出典:建築物衛生管理技術者試験令和7年度(2025年)|空気環境の調整第59問
問題
暖房時における空気調和システムを図-Aに、空気の状態変化を湿り空気線図上に表したものを図-Bに示す。
図-Aの各点に対する図-B中の状態点との組合せとして、最も適当なものは次のうちどれか。


(1) 図-A:a/図-B:エ
(2) 図-A:b/図-B:ア
(3) 図-A:c/図-B:イ
(4) 図-A:d/図-B:ウ
(5) 図-A:e/図-B:オ
ビル管過去問|空気調和と湿り空気線図を解説
この問題では、暖房時の空調機内で空気がどのように変化するかを、湿り空気線図上の状態点と対応させて判断します。正解は(3)です。図-Aのcは、加熱器を通過した後、加湿器と送風機へ向かう空気の状態を表しており、図-Bでは暖房後の給気側の状態点であるイに対応します。湿り空気線図では、混合、加熱、加湿、室内負荷による変化を順番に追うことが大切です。

(1) 図-A:a/図-B:エ
不適切です。図-Aのaは外気を取り入れる位置を示しています。暖房時の外気は、一般に乾球温度が低く、絶対湿度も低い状態です。図-Bでは、最も左下にあるオが低温・低湿の外気に対応します。エは、外気と還気が混合した後の状態点です。外気そのものではなく、室内から戻る空気と混ざった後なので、aをエとするのは誤りです。
(2) 図-A:b/図-B:ア
不適切です。図-Aのbは、外気と還気が混合した後、空調機に入った空気の状態を示します。混合空気は、外気より温度・絶対湿度が高く、室内空気よりは低い中間的な状態になります。図-Bでは、オから室内側の状態点へ向かう混合線上にあるエが混合空気に対応します。アは室内側の状態に近い点であり、bとは対応しません。
(3) 図-A:c/図-B:イ
適切です。図-Aのcは、空調機内で加熱器を通過した後の空気です。暖房時は、混合空気を加熱して乾球温度を上げ、その後に加湿して絶対湿度を調整します。図-Bでは、加熱後に室内へ送られる空気の状態がイとして示されています。cは加湿器直前の状態であり、湿り空気線図上ではイに対応するため、この組合せが正しいです。
(4) 図-A:d/図-B:ウ
不適切です。図-Aのdは、加湿後に吹出口から室内へ供給される空気の位置です。加湿器を通過した後の給気であり、cと比べると絶対湿度が増加しています。図-Bのウは、排気前の室内空気の状態点です。吹出口の空気であるdとは対応しません。
(5) 図-A:e/図-B:オ
不適切です。図-Aのeは室内空気、または室内から戻る還気の状態を示します。図-Bのオは低温・低湿の外気を示す点です。室内空気を外気の状態点と対応させているため、この組合せは誤りです。
この問題で覚えるポイント
暖房時の空気調和では、外気は低温・低湿、還気は室内状態、混合空気は外気と還気の中間、加熱後の空気は乾球温度だけが上がり、加湿後の空気は絶対湿度が上がる、という流れで判断します。湿り空気線図では、横軸が乾球温度、縦軸が絶対湿度です。加熱だけなら右方向へ移動し、冷却だけなら左方向へ移動し、加湿を伴うと上方向の変化が加わります。外気と還気が混ざる場合、状態点は両者を結ぶ線上に現れます。暖房時の空調機では、外気と還気の混合、ろ過、加熱、加湿、送風、室内への供給という順番を押さえると、図と線図の対応を判断しやすくなります。フィルタは空気中の粉じんを除去する装置であり、温度や湿度の状態変化には通常大きく影響しません。加熱器は乾球温度を上げ、加湿器は絶対湿度を上げる装置として整理しておくと、同じテーマの問題に対応しやすくなります。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、図-Aの位置記号を単純に左から順番に図-Bの点へ当てはめてしまうことです。特に、外気、混合空気、室内空気、給気の違いを曖昧にすると誤答しやすくなります。外気は最も低温・低湿の点、混合空気は外気と還気の中間点、加熱後は右方向、加湿後は絶対湿度が変化した点、室内空気は給気が室内負荷を受けた後の点として考える必要があります。また、空調機の図ではフィルタや冷却器も描かれているため、暖房時にも冷却器で状態変化が起こるように見えてしまうことがあります。暖房時の基本は加熱と加湿であり、冷却器は主役ではありません。装置名に引っ張られず、空気がどの方向へ流れ、どの装置を通過した後の状態なのかを順番に追うことが重要です。
