出典:第二種衛生管理者2024年(令和6年度)4月公表問題|労働生理第26問
問題
感覚又は感覚器に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 眼軸が短過ぎるために、平行光線が網膜の後方で像を結ぶものを遠視という。
(2) 嗅覚と味覚は化学感覚ともいわれ、物質の化学的性質を認知する感覚である。
(3) 温度感覚は、皮膚のほか口腔(くう)などの粘膜にも存在し、一般に冷覚の方が温覚よりも鋭敏である。
(4) 深部感覚は、筋肉や腱にある受容器から得られる身体各部の位置、運動などを認識する感覚である。
(5) 平衡感覚に関係する器官である前庭及び半規管は、中耳にあって、体の傾きや回転の方向を知覚する。
第二種衛生管理者|感覚器の仕組み|視覚・嗅覚・深部感覚・平衡感覚の基礎知識を解説
感覚器では、目、耳、皮膚、筋肉、腱などがどのような刺激を受け取り、どの器官がどこにあるかを正確に区別することが大切です。答えは(5)です。前庭と半規管は平衡感覚に関係する器官ですが、存在する場所は中耳ではなく内耳です。前庭は体の傾きや重力方向を感じ、半規管は体の回転を感じます。場所を「中耳」としている点が誤りです。

(1) 眼軸が短過ぎるために、平行光線が網膜の後方で像を結ぶものを遠視という。
適切です。遠視は、眼軸が短すぎる場合や屈折力が弱い場合に、遠くから入ってくる平行光線の焦点が網膜より後方に結ばれる状態です。網膜上で像がはっきり結ばれないため、特に近くを見るときに調節が必要になります。近視は反対に、眼軸が長すぎるなどの原因で焦点が網膜の前方に結ばれる状態です。遠視と近視は、焦点が網膜の後ろか前かで区別すると覚えやすいです。
(2) 嗅覚と味覚は化学感覚ともいわれ、物質の化学的性質を認知する感覚である。
適切です。嗅覚は空気中のにおい物質を、味覚は食物などに含まれる味物質を受容して感じる感覚です。どちらも物質の化学的性質を刺激として受け取るため、化学感覚と呼ばれます。視覚や聴覚のように光や音を感じる感覚とは異なり、物質そのものの成分を認識する点が特徴です。
(3) 温度感覚は、皮膚のほか口腔(くう)などの粘膜にも存在し、一般に冷覚の方が温覚よりも鋭敏である。
適切です。温度感覚は皮膚だけでなく、口の中などの粘膜にも存在します。熱い、冷たいという感覚を受け取ることで、身体を危険な温度刺激から守る役割があります。一般に、冷覚の方が温覚よりも感受性が高く、より敏感に感じやすいとされています。試験では、冷覚と温覚のどちらが鋭敏かを入れ替えて出題されることがあります。
(4) 深部感覚は、筋肉や腱にある受容器から得られる身体各部の位置、運動などを認識する感覚である。
適切です。深部感覚は、筋肉、腱、関節などにある受容器から情報を受け取り、身体の各部がどの位置にあるか、どのように動いているかを認識する感覚です。目を閉じていても手足の位置がある程度わかるのは、この深部感覚が働いているためです。皮膚表面で感じる触覚や痛覚とは異なり、身体の内部にある筋肉や腱などから情報を得る点が特徴です。
(5) 平衡感覚に関係する器官である前庭及び半規管は、中耳にあって、体の傾きや回転の方向を知覚する。
不適切です。前庭及び半規管が平衡感覚に関係し、体の傾きや回転を知覚するという部分は正しいです。しかし、これらの器官がある場所は中耳ではなく内耳です。耳は外耳、中耳、内耳に分けられ、中耳には鼓膜や耳小骨などがあり、主に音の伝達に関係します。内耳には蝸牛、前庭、半規管があり、蝸牛は聴覚、前庭と半規管は平衡感覚に関係します。この選択肢は、機能の説明はおおむね正しいものの、存在部位を中耳としている点が誤りです。
この問題で覚えるポイント
感覚器の問題では、感覚の種類、受容器の場所、働きの組合せを正確に押さえることが重要です。遠視は眼軸が短い、または屈折力が弱いことにより、焦点が網膜の後方に結ばれる状態です。近視は眼軸が長い、または屈折力が強いことにより、焦点が網膜の前方に結ばれる状態です。嗅覚と味覚は、物質の化学的性質を感じ取るため化学感覚と呼ばれます。温度感覚は皮膚や粘膜に存在し、一般に冷覚は温覚より鋭敏です。深部感覚は筋肉、腱、関節などから得られる感覚で、身体の位置や運動を認識します。平衡感覚では、前庭が体の傾きや重力方向に関係し、半規管が体の回転に関係します。前庭と半規管は中耳ではなく内耳にあります。中耳は主に音を伝える部分、内耳は聴覚と平衡感覚に関係する部分として整理すると、正誤判断がしやすくなります。
ひっかけポイント
この問題の大きなひっかけは、前庭及び半規管の働きだけを見ると正しそうに見える点です。体の傾きや回転を知覚するという説明は正しいため、受験者はその部分だけで正しい選択肢だと判断しがちです。しかし、試験では「働きは正しいが、場所が違う」という形で誤りが作られることがあります。特に耳の構造では、外耳、中耳、内耳の区別が狙われやすいです。中耳は鼓膜や耳小骨を通じて音を伝える部分であり、前庭や半規管は内耳にあります。また、遠視と近視では、眼軸の長短と焦点の位置を逆に覚えてしまうことがあります。遠視は網膜の後方、近視は網膜の前方と整理しておくと安定して判断できます。機能の説明が正しくても、部位、方向、前後、数値が少しでも違えば誤りになるため、感覚器の問題では文章の一部だけで判断せず、器官名、場所、働きの三点をセットで確認することが大切です。
