問題
騒音とその影響に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
(1) 騒音による健康影響は、年齢や生活習慣等による複合的な要因によっても変化する。
(2) 夜間騒音レベルが20dB程度で、実質的な生理学的影響が生じる。
(3) 騒音によって起こる4,000 Hz付近の聴力低下を、C5ディップという。
(4) 一定時間内の騒音レベルは、等価騒音レベル(騒音レベルの測定時間内における平均値)によって評価する。
(5) 騒音性難聴では、次第に高周波域から低周波域へ聴力低下が広がっていく。
ビル管過去問|騒音の健康影響を解説
この問題は、騒音が人体に与える影響や、騒音評価の基本的な考え方について問う問題です。騒音は単に「うるさい」という不快感だけでなく、睡眠障害、循環器系への負担、聴力低下など、さまざまな健康影響を引き起こします。特に試験では、騒音の評価指標、騒音性難聴の特徴、夜間騒音の影響に関する数値感覚が重要です。正しい選択肢の判定には、夜間20dB程度というかなり低い騒音レベルでは、通常、実質的な生理学的影響が生じるとはいえないことを押さえておく必要があります。したがって、最も不適当なのは(2)です。
(1) 騒音による健康影響は、年齢や生活習慣等による複合的な要因によっても変化する。
適切です。その理由は、騒音の影響は音の大きさだけで一律に決まるものではないからです。たとえば高齢者、睡眠が浅い人、持病がある人、ストレスが強い人では、同じ騒音でも受ける影響が大きくなることがあります。また、喫煙、飲酒、生活リズムの乱れ、既存の聴力低下なども、騒音による健康影響を受けやすくする要因になります。つまり、騒音の健康影響は、音環境そのものと個人の身体的・生活的条件が重なって現れるため、この記述は正しいです。
(2) 夜間騒音レベルが20dB程度で、実質的な生理学的影響が生じる。
不適切です。その理由は、20dB程度という騒音レベルは非常に静かな環境に近く、通常は実質的な生理学的影響が問題となるレベルではないからです。夜間騒音では、睡眠妨害や覚醒反応、心拍数や血圧への影響などが重要ですが、こうした影響は一般にもっと高い騒音レベルで問題になります。20dB程度は、ささやき声よりも小さいか同程度の静かな環境であり、この程度で明確な生理学的影響が生じるとするのは不適切です。この選択肢がこの問題の誤りです。
(3) 騒音によって起こる4,000 Hz付近の聴力低下を、C5ディップという。
適切です。その理由は、騒音性難聴の初期には4,000Hz付近の聴力が低下しやすいという、典型的な特徴があるからです。これをC5ディップと呼びます。オージオグラムでみると、4,000Hz付近だけがくぼんだように低下して見えるのが特徴です。これは騒音による内耳障害がまず高音域、とくにこの周波数帯に出やすいためです。騒音性難聴に関する代表的な知識として頻出なので、しっかり覚えておきたい内容です。
(4) 一定時間内の騒音レベルは、等価騒音レベル(騒音レベルの測定時間内における平均値)によって評価する。
適切です。その理由は、騒音は時間によって変動することが多く、瞬間的な値だけでは実態を正しく評価できないからです。そこで用いられるのが等価騒音レベルです。これは、ある測定時間内に変動した騒音を、同じエネルギーを持つ一定の騒音レベルに換算して表したものです。単純な算術平均ではなく、音のエネルギーを基にした評価である点が重要です。環境騒音の評価では基本となる指標なので、この記述は正しいです。
(5) 騒音性難聴では、次第に高周波域から低周波域へ聴力低下が広がっていく。
適切です。その理由は、騒音性難聴はまず高音域に障害が現れ、その後、障害が進行すると会話に関わる周波数帯を含めてより広い範囲へ広がっていくからです。初期には4,000Hz付近の低下が中心ですが、長期間にわたって騒音曝露が続くと、さらに高周波域全体、そしてより低い周波数域へと影響が及びます。その結果、日常会話の聞き取りにも支障が出やすくなります。したがって、この記述は騒音性難聴の進行の特徴を正しく表しています。
この問題で覚えるポイント
騒音の健康影響は、音の大きさだけでなく、年齢、生活習慣、体調、既往歴などによって受け方が変わります。 夜間騒音は睡眠妨害や循環器系への影響につながりますが、20dB程度は通常、実質的な生理学的影響が問題になるレベルではありません。 騒音性難聴の初期所見として、4,000Hz付近の聴力低下であるC5ディップは重要です。 変動する騒音の評価には、一定時間内の音エネルギーを平均化した等価騒音レベルを用います。 騒音性難聴は高周波域から始まり、進行すると低周波域にも広がっていきます。
ひっかけポイント
「夜間騒音は健康に悪い」という知識だけで、20dB程度でも影響があると早合点しやすい点がひっかけです。数値の大小を冷静に判断する必要があります。 等価騒音レベルを単なる算術平均と誤解しやすいですが、実際には音のエネルギーを基にした評価です。 C5ディップという用語を知らないと迷いやすいですが、4,000Hz付近の低下が騒音性難聴の典型です。 騒音性難聴は最初から全周波数が均等に悪くなるわけではなく、まず高音域から障害される点を押さえておくことが重要です。
