【第二種衛生管理者過去問】2021年4月公表問題|問20|重量物取扱作業の腰痛予防対策|腰部負担軽減と健康診断の基礎知識|労働衛生を解説

出典:第二種衛生管理者2021年(令和3年度)4月公表問題|労働衛生第20問

問題

厚生労働省の「職場における腰痛予防対策指針」に基づく、重量物取扱い作業における腰痛予防対策に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1) 労働者全員に腰部保護ベルトを使用させる。

(2) 取り扱う物の重量をできるだけ明示し、著しく重心の偏っている荷物は、その旨を明示する。

(3) 重量物を取り扱うときは、急激な身体の移動をなくし、前屈やひねり等の不自然な姿勢はとらず、かつ、身体の重心の移動を少なくする等、できるだけ腰部に負担をかけない姿勢で行う。

(4) 重量物を持ち上げるときには、できるだけ身体を対象物に近づけ、重心を低くするような姿勢をとる。

(5) 重量物取扱い作業に常時従事する労働者に対しては、当該作業に配置する際及びその後6か月以内ごとに1回、定期に、医師による腰痛の健康診断を行う。

第二種衛生管理者|重量物取扱作業の腰痛予防対策|腰部負担軽減と健康診断の基礎知識を解説

重量物取扱い作業では、腰への負担を小さくする作業方法、荷物の重量や重心の表示、適切な作業姿勢、必要な健康診断などが重要です。答えは(1)です。腰部保護ベルトは、腰痛予防の補助的な用具として使われることはありますが、労働者全員に一律に使用させるものではありません。作業内容や労働者の状態に応じて、必要性を判断することが大切です。

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腰部保護ベルト

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(1) 労働者全員に腰部保護ベルトを使用させる。

不適切です。腰部保護ベルトは、重量物取扱い作業における腰部負担を軽減する補助具の一つですが、すべての労働者に一律に使用させるものではありません。腰痛予防対策の基本は、重量物を人力で扱う作業そのものを減らすこと、作業姿勢を改善すること、台車やリフトなどを活用すること、作業時間や作業量を適切に管理することです。腰部保護ベルトは、これらの対策を行ったうえで、必要に応じて使用を検討するものです。また、体格や作業内容に合わないベルトを使うと、かえって動作が制限されたり、誤った安心感により無理な作業をしてしまったりするおそれがあります。そのため、「労働者全員に使用させる」とする記述が誤りです。

(2) 取り扱う物の重量をできるだけ明示し、著しく重心の偏っている荷物は、その旨を明示する。

適切です。重量物を扱うときに、事前に重さや重心の位置が分からないと、作業者は必要以上に腰へ負担をかける姿勢をとったり、予想外の荷重でバランスを崩したりするおそれがあります。特に、見た目より重い荷物や、片側に重心が偏っている荷物は、持ち上げた瞬間に身体がひねられやすく、腰痛や転倒の原因になります。そのため、荷物の重量をできるだけ明示し、著しく重心が偏っている場合には、その情報も明示することが腰痛予防に有効です。作業者があらかじめ負担を予測できれば、複数人で運ぶ、補助具を使う、持ち方を工夫するなどの判断がしやすくなります。

(3) 重量物を取り扱うときは、急激な身体の移動をなくし、前屈やひねり等の不自然な姿勢はとらず、かつ、身体の重心の移動を少なくする等、できるだけ腰部に負担をかけない姿勢で行う。

適切です。腰痛は、重い物を持つことだけでなく、前かがみ、身体のひねり、急な動作、無理な姿勢が重なることで起こりやすくなります。特に、前屈姿勢で物を持ち上げたり、荷物を持ったまま腰をひねったりすると、腰椎や椎間板、周囲の筋肉に大きな負担がかかります。そのため、重量物を扱うときは、急激な動作を避け、身体の重心移動を少なくし、できるだけ安定した姿勢で作業することが大切です。試験では、「前屈」「ひねり」「急激な動作」は腰痛リスクを高める動作として押さえておくと判断しやすくなります。

(4) 重量物を持ち上げるときには、できるだけ身体を対象物に近づけ、重心を低くするような姿勢をとる。

適切です。荷物を身体から離した状態で持ち上げると、てこの原理によって腰にかかる負担が大きくなります。軽い物でも、身体から離して持つと腰部への負担は増えます。重量物を持ち上げるときは、できるだけ身体を荷物に近づけ、膝を曲げて重心を低くし、腰だけでなく脚の力も使って持ち上げることが基本です。この姿勢により、腰への集中した負担を減らし、身体全体で安定して荷物を扱うことができます。実務でも試験でも、「荷物は身体に近づける」「重心を低くする」は重要なキーワードです。

(5) 重量物取扱い作業に常時従事する労働者に対しては、当該作業に配置する際及びその後6か月以内ごとに1回、定期に、医師による腰痛の健康診断を行う。

適切です。重量物取扱い作業に常時従事する労働者は、腰部に継続的な負担がかかりやすいため、腰痛の発生や悪化を早期に把握する必要があります。そのため、当該作業に配置する際と、その後6か月以内ごとに1回、定期に医師による腰痛の健康診断を行うこととされています。健康診断は、腰痛が起こってから対応するだけでなく、作業への適性確認や早期発見、作業方法の見直しにつなげるための重要な対策です。「配置時」と「6か月以内ごとに1回」という時期は、数値として問われやすいので覚えておきましょう。

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この問題で覚えるポイント

重量物取扱い作業の腰痛予防では、人力による重量物取扱いをできるだけ減らし、機械や補助具を活用することが基本です。荷物の重量はできるだけ明示し、著しく重心が偏っている場合はその情報も示します。作業姿勢では、前屈やひねり、急激な動作を避け、荷物を身体に近づけ、重心を低くして扱うことが重要です。腰部保護ベルトは補助的な対策であり、全員に一律使用させるものではありません。重量物取扱い作業に常時従事する労働者には、配置時とその後6か月以内ごとに1回、医師による腰痛の健康診断を行う点も重要です。

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ひっかけポイント

この問題では、「腰部保護ベルトは腰痛予防に役立ちそうだから全員に使わせればよい」と考えてしまうところが大きな罠です。腰痛予防対策は、まず作業方法や作業環境を改善し、腰に負担がかかる作業そのものを減らすことが原則です。保護具はあくまで補助的な手段であり、全員に一律に義務づけるものではありません。また、重量や重心の表示、荷物に近づいて重心を低くする姿勢、6か月以内ごとの健康診断は正しい内容として出題されやすい部分です。「一律に全員へ使用させる」という表現が出たときは、個人差や作業内容に応じた判断が必要ではないかを確認することが大切です。

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