混合空気は外気と還気の中間の状態です。加熱は「絶対湿度ほぼ一定で乾球温度上昇」、蒸気加湿は「乾球温度ほぼ一定で絶対湿度上昇」と整理すると、湿り空気線図の状態点を追いやすくなります。室内空気は、吹出空気が室内負荷を受けたあとの状態として考えると判断しやすいです。
ひっかけポイント
最も高温の点を吹出口や室内空気と取り違えやすいですが、最も高温なのは加熱器出口です。加湿後の空気を混合空気と混同するミスも多いです。混合は外気と還気の中間、加湿はそこからさらに水分が加わった状態です。また、加熱すると相対湿度は下がって見えても、絶対湿度は増えていない点が重要です。さらに、室内空気と外気を「どちらも低温側」とだけ見て混同しないことも大切です。外気は最低温度、室内空気は吹出空気が室内で仕事をしたあとの状態です。
