出典:第二種衛生管理者2021年(令和3年度)4月公表問題|労働生理第21問
問題
神経系に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 神経系を構成する基本的な単位である神経細胞は、通常、1個の細胞体、1本の軸索及び複数の樹状突起から成り、ニューロンともいわれる。
(2) 体性神経は、運動及び感覚に関与し、自律神経は、呼吸、循環などに関与する。
(3) 大脳の皮質は、神経細胞の細胞体が集まっている灰白質で、感覚、思考などの作用を支配する中枢として機能する。
(4) 交感神経系と副交感神経系は、各種臓器において双方の神経線維が分布し、相反する作用を有している。
(5) 交感神経系は、身体の機能をより活動的に調節する働きがあり、心拍数を増加させたり、消化管の運動を亢進する。
第二種衛生管理者|神経系の仕組みと自律神経の働き|交感神経・副交感神経の基礎知識を解説を解説
神経系は、体の情報伝達と調節を担う仕組みです。神経細胞の構造、体性神経と自律神経の違い、大脳皮質の働き、交感神経と副交感神経の作用が正誤判断の中心になります。答えは(5)です。交感神経系は心拍数を増加させるなど身体を活動的にしますが、消化管の運動は一般に抑制します。消化管の運動を亢進するのは主に副交感神経系です。

(1) 神経系を構成する基本的な単位である神経細胞は、通常、1個の細胞体、1本の軸索及び複数の樹状突起から成り、ニューロンともいわれる。
適切です。神経細胞はニューロンとも呼ばれ、情報を受け取り、伝え、次の細胞へ伝達する役割を持ちます。基本構造は、核を含む細胞体、他の神経細胞などから刺激を受け取る樹状突起、刺激を遠くへ伝える軸索から成ります。樹状突起は複数あることが多く、軸索は通常1本です。この構造を理解しておくと、神経系の基本単位に関する問題に対応しやすくなります。
(2) 体性神経は、運動及び感覚に関与し、自律神経は、呼吸、循環などに関与する。
適切です。体性神経は、骨格筋を動かす運動や、皮膚・筋肉などからの感覚に関係します。たとえば、手を動かす、熱さを感じる、痛みを感じるといった働きです。自律神経は、本人の意思とは関係なく、心臓の拍動、血管の収縮や拡張、呼吸、消化、発汗などを調節します。体性神経は意識しやすい運動・感覚、自律神経は生命維持に関わる内臓機能の調節と整理すると覚えやすいです。
(3) 大脳の皮質は、神経細胞の細胞体が集まっている灰白質で、感覚、思考などの作用を支配する中枢として機能する。
適切です。大脳皮質は大脳の表面にある灰白質で、神経細胞の細胞体が多く集まっています。感覚、運動、記憶、思考、判断、言語など、高度な精神活動に関わる中枢として働きます。灰白質は神経細胞の細胞体が多い部分、白質は主に神経線維が多い部分と理解しておくと、脳や神経の問題で混乱しにくくなります。
(4) 交感神経系と副交感神経系は、各種臓器において双方の神経線維が分布し、相反する作用を有している。
適切です。自律神経は、主に交感神経系と副交感神経系に分けられます。多くの臓器には両方の神経が分布し、互いに反対方向の作用を示しながら体の状態を調節しています。たとえば、交感神経は心拍数を増加させ、副交感神経は心拍数を減少させます。交感神経は活動時や緊張時に働きやすく、副交感神経は休息時や消化時に働きやすいと考えると、全体像をつかみやすいです。
(5) 交感神経系は、身体の機能をより活動的に調節する働きがあり、心拍数を増加させたり、消化管の運動を亢進する。
不適切です。交感神経系が身体を活動的に調節し、心拍数を増加させるという部分は正しいです。しかし、消化管の運動を亢進するという部分が誤りです。交感神経が優位になると、体は運動や緊張に備える状態になり、心臓や筋肉への血流を優先します。そのため、消化管の運動や消化液の分泌は一般に抑制されます。消化管の運動を亢進するのは、休息時に働きやすい副交感神経系です。文章の前半が正しいため見落としやすいですが、後半の消化管への作用が正誤の決め手になります。
この問題で覚えるポイント
神経系の基本単位は神経細胞であり、ニューロンとも呼ばれます。神経細胞は、細胞体、軸索、樹状突起から成り、樹状突起で刺激を受け取り、軸索で刺激を伝えます。体性神経は運動と感覚に関与し、自律神経は呼吸、循環、消化、発汗など、生命維持に関わる内臓機能を調節します。大脳皮質は神経細胞の細胞体が集まる灰白質で、感覚、思考、判断などの高度な働きを支配します。自律神経は交感神経系と副交感神経系に分けられ、多くの臓器で互いに相反する作用を示します。交感神経系は活動時や緊張時に働き、心拍数を増加させ、血圧を上げ、消化管の運動を抑制します。副交感神経系は休息時に働き、心拍数を減少させ、消化管の運動を亢進します。試験では、交感神経は活動モード、副交感神経は休息・消化モードと整理しておくと、正誤判断がしやすくなります。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、交感神経系の説明に一部だけ正しい内容を混ぜている点です。交感神経が身体を活動的にし、心拍数を増加させるという前半は正しいため、その流れで消化管の運動も活発になると判断してしまいやすくなります。しかし、活動時には筋肉や心臓の働きが優先され、消化活動は抑えられます。日常感覚では「体が活動的になるなら内臓も活発になる」と考えがちですが、自律神経では臓器ごとの作用を分けて覚える必要があります。交感神経と副交感神経の問題では、心臓、血管、消化管、瞳孔、気管支などについて、どちらが亢進し、どちらが抑制するのかを確認する形で出題されます。特に消化管については、交感神経が抑制、副交感神経が亢進という組合せを正確に押さえることが重要です。
