出典:建築物衛生管理技術者試験令和7年度(2025年)|建築物の環境衛生第33問
問題
騒音とその影響に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
(1) 騒音による健康影響は、年齢や生活習慣等による複合的な要因によっても変化する。
(2) 夜間騒音レベルが20dB程度で、実質的な生理学的影響が生じる。
(3) 騒音によって起こる4,000 Hz付近の聴力低下を、C5ディップという。
(4) 一定時間内の騒音レベルは、等価騒音レベル(騒音レベルの測定時間内における平均値)によって評価する。
(5) 騒音性難聴では、次第に高周波域から低周波域へ聴力低下が広がっていく。
ビル管過去問|騒音の健康影響を解説
この問題では、騒音が人体に与える影響、騒音性難聴の特徴、騒音レベルの評価方法が問われています。最も不適当な選択肢は(2)です。夜間騒音による睡眠影響は重要ですが、20dB程度はかなり小さい音であり、実質的な生理学的影響が生じるレベルとしては低すぎます。

(1) 騒音による健康影響は、年齢や生活習慣等による複合的な要因によっても変化する。
適切です。騒音による健康影響は、音の大きさや暴露時間だけで決まるわけではありません。年齢、健康状態、睡眠の質、ストレス、生活習慣、作業環境などが重なって影響の出方が変わります。たとえば同じ騒音環境でも、高齢者や睡眠不足の人では、より強く不快感や睡眠障害が出ることがあります。
(2) 夜間騒音レベルが20dB程度で、実質的な生理学的影響が生じる。
不適切です。20dB程度は、かなり静かな環境に相当する音の大きさです。夜間騒音では睡眠妨害や血圧上昇などの健康影響が問題になりますが、実質的な生理学的影響が生じるレベルとして20dB程度とするのは低すぎます。試験では、騒音の影響は数値の感覚が問われやすいため、極端に低い数値が出てきた場合は注意が必要です。
(3) 騒音によって起こる4,000 Hz付近の聴力低下を、C5ディップという。
適切です。騒音性難聴では、初期に4,000Hz付近の聴力が低下しやすく、この特徴的な聴力低下をC5ディップといいます。会話音域よりも高い周波数から障害が始まるため、初期には本人が難聴に気づきにくいことがあります。ビル管試験では、騒音性難聴と4,000Hz、C5ディップの組合せは重要です。
(4) 一定時間内の騒音レベルは、等価騒音レベル(騒音レベルの測定時間内における平均値)によって評価する。
適切です。騒音は時間によって大きく変動するため、一定時間内の騒音を評価する際には等価騒音レベルが用いられます。等価騒音レベルは、変動する騒音をエネルギー的に平均して、同じ影響を与える一定騒音レベルとして表したものです。単純な算術平均ではなく、音のエネルギーを考慮した平均である点も押さえておくと理解が深まります。
(5) 騒音性難聴では、次第に高周波域から低周波域へ聴力低下が広がっていく。
適切です。騒音性難聴は、まず4,000Hz付近などの高周波域から聴力低下が始まり、騒音への暴露が続くと次第に他の周波数域にも広がっていきます。進行すると日常会話にも支障が出るため、早期発見と騒音対策が重要です。
この問題で覚えるポイント
騒音の健康影響では、聴力への影響だけでなく、睡眠妨害、不快感、ストレス、血圧上昇などの生理的影響も問われます。騒音性難聴では、4,000Hz付近の聴力低下であるC5ディップが代表的です。高周波域から始まり、進行すると低周波域にも広がるという流れを押さえてください。騒音評価では、変動する騒音を一定時間で評価するために等価騒音レベルが用いられます。これは単なる音の平均ではなく、音のエネルギーを考慮した平均です。夜間騒音については、睡眠への影響が重要ですが、20dB程度のような非常に低い数値を実質的な生理学的影響のレベルとする記述は不適切と判断します。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、騒音の影響があるという一般論に引っ張られて、数値の妥当性を見落とす点にあります。夜間騒音が睡眠や健康に影響すること自体は正しいため、「夜間騒音」「生理学的影響」という言葉だけを見ると正しそうに感じます。しかし、20dB程度はかなり静かな環境であり、実質的な生理学的影響が生じるレベルとしては低すぎます。また、等価騒音レベルを単純な算術平均と混同しないことも大切です。騒音分野では、用語そのものよりも、周波数、評価方法、影響が出る条件の組合せで正誤を判断する問題が出やすいです。