出典:第二種衛生管理者2024年(令和6年度)4月公表問題|労働生理第27問
問題
ヒトのホルモン、その内分泌器官及びそのはたらきの組合せとして、誤っているものは次のうちどれか。
(1) ホルモン:アルドステロン 内分泌器官:副腎髄質 はたらき:血糖量の増加
(2) ホルモン:インスリン 内分泌器官:膵(すい)臓 はたらき:血糖量の減少
(3) ホルモン:パラソルモン 内分泌器官:副甲状腺 はたらき:血中のカルシウム量の調節
(4) ホルモン:プロラクチン 内分泌器官:下垂体 はたらき:黄体形成の促進
(5) ホルモン:副腎皮質刺激ホルモン 内分泌器官:下垂体 はたらき:副腎皮質の活性化
第二種衛生管理者|第二種衛生管理者過去問|ホルモンと内分泌器官の働き|インスリン・副腎・下垂体の基礎知識を解説を解説
ホルモンは、内分泌器官から血液中に分泌され、体内の機能を調節する物質です。正誤判断では、「ホルモン名」「分泌される器官」「主なはたらき」の3点が正しく対応しているかを確認します。答えは(1)です。アルドステロンは副腎皮質から分泌され、ナトリウムや水分の再吸収を促し、体液量や血圧の調節に関与します。副腎髄質から分泌され、血糖量を増加させる代表的なホルモンはアドレナリンです。

(1) ホルモン:アルドステロン 内分泌器官:副腎髄質 はたらき:血糖量の増加
不適切です。アルドステロンは、副腎髄質ではなく副腎皮質から分泌されるホルモンです。主なはたらきは、腎臓でナトリウムの再吸収を促進し、カリウムの排出を促すことです。ナトリウムが体内に保たれると水分も保持されやすくなるため、体液量や血圧の調節にも関係します。血糖量の増加に関係する副腎髄質のホルモンとしては、アドレナリンが代表的です。この選択肢は、「副腎」という大きなくくりは関係していますが、副腎皮質と副腎髄質、さらにアルドステロンとアドレナリンの働きを入れ替えているため誤りです。
(2) ホルモン:インスリン 内分泌器官:膵(すい)臓 はたらき:血糖量の減少
適切です。インスリンは膵臓のランゲルハンス島のβ細胞から分泌されるホルモンで、血液中のブドウ糖を細胞内に取り込ませ、血糖量を低下させる働きがあります。また、余分なブドウ糖を肝臓や筋肉でグリコーゲンとして蓄える働きも促進します。血糖量を下げる代表的なホルモンはインスリンであり、血糖量を上げるホルモンにはグルカゴンやアドレナリンなどがあります。衛生管理者試験では、インスリンは「膵臓」「血糖量の減少」とセットで覚えると判断しやすくなります。
(3) ホルモン:パラソルモン 内分泌器官:副甲状腺 はたらき:血中のカルシウム量の調節
適切です。パラソルモンは副甲状腺から分泌されるホルモンで、血液中のカルシウム量を調節します。血中カルシウム濃度が低下したときに、骨からカルシウムを血液中に移動させたり、腎臓でのカルシウムの再吸収を促したりして、血中カルシウム濃度を保つ方向に働きます。カルシウムは骨だけでなく、筋肉の収縮や神経の働きにも関係する重要な成分です。パラソルモンは「副甲状腺」「カルシウム調節」と結び付けて覚えるとよいです。
(4) ホルモン:プロラクチン 内分泌器官:下垂体 はたらき:黄体形成の促進
適切です。衛生管理者試験の出題範囲では、プロラクチンは下垂体から分泌されるホルモンとして扱われます。プロラクチンは乳汁の分泌に関係するホルモンとして知られていますが、試験問題では下垂体ホルモンの一つとして問われることがあります。なお、黄体形成を促進する代表的なホルモンは黄体形成ホルモン、つまりLHです。そのため、厳密な生理学ではプロラクチンと黄体形成の促進を同一視すると注意が必要ですが、この公表問題では誤っている組合せとして明確に(1)が設定されています。試験対策上は、下垂体からは複数のホルモンが分泌されることを押さえつつ、最も明らかな誤りを選ぶ姿勢が大切です。
(5) ホルモン:副腎皮質刺激ホルモン 内分泌器官:下垂体 はたらき:副腎皮質の活性化
適切です。副腎皮質刺激ホルモンは、下垂体前葉から分泌され、副腎皮質を刺激するホルモンです。英語名の略称でACTHとも呼ばれます。副腎皮質が刺激されると、糖質コルチコイドなどの副腎皮質ホルモンの分泌が促されます。名称の中に「副腎皮質刺激」とあるため、はたらきは比較的判断しやすいですが、分泌器官は副腎ではなく下垂体である点に注意が必要です。刺激する側のホルモンは下垂体から出て、標的となる副腎皮質に作用します。
この問題で覚えるポイント
ホルモンの問題では、ホルモン名だけでなく、分泌器官とはたらきをセットで覚えることが重要です。インスリンは膵臓から分泌され、血糖量を減少させます。血糖量を増加させるホルモンには、アドレナリンやグルカゴンなどがあります。副腎は、副腎皮質と副腎髄質で分泌するホルモンが異なります。副腎皮質からはアルドステロンなどが分泌され、体液量や電解質、血圧の調節に関係します。副腎髄質からはアドレナリンなどが分泌され、心拍数や血糖量の増加に関係します。副甲状腺から分泌されるパラソルモンは、血中カルシウム量の調節に関係します。下垂体は多くのホルモンを分泌する重要な内分泌器官で、副腎皮質刺激ホルモンは副腎皮質を活性化します。試験では「副腎」「下垂体」「膵臓」「副甲状腺」のように器官名が似ていない場合でも、働きだけを入れ替えた選択肢が出るため、名称、器官、作用を三点セットで確認する習慣が大切です。
ひっかけポイント
この問題の大きなひっかけは、副腎皮質と副腎髄質の混同です。どちらも「副腎」に含まれるため、なんとなく正しそうに見えますが、分泌されるホルモンとはたらきは異なります。アルドステロンは副腎皮質、アドレナリンは副腎髄質という対応をあいまいにしていると、血糖量の増加という言葉に引っ張られて誤答しやすくなります。また、内分泌の問題では、選択肢の一部だけが正しい文章に注意が必要です。たとえば「副腎」という語だけを見ると関係がありそうでも、「皮質か髄質か」「血糖か電解質か」まで見ると誤りが見抜けます。このパターンは今後も、ホルモン名と作用の入れ替え、分泌器官の一部だけのすり替えとして出題されやすいです。
