問題
下の図は、外壁の断面図上に、冬期暖房時の壁内定常温度分布を示している。この図に関する次の記述のうち、最も適当なものはどれか。

(1) 温度分布はAとなり、壁内結露の防止のためにアに防湿層を設けることは有効である。
(2) 温度分布はBとなり、壁内結露の防止のためにウに防湿層を設けることは有効である。
(3) 温度分布はCとなり、壁内結露の防止のためにイに防湿層を設けることは有効である。
(4) 温度分布はAとなり、壁内結露の防止のためにイに防湿膳を設けることは有効である。
(5) 温度分布はCとなり、壁内結露の防止のためにウに防湿層を設けることは有効である。
ビル管過去問|壁体内温度分布を解説
この問題は、外壁内部の温度分布の読み取りと、壁内結露を防ぐための防湿層の設置位置を問う問題です。冬期暖房時は、室内側が高温多湿、室外側が低温となるため、水蒸気は室内側から室外側へ移動しやすくなります。そのため、防湿層は断熱材の暖かい側、つまり室内側に設けるのが基本です。また、断熱材は熱を伝えにくいため、温度は断熱材部分で大きく低下し、その特徴を示す温度分布はAとなります。したがって、正しい選択肢は(4)です。これは、温度分布がAであり、かつ防湿層をイに設けるのが壁内結露防止に有効だからです。
(1) 温度分布はAとなり、壁内結露の防止のためにアに防湿層を設けることは有効である。
不適切です。温度分布がAであるという判断自体は適切です。断熱材は熱抵抗が大きいため、壁体内の温度低下は断熱材部分で急になります。しかし、防湿層の設置位置としてアは不適切です。冬期暖房時の壁内結露対策では、室内側から壁内へ侵入する水蒸気を抑えることが重要であり、防湿層は断熱材の暖かい側に設ける必要があります。アはその位置ではないため、有効な結露防止策とはいえません。
(2) 温度分布はBとなり、壁内結露の防止のためにウに防湿層を設けることは有効である。
不適切です。まず、温度分布がBという点が誤りです。断熱材がある壁では、熱を通しにくい断熱材部分で温度勾配が大きくなるため、温度分布はAのようになります。さらに、防湿層をウに設けるのも不適切です。防湿層は水蒸気の侵入を防ぐために暖かい側に設けるものであり、冷たい側に設けても、壁内へ入った水蒸気を止めることができず、結露防止としては効果的ではありません。
(3) 温度分布はCとなり、壁内結露の防止のためにイに防湿層を設けることは有効である。
不適切です。防湿層をイに設けるという考え方は適切です。イは断熱材の暖かい側にあたり、冬期暖房時の壁内結露防止に有効な位置だからです。ただし、温度分布がCという点が誤っています。断熱材部分では温度が大きく下がるため、図で対応する温度分布はAと考えるのが正しいです。したがって、この選択肢は前半が誤りであり、全体として不適切です。
(4) 温度分布はAとなり、壁内結露の防止のためにイに防湿膳を設けることは有効である。
適切です。断熱材は熱を伝えにくいため、壁体内の温度降下は断熱材部分で急になります。そのため、図の温度分布はAとなります。また、冬期暖房時には室内側の水蒸気が壁内へ入り、温度の低い部分で露点に達すると結露が起こります。これを防ぐには、水蒸気が壁内に入り込む前、すなわち断熱材の暖かい側であるイに防湿層を設けることが有効です。正答はこの選択肢です。
(5) 温度分布はCとなり、壁内結露の防止のためにウに防湿層を設けることは有効である。
不適切です。温度分布がCである点が誤りです。断熱材が存在する場合、温度低下は断熱材部分で大きくなるため、Aのような分布になります。また、防湿層をウに設けるのも不適切です。ウが断熱材の冷たい側にある場合、室内から侵入してきた水蒸気を止めるには遅く、壁内結露の防止にはなりません。結露対策は、あくまで断熱材の暖かい側で水蒸気の侵入を防ぐことが基本です。
この問題で覚えるポイント
冬期暖房時は、室内側から室外側へ水蒸気が移動しやすいです。防湿層は断熱材の暖かい側に設けるのが基本です。断熱材は熱抵抗が大きいため、温度降下は断熱材部分で大きくなります。壁体内の温度分布は、熱を通しにくい材料ほど勾配が急になります。壁内結露は、水蒸気が壁内に入り込み、温度の低い位置で露点に達すると発生します。
ひっかけポイント
防湿層の位置は、冷たい側ではなく暖かい側です。防水層と防湿層を混同しないことが大切です。防湿層は水蒸気の移動を抑えるためのものです。温度分布は、見た目の直線の長さではなく、どの材料で温度が大きく落ちるかで判断します。選択肢の後半だけが正しくても、前半の温度分布が誤っていれば不正解になります。断熱材があると、断熱材部分で温度勾配が大きくなる点を押さえておくことが重要です。
