出典:第二種衛生管理者2024年(令和6年度)4月公表問題|労働生理第22問
問題
神経系に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 神経細胞の細胞体が集合しているところを、中枢神経系では神経節といい、末梢神経系では神経核という。
(2) 大脳の外側の皮質は、神経細胞の細胞体が集合した灰白質で、感覚、運動、思考などの作用を支配する中枢として機能する。
(3) 副交感神経系は、身体の機能を回復に向けて働く神経系で、休息や睡眠状態で活動が高まり、心拍数を減少し、消化管の運動を亢(こう)進する。
(4) 自律神経系は、交感神経系と副交感神経系とに分類され、各種臓器に対して両方の神経が支配している。
(5) 体性神経には感覚器官からの情報を中枢に伝える感覚神経と、中枢からの命令を運動器官に伝える運動神経がある。
第二種衛生管理者|神経系の構造と自律神経の働き|交感神経・副交感神経の役割を解説を解説
神経系の分類と、自律神経の基本的な働きを理解しているかを確認する内容です。答えは(1)です。神経細胞の細胞体が集まる部分は、中枢神経系では神経核、末梢神経系では神経節と呼びます。選択肢ではこの用語が逆になっているため、誤りです。

(1) 神経細胞の細胞体が集合しているところを、中枢神経系では神経節といい、末梢神経系では神経核という。
不適切です。神経細胞の細胞体が集まっている部分の名称が逆になっています。中枢神経系、つまり脳や脊髄の中で神経細胞の細胞体が集まっている部分は神経核といいます。末梢神経系で神経細胞の細胞体が集まっている部分は神経節といいます。神経核と神経節は名前が似ているため混同しやすいですが、試験ではこのように中枢と末梢を入れ替えて出題されることがあります。中枢は神経核、末梢は神経節と整理して覚えることが大切です。
(2) 大脳の外側の皮質は、神経細胞の細胞体が集合した灰白質で、感覚、運動、思考などの作用を支配する中枢として機能する。
適切です。大脳の表面にある大脳皮質は、神経細胞の細胞体が多く集まっている部分で、灰白質と呼ばれます。大脳皮質は、視覚や聴覚などの感覚、手足を動かす運動、言語、記憶、判断、思考などの高次な働きに関係しています。灰白質は細胞体が多い部分、白質は神経線維が多い部分と考えると理解しやすくなります。
(3) 副交感神経系は、身体の機能を回復に向けて働く神経系で、休息や睡眠状態で活動が高まり、心拍数を減少し、消化管の運動を亢(こう)進する。
適切です。副交感神経は、身体を休息や回復に向かわせる神経です。活動が高まると、心拍数は減少し、消化管の運動や消化液の分泌は促進されます。食後に眠くなったり、リラックスしているときに消化が進みやすくなったりするのは、副交感神経の働きと関係しています。交感神経が活動時や緊張時に働く神経であるのに対し、副交感神経は休息時に働く神経と整理すると覚えやすいです。
(4) 自律神経系は、交感神経系と副交感神経系とに分類され、各種臓器に対して両方の神経が支配している。
適切です。自律神経系は、意思とは無関係に内臓、血管、汗腺などの働きを調節する神経系です。自律神経系は交感神経系と副交感神経系に分けられ、多くの臓器ではこの二つが反対方向に働くことで身体の状態を調整しています。たとえば心臓では、交感神経が心拍数を増やし、副交感神経が心拍数を減らします。このように両方の神経がバランスを取りながら臓器を支配している点が重要です。
(5) 体性神経には感覚器官からの情報を中枢に伝える感覚神経と、中枢からの命令を運動器官に伝える運動神経がある。
適切です。体性神経は、外部からの刺激を受け取ったり、自分の意思で筋肉を動かしたりする働きに関係します。感覚神経は、皮膚、目、耳などの感覚器官から得た情報を脳や脊髄に伝えます。運動神経は、脳や脊髄からの命令を骨格筋などの運動器官に伝えます。自律神経が内臓などを無意識に調節するのに対し、体性神経は感覚や随意運動に関わる神経と考えると区別しやすいです。
この問題で覚えるポイント
神経系は、中枢神経系と末梢神経系に分けられます。中枢神経系は脳と脊髄で、情報を処理し判断する中心です。末梢神経系は、中枢神経と身体の各部を結ぶ神経です。神経細胞の細胞体が集まる部分は、中枢神経系では神経核、末梢神経系では神経節と呼びます。大脳皮質は灰白質で、感覚、運動、思考、記憶、判断などの中枢として働きます。体性神経は感覚神経と運動神経に分けられ、感覚神経は情報を中枢へ伝え、運動神経は中枢からの命令を筋肉へ伝えます。自律神経は交感神経と副交感神経に分けられ、内臓や血管などを無意識に調節します。交感神経は活動、緊張、危険への対応に関係し、心拍数を増やし、消化管の運動を抑えます。副交感神経は休息、回復、睡眠、消化に関係し、心拍数を減らし、消化管の運動を高めます。神経系の問題では、中枢と末梢、体性神経と自律神経、交感神経と副交感神経の違いを整理しておくことが正誤判断に直結します。
ひっかけポイント
この問題の最大のひっかけは、神経核と神経節という似た用語を入れ替えている点です。どちらも神経細胞の細胞体が集まる場所を表すため、意味だけをぼんやり覚えていると誤答しやすくなります。中枢神経系では神経核、末梢神経系では神経節という対応関係まで正確に押さえる必要があります。また、自律神経については、交感神経と副交感神経の働きを日常感覚だけで判断すると迷うことがあります。活動時は交感神経、休息時は副交感神経という基本軸を持ち、心拍数、消化管運動、身体の回復という具体例で判断すると安定します。神経系の問題では、文章の大部分が正しくても、専門用語の対応関係だけが逆になっていることがあるため、似た言葉ほど慎重に確認することが大切です。
